1600年前の三蔵法師
「中国の混乱」については、「日に日に、悪化している段階」のようにも感じられるが、同時に気になる点は、やはり、「中国の民衆が、今後、どのような行動を取り始めるのか?」ということである。別の言葉では、「習近平の暴走が、どこまで可能なのか?」ということでもあるが、注目すべき事実としては、「金の切れ目が縁の切れ目」という諺のとおりに、「公務員の給料遅延が、軍人にまで及んだ時に、かれらが、どのような行動を取り始めるのか?」ということのようにも感じている。
つまり、「中国の内部分裂」というような展開も想定されるが、この点については、「1600年前の中国で、五胡十六国から南北朝の時代へ変化した展開」が参考になるものと考えている。そして、この時に、「人々は、どのようなことに興味を抱いたのか?」を研究すると、実際には、「三蔵法師」、すなわち、「仏教の経蔵・律蔵・論蔵の三蔵に精通した僧侶(法師)」が、数多く存在した状況だったことも見て取れるのである。
より詳しく申し上げると、日本では、中国の伝奇小説「西遊記」に登場する人物「三蔵法師」が特に有名だが、「三蔵法師というのは一般名詞であり、尊称であって、固有名詞ではない」とも説明されているのである。つまり、「西遊記の三蔵法師(玄奘三蔵)」は数ある三蔵法師のうちの一人にすぎず、実際には、「西暦400年頃から、インド仏教の中国伝来に伴い、数多くの人々が三蔵法師となった事実」が存在するのである。
そして、この点については、「西暦400年から1200年の東洋の時代」を象徴する出来事の一つのようにも感じているが、実際には、「精神文明を追い求める時代に、仏教の研究が盛んになった状況」のことである。つまり、「歴史の全体像」とも言える「1600年のサイクル」を考えると、実際には、「西洋的な資本主義の時代は、全体の4分の1程度の期間を占めるだけの状態」に過ぎず、「その他の4分の3は、現代人の常識では理解できない状態だった」ものと想定されるのである。
そのために、「これから、どのような時代が訪れ、どのような社会が形成されるのか?」を考える時には、「物質的な豊かさ」よりも「精神的な豊かさ」が求められる可能性を考慮すべき状況であり、実際には、「本当の幸せ」について、今後、人類が考え始める段階に差し掛かるものと想定されるのである。(2024.6.3)
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論語と算盤
間もなく、日本における「新札の発行」が始まるが、この点に関して、今回、気になったことは、「論語と算盤」という有名な「渋沢栄一の言葉」に対する違和感だった。つまり、今から30年ほど前、私自身が熱心に東洋学を研究した頃は、「利は義の和なり」や「利によりて行えば恨み多し」などの論語の言葉にたいして、全面的な共感を覚えていたものの、その後の「マネーの大膨張」や「人々の精神的な荒廃」を目にすると、現時点では、私自身の気が付かなかった事実が存在する状況のようにも感じられるのである。
より詳しく申し上げると、「明治維新」に対する認識の変化のことでもあるが、具体的には、「廃仏毀釈が、なぜ、実施されたのか?」ということであり、また、「なぜ、日本全体が、その後の大日本帝国憲法により軍国主義へと向かっていったのか?」ということである。つまり、「明治維新からの約77年間」は、「日本人が軍事的な成功と失敗を経験した時期」であり、また、その後の「約78年間」が、「経済的、あるいは、金融面での成功と失敗を経験した時期」とも理解できるのである。
別の言葉では、「過去150年余りの期間、日本人は、歴史的にもまれに見るほどの変革期に遭遇した状況」とも思われるために、現時点では、「この経験が、今後、どのように生かされるのか?」が気になっているのである。また、この点に関して、今回の「論語と算盤」に象徴される「儒教」が、「今後、どのように理解されるのか?」についても、たいへん興味深く見守っている状況とも言えるのである。
具体的には、「弘法大師が教える思想」が復活する可能性であり、実際には、「儒教や老荘思想よりも仏教が重要視されるべきであり、また、仏教の中でも、真言密教の重要性が理解されるべきである」という認識のことである。別の言葉では、「11次元にまで進化した自然科学」と「3次元にとどまっている社会科学」との関係性に関して、今後、「弘法大師の真言密教」が、大きな役割を果たす可能性のことである。
つまり、今後は、「心のルネサンス」とでも呼ぶべき状況となり、「心の持つ可能性」が、深く解明され始める展開を想定しているが、この時に主導的な役割を果たすのが、「明治維新以降、さまざまな成功や失敗を体験した日本人」のようにも感じられるのである。そして、このキッカケとなるのが、今回の「渋沢栄一の一万円札」とも思われるが、実際には、「論語と算盤」という言葉に関して、「どのような『天からのメッセージ』が隠されているのか?」を、日本人の一人ひとりが考え始める状況のことである。(2024.6.4)
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激化する東西対立
2008年前後の「GFC(世界的な金融混乱)」から始まった「グローバル共同体の分裂」、すなわち、「東西の対立」は、現在、日に日に激化している状況であり、間もなく、最終局面を迎えるものと感じている。つまり、「日本の明治維新」の時のように、「開国派と攘夷派が争っていたものの、最後には、徳川幕府体制そのものが崩壊した状況」が、今回は、「東西文明の交代劇」として繰り返される可能性のことである。
別の言葉では、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」と同様に、「西洋の物質文明が終焉し、新たな東洋の精神文明が始まる可能性」を考慮しており、また、「文明の大転換」に際して重要な役割を果たすのが、「通貨の大膨張と収縮」とも思われるのである。具体的には、「マネー(お金)」と「クレジット(信用)」という言葉で表されるように、「1913年の米国FRB創設」以降、「金(ゴールド)」を基にして、「大量のクレジット通貨」が創り出された状況でもあったが、現在では、「中国やロシアなどの国々が、この動きに対して、異論を唱え始めている状況」ともいえるのである。
つまり、「貴金属の大量購入」により、「デジタル通貨の膨張で巨大化したクレジット市場」に対して、一石を投じ始めた状況、すなわち、「貴金属」対「デリバティブ」という対立構造が、リーマンショック以降、明確化し始めていた展開のことである。そして、この点については、現在、徐々に、世界的な理解や認識が深まっている状況とも想定されるが、今後、最も重要なポイントとしては、やはり、「金融問題の本丸であるデリバティブに対して、何らかの事件が発生する可能性」ともいえるのである。
より詳しく申し上げると、現在は、「水蒸気の状態だったデジタル通貨が、巨大な雲を形成するとともに、間もなく、紙幣の雨を世界に降らそうとしている状態」とも想定されるのである。そして、この事実に対して、依然として、「デリバティブを利用した価格操作」が、西側諸国の金融当局者により実施されているものの、結果としては、「巨大な雲が支えきれず、徐々に、紙幣の雨がこぼれ落ちている状況」とも考えられるのである。
そのために、これから必要なことは、「自分の資産に対する安全の確保」であり、実際には、「マネーの歴史」を認識しながら、「金や銀、そして、プラチナなどの貴金属を、実物資産で保有すること」である。つまり、本来の「マネー(お金)」を保有することにより、「世界的なクレジット市場の大混乱から、自分の身を守ること」であり、現在では、この点に関して、時間的な余裕が無くなった状況のようにも感じている。(2024.6.7)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion13791:240712〕