本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(179)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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囚人のジレンマ

「11月29日」に行われた「中曽日銀副総裁の講演」が注目を浴びているが、その理由としては、「預金口座の管理料」に言及した点が指摘されている。つまり、日本でも、欧米並みに、「預金口座の管理に対して、料金を徴収する意見」を述べられているが、私自身としては、「中曽副総裁の真意」は、別のところに存在しているようにも感じており、実際には、「囚人のジレンマ」という言葉が、たいへん気に掛かる状況でもある。

ただし、この点については、「銀行間の過度の金利下げ競争」と「銀行の収益性」に関する「ジレンマ」とも説明されており、具体的には、「互いに過度な金利競争を回避すれば収益を維持できる一方、自行だけが競争から離脱すれば、他行に顧客がシフトし一人負けする可能性がある」という点を指摘されている。しかし、実際には、海外の銀行と同様に、「金利の競争」ではなく、「多様な金融商品の提供」という「別の競争」により「収益の向上」を図る方法も存在するのである。

そのために、「中曽副総裁」は、今回の演説で、「地域金融機関の苦境」を説明しながら、実際のところは、「日銀の苦境」を訴えたかった可能性も考えられるようである。具体的には、「財務省の言いなり」となり、「日銀の独立性」が、ほとんど失われたような状況に対して、「日銀の生え抜き」として「大きな危機意識」を持っている可能性であり、この点が「囚人」という言葉で表現されたようにも感じられるのである。

つまり、現在では、「異次元の金融緩和」が行き詰まりを見せており、実際には、「国債を買い増しする資金的な余裕」が無くなりつつある状況とも考えられるのである。しかも、この時に、「国債入札に関する問題」、あるいは、「国債価格の暴落懸念」も存在するために、「今後、日銀が、どのような方法を取れるのか?」、あるいは、「日本全体が、どのような状況になるのか?」が憂慮される状況とも考えられるのである。

別の言葉では、「預金から株式や貴金属への資金移動が望まれる状況」とも想定されるために、今回、あえて「銀行口座に関する管理料」が指摘されたようにも感じているが、この点については、今後、「中曽副総裁」が言及された「金融のメルトダウン(炉心溶融)」が「紙幣の部分」にまで達した時に、全てが明らかになるものと考えている。そして、この点に関する「時間的な余裕」は、ほとんどなくなったものと考えているが、実際には、「ビットコインのバブル」が弾けた時から、「実物資産価格の上昇」という、本格的な「インフレ」が始まるものと想定している。(2017.12.9)

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キャッシュレス社会の到来!?

現在、マスコミでは「キャッシュレス社会の到来」が話題になっているようだが、この点には、大きな注意が必要だと感じている。つまり、「お金の性質」から考えると、きわめて危機的な状況にあり、実際には、「信用のバブルが個人レベルにまで到達した状況」とも想定されるからである。別の言葉では、「世界中の人々が、目に見えない通貨に対して、過剰な信頼感を抱いた状態」とも想定されるが、このことは、「通貨の質が劣化しながらも、通貨の量が増えた状況」とも言えるのである。

より具体的には、私が想定する「信用本位制」が窮まった段階であり、この点については、「1971年のニクソンショック」以降の、世界的な「マネーの大膨張」に関する理解が必要不可欠の状況とも言えるようである。つまり、現在では、「金融システムのメルトダウン(炉心溶融)」が、「預金」の部分にまで達した状態であり、その結果として、「ビットコインのバブル」が発生したものと考えられるのである。

別の言葉では、「1929年の大恐慌の時に、最後の段階で、靴磨きの人までもが株式投資に熱中した」というような状況が、現在、「預金」や「通貨」で発生しているものと思われるのである。そのために、今後の注目点としては、「ビットコインのバブルが崩壊した後に、どのような状況が想定されるのか?」であり、実際には、「金融システムのメルトダウン」が「紙幣の部分」にまで到達する状況を想定している。

具体的には、「日銀」を中心にして、「資金繰りが、より一層、逼迫化する状況」のことだが、実際のところ、現在では、「日銀が、これ以上、国債の買い増しができない状態」となっているものと推測されるのである。そして、この実情が、広く知れ渡った時に、「国債価格の暴落」が始まり、その結果として、「日銀が、大々的な紙幣の増刷を、世界に先駆けて行う可能性」が、きわめて高くなっているのである。

そして、このことが、以前から申し上げている「ギャロッピング・インフレ」から「ハイパーインフレ」への移行過程でもあるが、このような状況を考えると、「キャッシュレス社会の到来」については、まだ先のことであり、実際には、「AI(人工知能)」や「IoT」の更なる普及が不可欠なようにも感じている。つまり、今後は、「貴金属」に対する興味と関心が広がるものと考えているが、この点については、今後、「先進各国の中央銀行」が破たん状態に陥った時に、世界的な大問題となり、その時には、「キャッシュレス社会の到来」は、ほとんど忘れ去られる可能性も憂慮している。(2017.12.15)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion7284:180120〕