2025.2.6
時と金
「村山節(みさお)の文明法則史学」では、「西暦1200年から2000年」が「西洋の時代」であり、この期間は、「富への欲求」を中心とした物質文明が発展した時代だったものと考えている。そして、この中間期に生み出されたのが、西暦1600年前後の「時は金(かね)なり」という言葉だったが、過去の金融史を振り返りながら、この点を吟味すると、実にいろいろなことが見えてくる状況のようにも感じている。
具体的には、「時間とマネーとの関係性」であり、また、「マネーとクレジットの関係性」などであるが、実際には、「金(ゴールド)がマネーであり、その他はすべてクレジット(信用)である」という「JPモルガン」の言葉のとおりに、「金(ゴールド)が三次元の性質を持っているものの、クレジット(信用)については、将来的な約束を含んでいるために、四次元の性質を持っている状況」であることも理解できるのである。
別の言葉では、「ケプラーからニュートンへ」という言葉のとおりに、「西暦1600年前後」については、「自然科学」の分野においても、「三次元から四次元への次元的な上昇」が発生していたものと思われるが、実は、「社会科学」においても、前述のとおりに、同様の次元上昇の芽が出ていた可能性も考えられるのである。つまり、「マネーの膨張」については、基本的に、「資産と負債の残高が同時に増加する」という形の「信用供与」を意味しているが、この時の必要条件としては、「将来、決められた時期に、約束された契約が実施される」という点が指摘できるのである。
そして、このような前提のもとに、その後、「マネーの大膨張」が「共同体の規模拡大」も比例して進行していったわけだが、この点に関する特筆すべき変化としては、やはり、「1971年のニクソンショック」から始まった「政府などの信用を本位とした通貨制度」が指摘できるものと思われるのである。つまり、この時に発生した大変化は、それまでの「実物資産を裏付けとした通貨」ではなく、「信用だけを裏付けとした通貨」への大転換とも言えるからである。
より詳しく申し上げると、「氷のような状態だった金(ゴールド)」が、「時間的な猶予」を与えられたことにより、「水のような状態の紙幣」になり、現在では、「水蒸気のような状態のデジタル通貨」にまで変化したわけだが、この時の問題点としては、「どれほどの信用供与が、現在、実施されているのか?」、あるいは、「約束が実施されなかったときに、どれほどの被害が発生するのか?」が指摘できるものと考えている。
2025.2.7
時と神
「西暦1200年から2000年までの西洋の時代」においては、「時な金なり」という言葉が、多くの人々の賛同を得た状況だったが、今後の展開としては、「西暦2800年までの約800年間」が、東洋の精神文明が主体となる時代であり、この時には、「時は神なり」などの言葉が、人々の興味と関心を得るものと考えている。つまり、聖書にある「あなた方は、神と富とに同時に仕えることができない」という言葉のとおりに、「人間社会は、富の時代と神の時代を繰り返しながら進化していく状況」のようにも感じられるからである。
そして、この過程において、「次元的な上昇」が達成されるものと想定しているが、この点については、100年ほど前の「西洋の没落」という著書で、シュペングラーが「遠近法による次元上昇」も指摘していることも見て取れるのである。つまり、「二次元の絵画」に「遠近法」を応用することにより「三次元の空間」が産み出され、この時に造り出された距離が、その後、「四次元の時間」につながる展開のことである。
また、このような次元的な上昇については、「自然科学の発展」が、より顕著な例として挙げられるが、実際には、すでに「11次元」にまで上昇している状況とも理解されているのである。そして、この過程で発生した変化としては、「デジタル革命が除外した『0と1との間にある世界』に関する真理の追求」が挙げられるものと考えているが、実際には、「量子力学」などが指摘するとおりに、「時間の変化とともに空間や社会が、どのような変化を見せるのか?」を追求することのようにも思われるのである。
より具体的には、「相場の世界」からも明らかなように、「実際に起こる出来事は、たった一つであり、この中に『神の真理』が含まれている可能性」のことである。つまり、「三次元の世界」では、「未来予想」として「無限の可能性」が考えられるものの、実際に発生する現象は、わずか一つにすぎない状況であり、このことが、「三次元と四次元の違い」とも思われるのである。
別の言葉では、「生成AIが予想する未来」が「三次元における最も有り得そうな可能性」でありながら、「四次元の世界で起こる実際の現象」は、「ほとんどの場合において、誰も予想できなかった事態」であることも見て取れるのである。そのために、これから必要なことは、「歴史の全体像」を認識するとともに、「どれほどの次元上昇が、経済学などの社会科学で発生するのか?」だと感じている。
2025.2.10
裸の王様となったトランプ大統領
現在のトランプ大統領は、「多くの家来(イエスマン)を従えて行進している裸の王様」のような状態とも思われるが、実際には、「米国の武力や資金力を恐れる人々が、独裁者となったトランプ大統領の言いなりになっている状態」のようにも感じられるのである。別の言葉では、「影も形も存在しない現代のデジタル通貨」を全面的に信用する人々が、「トランプ大統領の機嫌取り」を行っている状況とも思われるが、今後の注目点は、「いつ、無垢な子供が、『王様は裸だ』と言い放つのか?」だと考えている。
より具体的には、「1971年のニクソンショックから始まった『政府の信用を本位とした通貨制度』が、いつ、崩壊の時期を迎えるのか?」ということでもあるが、この点に関して、最も注目すべきポイントの一つが、「BOE(バンクオブイングランド)が保有する5000トンの金(ゴールド)」のようにも感じている。つまり、現在では、「イギリスからアメリカへ金塊の大量移動が始まっている状況」となっており、この理由の一つとしては、「BOEの金庫に保有されていた金(ゴールド)が枯渇している可能性」も指摘され始めているのである。
より詳しく申し上げると、数十年前から指摘されていたこととして、「中央銀行の保有する金(ゴールド)が、売却されたり、あるいは、貸し出されたりしていた可能性」が挙げられるのである。つまり、「金利を産まない金(ゴールド)については、売却して債券に替えるべきだ」というような意見が出たことにより、「西洋の中央銀行が、保有している金(ゴールド)の売却や貸し出しを実施した可能性」のことである。
しかし、一方で、「西洋諸国の金融システム」に不安を抱く勢力は、「中国やロシアなどを中心として、大量の金(ゴールド)を購入した」という状況となっており、その結果として発生した現象が、「世界的な金(ゴールド)の奪い合い」とも理解できるのである。しかも、現在では、西洋諸国においても、「現物の金(ゴールド)に対する需要」が急増し始めるとともに、「デリバリー(現物の受け渡し)」に関して遅延が発生し始めた状況となっていることも見て取れるのである。
そして、このことは、「米国を始めとした西洋諸国の資金力」に関して、「根源的な力」が枯渇し始めた状況を意味するとともに、「1990年代のアメリカ」と同様に、「双子の赤字で、海外からの商品購入が難しくなる事態が再現される可能性が出てきた状況」のようにも思われるのである。
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion14146 : 250314〕