求道者の減少した社会
かつて、日本には、数多くの「求道者(ぐどうしゃ)」が存在した。「真理」を求め、「人生の意味」や「大自然の理」などを考える人たちである。そして、彼らの存在により、「自然科学」や「社会科学」が発展し、「便利で快適な生活」が可能になったものと思われるが、現在では、反対に、「真理よりも、お金を求める人々」が急増した状況とも言えるようである。つまり、「自分の利益」だけを考え、「他人の痛み」や「地球環境の劣悪化」などを無視し続けている人々のことだが、この結果として発生した事態が、「マネーの大膨張」であり、また、「数多くの自然災害」とも想定されるようである。
別の言葉では、「現在の人生」だけを考え、「子孫」や「来世の人生」などを無視した人々のことでもあるが、このような状況下で、実際に、かつての「求道者」たちの書物を読むと、「現在が、いかに危機的な状態にあるのか?」に、思いを馳せざるを得ないようにも感じている。つまり、「諸行は無常である」という言葉のとおりに、「世の中は常に変化するとともに、現在の利益や名誉は、あの世に持ってはいけない」という厳然たる事実を、現代人が、忘れ去った状況のようにも思われるからである。
しかも、現在では、「現世の行いが、来世に反映される」という点などは、「非科学的な意見である」とも考えられているようだが、現在の「科学」と呼ばれるものは、「天地自然の理」に関して、「きわめて僅かな部分が解明されただけにすぎない状況」のようにも思われるのである。つまり、今後は、「科学の更なる発展」により、「此岸」という「この世」だけではなく、「彼岸」という「あの世」の存在も解明されるものと想定しているが、現在、最も危機的な点は、やはり、「現代の神様」となった「お金」が、実は、「単なる数字」であり、「実態が存在しない状況」とも考えられるようである。
別の言葉では、「お金」だけを信用し、「そのほかは、何も信用できないような社会」を生み出した現代人が、今後、「お金が、実は、全く信用できないものである」という事実に気付かされた時に、「どのような行動を取り始めるのか?」が気に掛かるが、その時には、「歴史は繰り返す」という言葉のとおりに、かつて存在した「求道者」が増え始める状況も想定されるようである。
つまり、「真理」を求め始める人々が増える状況を想定しているが、「世界の歴史」については、結局のところ、この繰り返しにより、常に、進化、発展し続けている状況とも考えられるようである。(2017.5.15)
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「心の闇」と「真理の光」
「日本の歴史」を研究すると、色々と「不思議な出来事」に遭遇するが、特に、私自身が気になるのは、「明治維新」や「第二次世界大戦」における「日本人の意識変化」である。具体的には、「明治維新」をキッカケにして、「約250年も続いた幕藩体制が、突如として、崩壊した」、また、「第二次世界大戦」をキッカケにして「それまでの軍国主義が民主主義に大転換した」という状況のことである。つまり、当時の人々は、「なぜ、幕藩体制が崩壊したのか?」、また、「なぜ、日本が戦争に負けたのか?」などを、真剣に悩み、かつ、苦しんだようにも感じられるのである。
別の言葉では、「実際の大事件」が発生した後に、「事実を受け入れざるを得ない状態」となったようだが、不思議な点は、「なぜ、事前に、時代の大転換を予想する人が、ほとんどいなかったのか?」ということである。つまり、「ほとんどの人が、時代の大波に巻き込まれ、右往左往した状況」でもあったようだが、反対の観点からは、「節から芽が出る」という言葉のとおりに、「大混乱期の節目」が存在したために、その後、「日本経済が飛躍的に発展した可能性」も存在するのである。
また、「なぜ、今回、私自身が、この点を気にするのか?」については、現在が、多くの人が予想しているように、「明治維新」と「第二次世界大戦」に続く、「第三の敗戦期」を迎えているものと思われるからである。具体的には、「日本」のみならず、「世界全体が、金融面での大混乱期に遭遇する可能性」のことだが、現時点で感じることは、「心の闇」が「時代の閉そく感」を産み、一方で、実際の「大事件」が、人々に対して「真理の光」を与えてくれる可能性である。
より具体的には、「時代は、常に変化する」という「真理」に対して、「人々の認識」が追い付かない時に、「心の闇」が発生し、その後、「大事件」に遭遇した時に、「なぜ、このようなことが起こったのか?」を考え、「歴史の真実」を受け入れるとともに、「真理の光」が照らし出されたようにも感じられるのである。
具体的には、多くの人が、「なぜ」を問うた時に、「歴史の謎」が、ある程度、解明されたようにも感じられるのである。そして、今回も、間もなく、「なぜ、お金が紙切れになったのか?」と、世界中の人々が悩む状況も想定されるようだが、実際には、歴史上、当然のことが起きただけにすぎず、結局は、「人々の心の闇が、真実を隠していた状況」だったことに気付かざるを得ない事態が到来するものと考えている。(2017.5.15)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6723:170612〕