ジャクソンホール会議におけるイエレン議長演説
「8月25日」に「ジャクソンホール会議」で「イエレンFRB議長の演説」が行われたが、内容としては、大きな「違和感」を覚えざるを得ないものであり、実際のところ、「イエレン議長の真意は、別にあるのではないか?」とも感じられた次第である。具体的には、「10年前の世界的な金融大混乱(GFC)」については、「私の想定以上の表現を使い、きわめて厳しい見方をしていた」という状況でありながら、一方で、「その後の展開」については、「さまざまな法律改正などにより、金融システムが安定してきた」とも述べられているからである。
そのために、この点に注意しながら、演説内容を吟味すると、何らかの「意図」が存在するようにも感じられたが、実際には、「金融システム」の内容に関して、「民間の金融部門」と「国家の財政問題」とを区別し始めた可能性とも言えるようである。つまり、「民間の金融部門」については、いろいろな「規制」や「法律改正」などにより、「大きすぎて潰せない(Too Big To Fail)」というリスクが減少した点だけを強調されているのである。しかし、一方で、「国家の債務問題」や「出口戦略」などについては、ほとんど言及されていなかったが、この点については、「イエレン議長の任期」と、深く関連している可能性も存在するようだ。
つまり、「2018年1月に、再任されるか否か?」という点に関して、実際には、「今季限りで退任を望んでいる可能性」が存在するようにも感じられた次第である。別の言葉では、今回の演説で主張したかったことは、「自分の任期中は、できる限りの金融政策を実施した」、その結果として、「個別の金融機関については、たいへん健全な状態となった」という点だったようにも思われるのである。より具体的には、「自分の任期終了後は、どのようなことが起きても、自分には責任がない」という点を強調したかったものと推測されるのである。
このように、「FRBの次期総裁に、誰が任命されるのか?」が、今後の注目点だと考えているが、実際のところは、「年内にも、国債価格の暴落により、国家財政の破たん問題が再燃する可能性」が存在するようにも思われるのである。その結果として、今後は、「世界全体」における「通貨制度の問題」も考慮すべき段階に差し掛かったものと思われるが、「イエレン議長の真意」としては、「ハイパーインフレで、全ての借金を棒引きにする政策」が実施されることにより、「自分の責任追及」にまでは及ばない状況を確信した状況のようにも感じられた次第である。(2017.9.4)
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工業用メタルの価格上昇
現在、「銅」や「亜鉛」などの「工業用メタル」の価格が急上昇している。具体的には、「銅」の場合、「過去2か月間で約2割」、「過去1年間で約5割」もの価格上昇となっているが、この理由としては、「世界的な需要の増加」と「資源枯渇による供給の減少」が考えられているようだ。しかし、私自身としては、「大膨張したマネーの破裂現象」を想定しており、このことは、「今まで割安に放置されていたものの、今後、値上がりが見込まれる商品」への「資金移動」が始まった可能性である。
つまり、現在では、典型的な「ギャロッピング・インフレ」が発生している状況とも言えるようだが、今後の注目点は、「いつ、この動きが、貴金属に波及するのか?」でもあるようだ。具体的には、現在の「国債」と「金」とを巡る「金融大戦争」において、「国債を守る陣営」である「日米欧の国々」は、今まで、「国債を買い、金を売り叩いてきた」とも言われている。しかし、一方で、「金を信用する陣営」である「中国」や「ロシア」などは、「上海協力機構(SCO)の強化」や「金本位制の導入」などを目論んでいる状況とも報道され始めているのである。
また、この時に、先進国で重要な役割を果たしてきたのが、「ゴールドマンサックス」などの「メガバンク」であり、実際には、「デリバティブ」などを駆使して、「金や銀の価格を抑え込むことに、大きな役割を果たしてきた」とも推測されている。つまり、「日米欧の国々」にとって、「メガバンク」の存在は、必要不可欠なものだったようだが、現在、海外で噂されていることは、「ゴールドマンサックスなどのメガバンクが、中国と結びついた可能性」である。
つまり、今までと反対に、「金や銀の価格を押し上げる動き」を始める可能性のことだが、かりに、この噂が正しいとすると、今後は、「貴金属価格の急騰」という事態を想定すべき段階に入ったようである。別の言葉では、「国債を守る陣営」が「インフレ政策により、国債残高を棒引きにする方法」を選択し始めた可能性だが、このことは、「ユダヤ人」が、「米国」よりも「中国」を支持し始めた状況とも言えるようである。
そのために、今後の「貴金属価格」には、大きな注意が必要だと考えているが、最も注目すべき点は、やはり、「この時に、現代通貨が、どのような運命を迎えるのか?」、より具体的には、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制」が、「どのようにして終焉の時を迎えるのか?」ということだと考えている。(2017.9.4)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion7000:171003〕