中国の混乱
中国の混乱に関しては、以前から、「1990年の日本バブル崩壊」と「1991年のソ連崩壊」を合わせたような展開を想定していたが、現時点では、「不動産バブルの崩壊で発生した不良債権」が、「民間企業や個人」から「民間金融機関」や「地方政府」などへ移行している段階のようにも感じている。つまり、「日本のバブル崩壊時の住専問題」が発生しているような状況であり、間もなく、「主要民間銀行」や「中央銀行」、そして、「政府」の資金繰りが行き詰まる可能性が近づいている段階とも思われるのである。
別の言葉では、「1991年のソ連」で発生した「長期国債の次に短期国債が売れなくなり、大量の紙幣増刷が実施された状況」までには至っていないものと思われるために、これから想定される展開は、「保有する米国債の大量売却ではないか?」とも考えている。つまり、「米国債を売却して、中国国内の資金繰りに充当する可能性」のことでもあるが、この結果として予想される展開は、やはり、「世界的な資金収縮」のようにも感じている。
より詳しく申し上げると、「中国の資本主義化」と「ソ連の崩壊」がもたらしたものは、「グローバル共同体の確立」であり、実際には、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)」に向かい、「未曽有の規模でのデリバティブ(金融派生商品)が積み上げられた状況」のことである。別の言葉では、「民間金融機関がオフバランスで金融商品を作り上げた結果として、大量のデジタル通貨が生み出された状況」であり、しかも、その後の「QE(量的緩和)」に関しては、「その時に創られたデジタル通貨を利用して、中央銀行が大量の国債などを購入した状況」だったことも見て取れるのである。
また、「中国の発展」についても、結局は、「デリバティブバブルの恩恵」によるところが大きかったものと思われるが、ご存じのとおりに、「共産主義的中華思想」という、きわめて異常な思想に取りつかれた「習近平」の出現により、現在の中国は、「1600年前の五胡16国の時代」に戻った状況のようにも感じられるのである。
つまり、今後は、「内紛」が繰り返される可能性が高いものと考えられるために、これからの注目点は、「中国の国債金利が、いつ、上昇を始めるのか?」とも想定されるのである。別の言葉では、「金の切れ目が縁の切れ目」という諺のとおりに、「中国国民が、為政者に対する信頼感を失い、内乱状態に陥る可能性」が危惧されるわけだが、この結果として発生する事態は、「共産主義という亡霊の完全消滅」のようにも感じている。(2024.2.10)
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権力の暴走と大衆の反逆
現在は、「暴走を始めた権力に対して、国民が耐えきれなくなった状況」とも思われるが、実際のところ、「世界第一位の経済大国である米国」においては、「貧富の格差により、約6割の人々が。その日暮らしの状態に陥っている」ともいわれているのである。また、「世界第二位の経済大国である中国」では、「不動産不況の深刻化により、給料の未払いまでもが発生している状況」とも報道されているのである。
そして、この理由としては、「西洋の没落」という書で、シュペングラーが指摘しているとおりに、「皇帝主義の完成」が、大きな意味を持っているものと感じているが、具体的には、「バブルの発生と崩壊」と同様に、「完成したものが、その瞬間から崩壊を始めた可能性」のことである。つまり、「グローバル共同体」の完成した「西暦2010年前後」に、「マネーの残高」がピークをつけるとともに、「個人の力」が最も弱くなった結果として、「皇帝のような絶対権力者」が、世界各地で誕生した状況のことである。
具体的には、「中国の習近平」であり、また、「ロシアのプーチン」、そして、「日本の自民党」や「米国のデリバティブを操るメガバンク」などのことでもあるが、実際には、「権力」の源泉である「軍事力」や「資金力」が振りかざされることにより、「大衆の権利が無理矢理押さえつけられた状態」だったようにも感じられるのである。しかし、一方で、その反動として、「過去15年あまりの世界」においては、「絶対的な権力者への反発心」が強まった可能性も考えられるのである。
別の言葉では、東洋の「非理法権天」という言葉の通りに、「非合理的なものが合理的なものに変化したものの、その後、法律の整備により隷従者が増え、その結果として、権力者の暴走が始まり、最後の段階で、大衆の覚醒という、天地自然の理が働き始めた展開」のことである。つまり、「1600年前の西ローマ帝国崩壊」以降、世界全体が、「共同体の結びつきがもたらすマネー残高の増加」が原動力となり、「さまざまな形での経済的、あるいは、社会的な発展がもたらされた展開」のことである。
そして、最後の段階では、「権力者の暴走」に耐えきれなくなった人々が、「民族の大移動」や「人民の反乱」などにより「大衆の反逆」を発生させ始めたものと思われるが、実際のところ、「1600年前の西暦424年の世界」においては、「西洋の民族大移動」、そして、「中国における五胡十六国時代」などからも明らかなように、それまでとは全く違った展開が見られたことも理解できるのである。(2024.2.12)
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米国版の「時価総額の落とし穴」
今から35年ほど前の日本では、「日本を売れば、日本を除いた世界中の土地が買える」とか「東京都の土地を売れば、アメリカ全土の土地が買える」というような話が盛んに聞かれたが、現在では、同様の状況が「アメリカ株」で発生しているものと感じている。具体的には、「マイクロソフトの株式時価総額がフランスのGDPを超えた」、あるいは、「世界全体の時価総額において、アメリカ株が半分を占め、また、その三割がマグ7である」などのニュースのことである。
別の言葉では、35年前に計算した「時価総額の落とし穴」が、再度、思い出されたわけだが、実際には、「浮動玉と安定玉との関係性により、時価総額全体が増えたと錯覚した状況」のことである。具体的には、「1985年に約600兆円だった日本の土地の時価総額」に関して、「1990年前後に4倍の約2400兆円程度にまで増えた」と言われたものの、「浮動玉」、すなわち、「実際に売買された土地」は、全体の2から3%に過ぎなかった事実のことである。
より詳しく申し上げると、「浮動玉が2%の仮定」の下に単純計算してみると、「1985年の浮動玉は、600兆円×2%=12兆円」であり、また、「1990年の時価総額が、2400兆円×2%=48兆円」だったことも理解できるのである。つまり、「48兆円-12兆円=36兆円」の資金が入っただけで、「全体の時価総額」が「2400兆円-600兆円=1800兆円」も増えた計算となったのである。
そして、今回の「米国のマグ7」についても、似たようなメカニズムが働いているものと感じているが、今後の注目点としては、「日本の土地バブル」などと同様に、「上昇エネルギーが使い果たされたときに、どれほどの価格下落が待っているのか?」が指摘できるものと考えている。別の言葉では、多くの機関投資家が、「1970年前後のニフティー・フィフティーバブル崩壊」や「2000年前後のITバブル崩壊」などを思い出しながら、現在、鵜の目鷹の目で、「空売りのチャンス」を狙っている可能性のことである。
そのために、現時点で必要なことは、「君子危うきに近寄らず」という諺を思い出しながら、「リスクのありそうな銘柄群」に近寄らないことであり、実際には、「観賞用銘柄」として、今後の投資に参考にすることだと感じている。しかし、一方で、割安に放置された「安全に儲かりそうな銘柄」に関しては、これから想定される「世界的なハイパーインフレ」を考えながら、積極的な投資が望ましいものと考えている。(2024.2.13)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion13609:240310〕