本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(509)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう( ほんまゆたか) : ポスト資本主義研究会会員
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2025.3.18

法治国家と皇帝主義

現在の「トランプ大統領の暴走や愚行」については、「今後の世界が、どのような展開を見せるのか?」が気にならざるを得ない状況のようにも感じているが、実際には、さまざまな噂が出始めた「核兵器を使用した第三次世界大戦が始まる可能性」などのことである。別の言葉では、現在の世界情勢が、100年ほど前に「シュペングラー」が指摘した「皇帝主義によって崩壊する法治国家」が、ぴったり当てはまる状況のようにも感じられるのである。

そのために、現時点で必要とされることは、「なぜ、このような状態になったのか?」を、歴史的な観点から見直すことであり、具体的には、「共同体の規模拡大が発生させた通貨や貨幣の大膨張」、そして、「その裏側に存在した盲目的信用や隷従化によって作り出された皇帝主義」などのメカニズムを徹底的に解明することである。そして、この時に必要とされることは、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」を参考にしながら、「今後、どのような時代が訪れるのか?」を考えることのようにも感じている。

より詳しく申し上げると、現在の「ロシアとウクライナの戦争」などを参考にしながら、「今後、どのような展開が想定されるのか?」を考えることでもあるが、実際に起こっていることとしては、「第二次世界大戦までの帝国主義」ではなく、すでに始まっている「グローバル共同体の分裂と崩壊」が加速している状況とも思われるのである。つまり、「1991年のソ連崩壊」で発生した「形式的な国家分裂」が、現在、「実質的な内戦」となって発生している可能性のことだが、今回の戦争で世界が認識したことは、「戦争のコスト」ともいえる「経済的な悪影響の甚大さ」でもあったようだ。

具体的には、「世界第二位の軍事大国」と言われた「ロシア」が、これほどまでに「ウクライナの侵攻に手を焼いている状況」については、実際のところ、「世界中の国々が、侵略戦争に対する認識を改めている段階」とも思われるのである。つまり、「戦費の調達」のみならず、「他国との経済的な分断がもたらす悪影響」などにより、今後、「他国への侵略を企てる国家が激減する可能性」である。

しかも、現時点で予想されることは、以前から危惧されていた「金融界の大量破壊兵器」と呼ばれる「デリバティブ」の完全崩壊であり、仮に、この大事件が発生した時には、世界中の国々が、「資金的な枯渇」のみならず、「国内政治の大混乱」に見舞われる結果として、より一層、侵略戦争に費やす余裕がなくなる可能性も想定されるのである。

2025.3.19

金と国債を巡る攻防戦

最近の「米国における大量の金(ゴールド)や銀(シルバー)の現引き」と「先進各国における長期金利の上昇」については、「過去30年間にも及んだ金(ゴールド)と国債との攻防戦」が終焉の時を迎えたことを表す出来事のようにも感じている。つまり、今までは、「先進各国のメガバンクが政府と協調して、大量のデリバティブを積み上げながら、政府が発行する国債の購入に邁進してきた状況」だったことも理解できるのである。

より具体的には、「日本」を中心にして、「西洋の先進各国」が、「大量に発行された国債を購入しながら、その裏側で、貴金属のみならず、為替や金利、そして、株式の価格までをもコントロールしてきた状況」のことである。別の言葉では、「1971年のニクソンショック」から始まった「政府の信用を本位とした通貨制度」、および、「大膨張した通貨で支えられている現在の金融システム」を守るために、「簿外取引でのデリバティブの積み上げ」や「デリバティブを利用した市場価格操作」など、ありとあらゆる手段が行使されてきた状況のことである。

しかし、歴史の教訓としては、「どのようなバブルといえども、必ず、弾ける運命にある」という事実が指摘できるとともに、現在は、「未曽有の規模でのデジタル通貨バブル、あるいは、信用バブル」が、まさに崩壊の危機に瀕しているものと考えられるのである。つまり、「先進各国の長期金利上昇」におびえた人々が、慌てて、「現物の貴金属」を購入し始めたものと思われるが、このことは、今までに積み上がった「金(ゴールド)や銀(シルバー)の売りポジション」、および、「国債の買いポジション」が、急速な巻き戻しに見舞われている状況とも考えられるのである。

より詳しく申し上げると、現在の世界的な金融情勢は、「1991年のソ連」と似たような展開となっており、当時は、「長期金利の買い手」が消滅した後に、「短期金利の買い手」が消滅し、その後は、「インクが無くなるまで、大量の紙幣増刷が実施された状況」だったことも見て取れるのである。

そして、このような状況下で、「将棋の米永元名人」が述べたことは、「ルーブルで金(ゴールド)を買っていたら大儲けできた」ということだったが、今回は、「デジタル通貨で金や銀を買っておけば、金融大混乱を無事に乗り切れるのではないか?」ということであり、このことは、私が今まで申し上げてきたことであるとともに、現時点では、すでに「未曽有の規模での金融大混乱」が始まった段階のようにも感じられるのである。

2025.3.20

皇帝主義の弊害

西暦2010年前後に完成したものと思われる「世界の皇帝主義」、すなわち、「中ロの軍事的独裁体制」や「米国の資本的な独裁体制」については、現在、「さまざまな弊害」が露呈し始めているものと感じている。具体的には、「中ロの軍事的な帝国主義」であり、また、「米国への資本集中」のことだが、実際には、「プーチン大統領によるあまりにも無謀なウクライナ侵攻」であり、また、「中国による台湾進攻の懸念」、そして、「トランプ大統領による暴力的な経済政策」のことである。

そして、この点については、100年ほど前に著された「シュペングラーの西洋の没落」で述べられていることでもあるが、具体的には、「大都市の知性と貨幣」という「共同体の規模拡大がもたらした通貨の大膨張」と「一般大衆の隷従化」により、「権力を持った独裁者が、国民の生活を破壊し始める状況」のことである。別の言葉では、「このような過程を経て一般大衆の覚醒が始まる可能性」も想定されるが、「1600年に一度」とでもいうべき大混乱に見舞われた人々にとっては、「歴史の全体像」などを考える余裕はなく、単に、日々の出来事に一喜一憂せざるを得ない状況とも考えられるのである。

そのために、現時点で必要なことは、すでに始まっている「グローバル共同体の崩壊と分裂」に関して、「歴史の全体像」を踏まえながら「原因」や「要因」を考えることだと思われるが、実際には、「貨幣の歴史」を認識しながら、「現在の世界情勢が、膨張した貨幣によって、どのように変化してきたのか?」を理解することである。別の言葉では、今後の「貨幣残高の実質的な激減期」に際して、「どのような社会変化が発生するのか?」を、世界中の人々が考え始める展開のことである。

より具体的には、「デリバティブの完全崩壊とともに、さまざまな金融機関が破綻する可能性」であり、また、「この様な状況下で、大量の紙幣が世界的に増刷される可能性」を考えることである。しかも、この時には、「金融界の白血病」という「紙幣がコンピューターネットワークの中を流れることができない事態」も想定されるために、現在の「膨大な金額の金融商品」に関しては、今後、「決済面での問題」が発生するものと思われるのである。

つまり、すでに始まった「貴金属の奪い合い」と同様に、「実物資産の奪い合い」が発生するものと思われるが、その時に重要な役割を果たすのは、現在の「デジタル通貨」ではなく、「以前の金や銀、あるいは、銅などの貨幣」だと考えている。

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion14211 : 250425〕