内部分裂を始めた護送船団方式!?
現在では、日本の「金融護送船団方式」に内部分裂が生じた可能性が存在するようだが、この「護送船団方式」というのは、本来、軍事用語であり、「船団の中で、最も速度の遅い船に合わせて、全体が騰勢を確保しつつ進んでいく方法」を意味している。そして、この方法が、戦後の「日本金融界」で採用され、「日本経済の発展に、大きく寄与した」ものと考えているが、現在では、反対に、マイナス面が指摘され始めている状況とも言えるようである。
具体的には、現在の「マイナス金利」に対して、最初に悲鳴を上げたのが、「三菱東京UFJ銀行」であり、実際には、「プライマリーディーラー」の資格を返上したのである。そして、理由としては、「マイナス金利での国債引き受け」に対して、大きな損失が出ることを危惧した点が挙げられるようだが、同時に、「金融庁」についても、「金融機関の監督者」として、金融機関の健全性を確保することが目的の一つとされているのである。
そのために、「マイナス金利からの脱却」を望んでいるようだが、実際には、「財務省」や「日銀」が、この点に対して、反対の立場をとっている状況とも言えるようである。つまり、泳ぎ続けなければ死んでしまう「マグロ」と同様に、「国債を買い続けなければ、国債価格が暴落し、金融システムが崩壊する」と考えている人が存在するようだが、一方では、「国債」を買い続けるために、「マイナス金利」を継続する必要性があり、この状況下では、「日銀」を始めとして、「さまざまな金融機関に、巨大な損失が発生する状況」も想定されるのである。
このように、現在の日本は、「前門の虎、後門の狼」という言葉のとおりに、「どちらに転んでも、きわめて危機的な状況」に陥っているようだが、仮に、私が想定するような「内部分裂」が発生しているとすると、このことも、きわめて危機的な兆候の一つとも考えられるようである。具体的には、「明治維新」の時のように、日本の国内で内部分裂が起き、「開国派」と「攘夷派」が争っていた時に、突如として、「大政奉還」が起き、「江戸幕府」が崩壊したような状況のことである。
別の言葉では、「風船の破裂」のように、内部で、亀裂が発生した時が、最も危機的な状況とも言えるようである。そして、今回は、「金融の護送船団方式」そのものが、亀裂状態となっているようであり、また、このことが、今後の「国債バブル崩壊」のきっかけになる可能性が高まっているようにも感じられるである。(2016.8.22)
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夢と希望を失った現代人
今回のオリンピックを見て感じたことは、「金メダル」を目標にした若者たちが、「苦労を厭わず、実に多くの時間と努力を積み重ねた」ということだった。別の言葉では、「目標が定まった時に、人間は、信じられないほどの力を発揮する」ということだが、このような「努力の結晶」と「誰もが金メダルを得ることはできない」という厳然とした事実が、さまざまな「人生ドラマ」を生み出し、我々に、大きな感動を与えたようである。
しかし、反対の観点からは、ほとんどの人は「観客」にすぎず、単に、「他人である選手の努力」を眺めている状況とも考えられるのである。そして、「オリンピックの熱狂」が覚めた後に、「自分の現実」に引き戻されることになるのだが、この点に関して、「現代人が、明確な努力目標を失った可能性」が危惧されるようである。
つまり、「現代人は、夢と希望を失ったのではないか?」ということだが、実際のところ、今までは、「良い大学を出て、大企業に就職し、安定した人生を送る」ということが、人々の共通した「価値観」や「目標」だったようにも思われるのである。別の言葉では、「お金が全てである」と理解する人が増えた状況でもあったようだが、実際には、「世界の資金」のほとんどが、一部のメガバンクや政府によって保有されているために、多くの一般庶民は、「ゼロ金利」に甘んじ、また、「格差社会」により、「その日暮らし」の生活に我慢している人も、数多く存在する状況とも考えられるのである。
そして、このことが、「西暦1200年頃」から始まった「市場経済」が行き着いた「帰結」だったようだが、現在では、徐々に、「共同体的な社会」への変貌が始まったようにも感じられるのである。つまり、「唯物論」から「唯心論」への移行であり、実際には、多くの人が、「お金儲け」よりも「精神的な安定」を求め始めたようにも感じられるのだが、この時の問題点は、「具体的にどのような行動を取ればよいのかが、理解できない状況」でもあるようだ。
その結果として、人々の「心」に、大きな「闇」が生じ、さまざまな「犯罪」が引き起こされているようにも感じているが、この点については、「戦後の日本人」のように、「敗戦の焼け野原状態」に陥った時に、「新たな希望と夢」が発生するものと考えている。つまり、「人生で最も大切なものは命であり、また、自分が心から望むことを行う」という「考え方」への転換のことだが、今回は、「国債価格の大暴落」、そして、その後の「ハイパーインフレ」が、そのきっかけになるものと考えている。(2016.8.24)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion6267:160921〕