本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(164)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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中国の夢と上海協力機構

「6月9日の産経新聞」で、「上海協力機構(SCO)へ、インドとパキスタンの加盟が承認された」という記事が掲載されたが、海外の識者は、この点に、大きな注目をしているようである。具体的には、私自身も、初めて耳にした「ハートランド理論」を、現在、「中国」や「ロシア」などが、「通貨戦争」において採用している可能性が指摘されているが、同時に、今まで、「中国」や「ロシア」、そして、「インド」が、「なぜ、金(ゴールド)を大量に買い続けているのか?」の理由として「金融面での中軸地帯を作ろうとしている可能性」が示唆されているのである。

つまり、「習近平氏」の「中国の夢」として、「2049年」の「新中国建国100周年」までに「世界の覇権国家となる目標」が存在するようだが、この時に、「上海協力機構」(SCO)が、現在の「経済協力開発機構(OECD)」の代替機関となる可能性が考慮されているのである。具体的には、今回、「加盟8カ国で、世界の人口の43%、国内総生産(GDP)の24%を包含する機構」となったが、この時に、「金本位制構想」が計画されている可能性も示唆されているのである。

また、この点については、現在の「通貨戦争」が「最終局面に突入した」という認識とともに、「米国におけるトランプ大統領の就任が、戦争のペースを速めた」とも理解されているようである。つまり、今後は、「中国」と「ロシア」が、「アメリカの失敗」を待つのではなく、「独自の政策」を実行する段階に入ったとも考えられているようだが、このことは、前述の「国債」と「金」とを巡る「金融大戦争」において、「国債価格の暴落後に、金本位制を推進しようとする動き」のことである。

より具体的には、今後、「アメリカ」を中心とした「西洋諸国」は、「1991年のソ連」と似たような苦境に陥る可能性があるために、今まで、「中国」や「ロシア」などの国々が、「次の覇権国家」を目指して、着々と準備を積み重ねてきたものと考えられるのである。しかし、この点については、「歴史の法則」を無視した「時代錯誤の考え方」とも言えるようであり、私自身としては、まったく違った展開を想定している。

具体的には、「武力」や「資金力」で、「他の国々を支配する体制」が、今後、「時代遅れの考え方」になる可能性のことであり、実際には、「文明法則史学」が教える「東洋の時代」が、「過去800年間の西洋の時代」とは、まったく違った価値観が広まる可能性のことである。(2017.7.11)

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屈辱の100年と大分岐

「7月1日」の「英国エコノミスト誌」に「習近平氏の『中国の夢』、千年間のGDPで精査」という記事が掲載された。具体的には、「中国の習近平国家主席には歴史認識に誤りがあり、この点を、三人の中国とイギリスの歴史学者が、資料を基にして検証した」という内容だが、「習近平氏」は「屈辱の100年」という言葉を使い、「1839年のアヘン戦争から、1949年の中国共産党の設立までの間、中国は、屈辱の約100年間を経験した」と考えるとともに、「2049年」の「新中国建国100周年」までに「世界の覇権国家となる目標を立てている」とも報道されているのである。

しかし、実際には、「2017年4月」に「英国のオックスフォード大学」で発表された「中国、ヨーロッパ、そして、大分岐:西暦980年から1850年における歴史的な国家会計の研究」という論文で、「英オックスフォード大学のスティーブン・ブロードベリー氏」、「中国・北京大学の管漢暉氏」、そして、「北京にある清華大学の李稻葵氏」の三氏が、「中国は、数百年前から欧州に後れを取っていた」という内容の意見を述べているのである。

そして、この点については、「Great Divergence(グレートダイバージェンス 大分岐)」という、「1990年前後に、サミュエル・ハンティントンという学者が造った言葉」が参考にされているが、この研究では、「中国が、19世紀どころか、14世紀には、欧州主要国に追い抜かれていた」という事実が示されているのである。別の言葉では、習氏が考える「中国の夢」には根拠がないために、「実現性」や「魅力性」に疑問が呈せられているのである。

ただし、この点については、今から半世紀ほど前に「村山節氏」が発見した「文明法則史学」により、より詳しい理解が可能だと考えているが、具体的には、「今後、東洋の時代が始まるものの、世界の覇権国家という概念そのものが時代遅れになる可能性」である。つまり、「西洋の時代(西暦1200年から2000年)」における「価値基準」は、「唯物論」や「市場経済」だったが、今後の「東洋の時代(西暦2000年から2800年)」においては、「唯心論」や「共同体」への変化が予想されるのである。

別の言葉では、今後、「経済学」を始めとした「社会科学」が、急速に進化することにより、「人々の、精神面での意識向上」が予想されるために、全く新たな社会が形成されるものと考えている。(2017.7.12)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6862:170814〕