リーマンショック後の16年間
「2008年9月15日のリーマンショック」から、本日で16年目の日を迎えたが、現時点では、この期間を振り返ることにより、「マネーの性質」の理解が深まる可能性が挙げられるようにも感じている。具体的には、「西洋諸国のメガバンクが簿外でデリバティブの残高を大膨張させたことにより、大量のデジタル通貨が創り出されるとともに、リーマンショックをきっかけにして、金融のメルトダウンが発生した展開」のことである。
より詳しく申し上げると、「金融界の逆ピラミッド」、あるいは、「デジタル通貨によって造り出された仮想現実の金融世界」において、リーマンショックの直後に、「世界的な国債のバブル」が発生した状況のことである。つまり、「米国の30年国債チャート」などからも明らかなように、「リーマンショックから約12年後の2020年3月まで、米国債の価格が上昇(金利は低下)し続けた状況」だったことも見て取れるのである。
しかし、その後は、「コロナショックの発生」により、「約2年間」という期間は、「ゼロ金利が継続されながらも、国債価格の暴落が発生した状況」、すなわち、「世界的な国債バブルの崩壊が確認された期間」だったことも理解できるのである。別の言葉では、「金融界の大地震」とでも呼ぶべき「リーマンショック」で発生した「インフレの大津波」が、「海上で最初の大きな波を発生させた展開」だったようにも感じられるのである。
そして、その後の「2022年3月から2024年7月までの約16か月間」については、「米国の利上げ」が実施された期間であり、このことは、「世界的な国債バブルの発生と崩壊が引き起こした資金繰りのひっ迫、あるいは、信用の喪失」を、「利上げによって回復させようとした段階」とも想定されるのである。つまり、「金融のメルトダウンが、国債から、その下に位置する不動産や株式などへと移行した展開」のことだが、実際には、「利上げの過程で不動産バブルが崩壊し、また、2023年7月には、マグニフィセント7のバブルも崩壊した展開」だったことも理解できるのである。
その結果として、現在は、「国債と不動産、そして、株式のバブルから逃れてきた大量の資金が、一斉に、実物資産の市場に殺到し始めた状況」となっており、このことが、現在の「金(ゴールド)価格の高騰」の要因とも想定されるのである。つまり、これから予想される「世界的なインフレ」に関しては、「1600年前に崩壊した西ローマ帝国」以降、徐々に蓄積されてきた「世界のマネー」が、一斉に、「貴金属などの実物資産の市場に流入し始めた状況」を表しているものと考えられるのである。(2024.9.15)
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ソ連化の様相を見せ始めた中国経済
今回の「中国バブルの崩壊」に関しては、以前から、「1990年の日本と1991年のソ連を合わせたほどの惨状を呈するのではないか?」と指摘してきたが、現時点では、「1990年の日本における不動産バブル崩壊」と同様のメカニズムで産み出された「不良資産」が、「1991年のソ連崩壊」を引き起こした要因に変化しつつある状況のようにも感じている。つまり、「民間銀行」のみならず、「中央銀行」や「政府」においても、「資金的なひっ迫」に見舞われ始めており、その結果として、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の大量発行」や「紙幣の増刷」などに訴えざるを得なくなっている可能性のことである。
別の言葉では、「デリバティブの大膨張により時間稼ぎができた西洋諸国」とは違い、現在の中国は、急激な財政危機に見舞われるとともに、この事実を認識し始めた国民が、一斉に、貴金属や食料品などの購入に殺到し始めた可能性も想定されるのである。つまり、現在の中国は、「PPI(卸売物価)が低下しながらも、CPI(消費者物価)の上昇が始まった状況」といわれており、このことは、「景気の低迷と税収の激減により、国家の資金繰りに問題が出始めた状況」のようにも感じられるのである。
より詳しく申し上げると、「不動産バブルの後始末に悩まされた1990年代の日本」と同様の状況でありながら、「1991年のソ連」と同様に、「デリバティブ大膨張の恩恵を受けられない状況」のようにも思われるのである。そして、結果としては、「インクが無くなるまで人民元の増刷を迫られる可能性」も想定されるが、実際には、「その前の段階として、米国債の大量売却などが実施される可能性」も考えられるのである。
つまり、今回の「中国経済がソ連化し始める可能性」については、「西洋諸国も同様の展開を見せる可能性」も想定されるために、我々も、決して、予断が許されない事態のようにも感じられるのである。あるいは、「西洋諸国の方が、デリバティブのバブル崩壊により、中国よりも、より大きな被害を受ける可能性」も想定されるために、今後の「世界各国の中央銀行の動向」については、今まで以上の注意が必要な状況とも想定されるのである。
具体的には、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の大量発行」や「紙幣の大増刷」で、「資金的なひっ迫」が賄われる可能性のことだが、この時の注意点としては、「政府や中央銀行、そして、通貨に対する国民の信頼」が失われた時には、「大量の資金が、一斉に、貴金属や食料などの実物資産に殺到する展開」、しかも、「世界で同時に発生する可能性」が指摘できる状況のようにも思われるのである。(2024.9.16)
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東西文明の大転換
私が、1977年に金融業に従事してから、すでに半世紀近くの日々が経過したが、この間を振り返ると、まさに、「金融界の激動期」であり、「ほとんど全ての種類の金融混乱を経験できたのではないか?」とも感じている。別の言葉では、「日の下に新しきものはなし」という言葉を信じ、「過去の歴史における同様の激動期を探し続けた状況」でもあったが、現時点での感想としては、やはり、「村山節(みさお)の文明法則史学」が教えるとおりに、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」と同様の展開だったものと感じている。
しかも、現在は、「西暦376年から476年までの約100年間」、すなわち、「文明の大転換に伴う民族の大移動」に関して、「ほぼ半分の時期が経過した状況ではないか?」とも思われるのである。そのために、今後の注意点としては、「後半部分である西暦424年から476年に、どのような変化が発生したのか?」を考えながら、「1600年後の現時点における出来事」と比較する必要性が求められているようにも思われるのである。
別の言葉では、「歴史のサイクルや全体像」を認識しながら、「未来予測の可能性」を判断することでもあるが、実際には、「共同体の規模拡大に伴い大膨張した世界のマネーが、今後、どのようにして縮小するのか?」を検証することであり、また、「西暦410年に発生したローマへの蛮族の襲撃」が「その1600年後の2010年前後に発生したGFC(世界的な金融大混乱)」に相当する可能性を考えることである。
そして、この過程で解明されることは、「お金の謎」や「歴史のサイクル」、そして、「心の謎」とも思われるが、実際には、「人々の意識と行動とが、時代によって、どのような変化を見せるのか?」、あるいは、「どのような時に、どのような社会が形成されるのか?」の理解である。具体的には、私自身が、以前に作成した「心の座標軸」、すなわち、「意識と行動の変化を表す図表」を参考にしながら、今後の「人々の意識が目に見えるものから目に見えないものへ向かい、また、人々の行動が自分から他人に向かう展開」の検証である。
より詳しく申し上げると、「世界の絶えざる進化と創造」については、「日や月、そして、年の繰り返し」と同様に、「東西文明という陰と陽との繰り返し」によって発生する可能性を考えながら、「11次元にまで進化した自然科学」を、どのようにして、「3次元にとどまっている社会科学」に応用するのかを考えることである。別の言葉では、「ライプニッツの予定調和説」や「ヤスパースの枢軸時代」などが教えるとおりに、「人類を進化させるために神の見えざる手が働いている可能性」を考えることである。(2024.9.18)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion13945:241101〕