本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(462)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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中ロの誤算

2022年2月24日から始まった「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻」から、現在では、2年以上の時間が経過したが、この間の推移を考慮すると、さまざまな観点から「中ロの誤算」が見え隠れする状況のようにも感じている。つまり、当時の状況としては、「中国とロシアが協調して、軍事侵攻を始めた可能性」を想定していたが、この理由としては、「資本主義の崩壊後に共産主義の時代が訪れる」というような「誤った理論」を信奉していた可能性が指摘できるようにも思われたからである。

あるいは、「米国の次に覇権国家となるのは中国である」というような過信を抱いていた状況だったようだが、この点については、「文明法則史学」が教える「800年ごとに東西文明が交代する可能性」を無視していた点が指摘できるものと感じている。別の言葉では、「1600年前の西ローマ帝国崩壊後の世界」の研究を怠っていた状況であり、実際のところ、「西ローマ帝国崩壊後の世界」については、「大帝国の崩壊後に、数多くの小さな共同体への分裂」という状況であり、この点については、「1600年雨の中国」も「五胡十六国」と言われるほど、小さな国々に分裂していた状態だったことも見て取れるのである。

このように、2008年前後にピークを付けた「グローバル共同体」が成立するまでには、「800年間に及ぶ東洋の唯心論的な文明」により「根本の信用」が築かれる必要性があり、その結果として、「800年間の西洋的な唯物論的な文明」、そして、「共同体の規模拡大がもたらした巨大なマネー」が発生したことも理解できるのである。つまり、2年ほど前の中国とロシアは、これからの事実を無視して、単純に、「西洋の先進国は、デリバティブのバブル崩壊により、1991年のソ連のような状態に陥る」というような「短絡的な結論」に辿り着いた状況とも思われるのである。

しかし、彼らの誤算としては、「共産主義」の根底となる「史的唯物論」そのものの誤りと同時に、「中国とロシアそのものが、世界的なマネー大膨張の結果として、経済発展が可能だった事実」を無視した状況とも想定されるのである。つまり、「軍事力や資金力を背景にした帝国主義的な領土拡張政策」そのものが、時代遅れの理論だったことを無視した可能性も考えられるのである。

そのために、今後の展開としては、「中ロの内部分裂」が予想されるが、注目すべき点は、中ロの行為が、「西洋諸国の金融システム崩壊」を加速させた可能性であり、その結果として、間もなく、「何らかの大事件」が、金融面で発生する可能性を想定している。(2024.4.15)
 
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ロシアとイスラエルの未来

「ロシアによるウクライナへの軍事侵攻」から2年以上、そして、「イスラエルによるガザへの軍事侵攻」から半年以上の時間が経過し、現在では、「第五次中東戦争」や「第三次世界大戦」への拡大が懸念される状況となっている。しかし、私自身は、今後、「戦費を、誰が、どのようにして賄うのか?」に人々の焦点が当たり始める展開、すなわち、「信用消滅がもたらす、世界的な流動性の枯渇」が大きな影響を与える可能性を想定している。

つまり、現在は、「何でもバブルの最終章」が始まった結果として、さまざまな商品価格のみならず、人件費までもが急騰する展開となっており、そのために、「世界全体で、急激な資金や流動性の枯渇が発生している状況」のようにも感じられるのである。別の言葉では、「1980年代初頭から40年にも及んだ世界的な金利低下やデジタル通貨の大膨張」が終了し、反対に、「金利やインフレ率の急騰」が始まった展開のことである。

より詳しく申し上げると、今後は、「金の切れ目が縁の切れ目」や「無い袖は振れぬ」などの諺のとおりに、「今までの常識が覆されるような現象が、数多くみられる展開」、すなわち、「過去の関係性が断絶されるとともに、社会的な分裂が発生する可能性」を想定している次第である。具体的には、「マネーの膨張がもたらした共同体の規模拡大が、一挙に反転する可能性」のことであり、実際には、「戦争の継続が不可能になるとともに、戦後の復興が模索され始める状況」のことである。

別の言葉では、「国内における不満の高まり」や「財政問題」などにより、「ロシアの国家そのものが、1991年のソ連のように、再分裂する可能性」であり、また、「イスラエルが、1948年以前のように、国家を喪失する可能性」のことである。つまり、「四面楚歌」という言葉のとおりに、「ロシアやイスラエルが、隣国を侵略したことにより、今後、世界的な孤立状態に陥る可能性」も想定されるのである。

そして、このことが、「1600年前の西ローマ帝国崩壊時と似たような現象」とも思われるが、実際には、100年ほど前に「シュペングラー」が指摘したとおりに、「隷従化した国民が皇帝主義を完成させたものの、行き過ぎた独裁政治が、反対に、自分自身の生活に問題を発生し始めた状況」のことである。つまり、「根のない切り花」の状態だった「世界経済」が、現在では、「花が枯れ、表面上の華やかさまでをも失い始めた状況」に変化し始めたために、今後は、急速に、「世界的な金融混乱が加速し始める可能性」、すなわち、「未曽有の大インフレに見舞われる可能性」を想定している状況である。(2024.4.17)
 
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中国の共産主義

現在の中国は、人類史上においても、きわめて異常なスピードでの「経済的な崩壊」に見舞われている状況とも思われるが、この原因としては、やはり、「共産主義」そのものが中国の伝統にそぐわない点が挙げられるようである。あるいは、「鄧小平の改革」が、未曽有の経済的な成長をもたらしたものの、結果としては、その後の「習近平による共産主義的な軍事独裁国家の形成」に貢献した可能性も想定されるのである。

別の言葉では、「共産主義」という思想そのものが、「ロシアや中国、そして、北朝鮮」のような「軍事独裁国家」を作り出したものと思われるが、この原因としては、「人民の解放」ではなく、「人民の奴隷化」が、「軍事的脅威」によって達成された状況のようにも思われるのである。つまり、「西洋諸国の経済的発展に追いつくために、軍事力を背景とした国家主導の経済成長が模索された可能性」のことでもあるが、現時点では、「中国そのものが、1991年のソ連のような状態に陥る可能性」も考えられるようである。

具体的には、金融面での混乱が加速し、1600年前と同様に、「中国が、『五胡十六国』のような分裂状態に陥る可能性」であり、この原因としては、やはり、「東洋思想」に特有の「易姓革命」などの認識が指摘できるものと感じている。つまり、東洋思想では、「天や神の方が、皇帝などの人間よりも大きな力を持っている」という理解がなされており、その結果として、「天変地異」や「経済的な困窮」が発生した時には、「天や神が、為政者の交代を望んでいる状況である」というように認識されているのである。

そのために、これから想定される展開は、「中国の内紛や分裂」とも思われるが、今回の注目点は、やはり、「文明法則史学」が教える「富の時代の終焉」であり、実際には、「世界全体で資本主義的な時代が終焉を迎える可能性」とも言えるのである。つまり、「1971年から始まった信用本位制と呼ぶべき通貨制度の崩壊」により、「世界的なハイパーインフレ」が発生し、その結果として、「実物資産価格が急騰する可能性」である。

より詳しく申し上げると、「デジタル通貨」が機能不全状態に陥ることにより、世界的な「信用消滅」と「マネー残高の激減」が発生する可能性のことであり、現時点では、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊」のみが、参考になる事例のようにも思われるのである。つまり、これから想定される「世界的な金融大混乱」については、決して、「一時的な現象」ではなく、「世界全体のパラダイムシフト」がもたらす「根本的な大変革の時代」が始まった状況のようにも感じられるのである。(2024.4.23)
 
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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