グローバリズムとローカリズム
現在、世界では、「トランプ大統領のコメント」で大騒ぎの状態となっているが、この時の注意点は、「グローバリズム(地球主義)」と「ローカリズム(地域主義)」を、よく理解することだと考えている。つまり、「米国内に工場を建設しろ」というような意見については、実際のところ、「1980年代初頭からの意見」であり、この観点からは、「アメリカの実体経済」が、すでに、「ローカリズムや保護貿易主義へと転換している状況」とも考えられるのである。
しかし、一方で、「デリバティブ(金融派生商品)」を中心にした「金融商品」については、「2008年のリーマンショック」の前後まで、「アメリカが、積極的にグローバリズムを推進した」という状況でもあった。そのために、現時点で必要なことは、「実体経済」と「マネー経済」とにおいて、「どの国がグローバリズムを推進し、一方で、どの国がローカリズムに走っているのか?」を理解することだと考えている。
別の言葉では、「どの国も、競争力のある商品については、積極的に、海外展開を図る」ということが、経済の基本であり、この観点から、現在の世界情勢を眺めることである。そして、現在の「アメリカ」については、「実体経済」のみならず、「マネー経済」においても、すでに「ローカリズム」を推進している状況とも想定されるが、問題は、「この時に、どのような事態が発生するのか?」という点である。
つまり、最初に「実体経済の成長」が存在し、その後に「マネー経済の大膨張」が可能になったという順番を理解することだが、今回の「トランプ大統領の政策」については、この点を無視するとともに、「米国政府への信頼」を崩壊させる効果が存在するようにも思われるのである。具体的には、「マネー経済の崩壊」を早める効果が存在するようにも感じているが、このことは、昨年半ばに大転換した「世界の金利」を、更に上昇させる状況とも想定されるのである。
別の言葉では、世界的な「国債価格の暴落」を促進する可能性のことだが、このことは、世界的な「グローバリズム」を崩壊させるだけではなく、「資本主義」そのものに対する「脅威」とも言えるようである。つまり、「トランプ大統領」の役割は、すでに、終焉の時を迎えている「資本主義社会」に関して、はっきりとした形で、崩壊させることのようにも思われるが、この時の問題点は、ほとんどの人が、「資本主義の次に、どのような時代が訪れるのか?」を理解できていないことでもあるようだ。(2017.1.13)
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資本主義から大順主義へ
現在では、世界中の人々が、「資本主義社会の終焉」について、「心の底で認識し始めた状況」のようにも思われるが、この時に必要なことは、「資本主義とは、一体、何だったのか?」、そして、「人類の歴史において、資本主義が、どれほどの期間継続したのか?」を正確に理解することだと考えている。また、「終わりは始まりである」という言葉のとおりに、「一つの時代が終焉すると、次の新たな時代が始まる」という「過去の歴史」を、深く認識する必要性があるようにも感じているが、現在の問題点は、「ただ闇雲に、資本主義社会の終焉を恐れる態度」でもあるようだ。
つまり、「村山節氏」が発見した「文明法則史学」によると、「人類の歴史は、800年毎に、東洋と西洋とで入れ替わる」とも考えられている。そして、「資本主義」については、「西暦1200年から西暦2000年」の「西洋の時代」において、「西暦1800年前後から現在までの、僅か200年前後の期間に誕生した社会制度」とも言えるのである。別の言葉では、「諸行無常」という言葉のとおりに、「世の中は、常に変化する」ということが、当然の常識でもあるが、人間の性(さが)としては、「今まで続いたものは、今後も継続する」と考えがちになってしまうのである。
そのために、私自身としても、「1999年」から、「マルクス経済学者の降旗節雄先生」が主宰されていた「ポスト資本主義研究会」で、長年、「資本主義の後に、どのような時代が訪れるのか?」を考え続けてきたが、現在では、ようやく、答えが見つかったようにも感じている。つまり、「市場経済」と「共同体(コミュニズム)」の関係が、降旗先生が、基本的に述べられていたことだが、この点に加えて、「老子」に書かれている「大順」という言葉により、ある程度、今後の展開が予想できるようにも思われるのである。
具体的には、「ケプラーからニュートンへ」という表現のとおりに、「自然科学」が進化した理由は、「大自然の仕組み」に関して、「素直に観察し、普遍的な真理を発見する」という点が指摘でき、このことが、前述の「大順」が意味することのようにも思われるのである。そして、今後は、「経済」を始めとした「社会科学」においても、「人類の歴史」を徹底的に研究し、また、現在の「AI(人工知能)」などを応用することにより、今後、飛躍的な発展を遂げるものと考えている。つまり、「人類の歴史は、絶えざる進化と創造の歴史である」という言葉のとおりに、今後は、素晴らしい時代の到来が予想されるのだが、やはり、問題は、「文明の移行期に予想される、さまざまな混乱期」であり、実際には、「民族の大移動」や「インフレ」のことである。(2017.1.13)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion6502:170211〕