本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(185)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
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インフレ懸念の台頭

最近、世界的に注目されていることとして、「インフレ懸念の台頭」があるが、この言葉から連想されることは、やはり、「1970年代初頭の世界情勢」である。つまり、「1971年のニクソンショック」、そして、「1973年の石油ショック」のことであり、実際には、「1973年の初め」に、この言葉が使われたのである。そして、その後は、「1974年の狂乱物価」に繋がるとともに、「1970年代末まで、インフレの嵐が世界を吹き荒れた」という状況でもあった。

そのために、今後の展開に、大きな注意を払っている状況でもあるが、特に注目すべき点は、「1970年代」と「現在」との「違い」を理解することだと考えている。つまり、「1970年代のインフレ」については、実際のところ、「スタグフレーション」という言葉が産み出されたように、「景気低迷下の物価上昇」でもあったが、この点については、「戦後の高度経済成長」が終焉し、その後の「マネーの大膨張」が始まるキッカケの出来事だったようにも感じている。

そして、より重要な点は、「当時の世界的な国家財政が、きわめて健全だった」という事実であり、このことは、「通貨価値の下落」という「本当の意味でのインフレ」が起こる可能性が低かったことを意味しているのである。つまり、それまでの「金本位制」から、私の提唱する「信用本位制」へと「通貨制度の変更」が起きたことにより、「通貨の価値」が不安定の状態となったようにも感じられるのである。

しかし、今回は、まったく違った状況であり、実際には、「歴史的にも、未曽有の規模で発生したマネーの大膨張」、あるいは、「人類史上、初めてのマイナス金利」など、既存の「金融システム」や「通貨制度」に関して、壊滅的な打撃を与える条件が、すべてそろった状況のようにも感じられるのである。

そのために、今後、「インフレ懸念が、実際のインフレに変化する可能性」に注目しているが、今回は、前述の「スタグフレーション」ではなく、本格的な「インフレの到来」を想定している。つまり、「1991年のソ連」や「1923年のドイツ」のように、「ハイパーインフレ」が発生する可能性のことだが、最近、海外では、この点に関するレポートが出始めるとともに、「どのような原因、そして、道筋で、ハイパーインフレが進行したのか?」を詳しく調べているが、「日本人」は、いつものとおりに、「ハイパーインフレ」が発生した後で、「こんなはずではなかった」と嘆く状況も考えられるようである。(2018.2.22)

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絶対的他力本願

「親鸞」が主張することに「絶対的他力本願」があるが、私自身としては、今まで、このことに対して否定的な考えを持っていた。つまり、「自分の努力」が重要であり、「他人の力」に頼ることを嫌っていたからだが、「還暦」を過ぎた頃から、徐々に、この認識に変化が起きてきたようにも感じている。具体的には、「人知の限界」とともに、「天地自然の理」が偉大であり、また、きわめて奥深いことにも気づかされたからだが、この点については、実際のところ、「絶対的他力」という「天の計らい」や「神の恩寵」とでも呼ぶべきものが存在するようにも思われるのである。

より具体的には、「全ての人に、最高の環境が与えられている可能性」のことだが、私自身の間違いは、このことに対する理解が不正確だった点でもあったようだ。つまり、「最高の環境」とは、「その人の人間性、あるいは、精神的なレベルを上げるための環境」であり、決して、「地の位」という「地位や名誉、あるいは、お金」などでの成功を意味していないものと思われるのである。

別の言葉では、「現代人」が追い求めるものが、ほとんどの場合において、「地の位における成功」とも思われるが、「天」や「神」が求めるものは、「天の位における成功」のようにも感じられるのである。つまり、「与えられた環境の中で、精一杯の努力をする態度」であり、この結果として、知らないうちに、「精神的なレベル」が上昇するものと考えられるのである。

より具体的には、今回の冬季オリンピックで「金メダル」を受賞した「小平奈緒選手」のように、「求道者」という「真理」や「究極の方法」などを求め続ける態度のことだが、当然のことながら、この時には、「数多くの失敗や苦難」が伴うことも想定されるのである。換言すると、「天の位」を上げる努力が重要であり、この時には、「地の位」が気にならなくなるものと思われるのである。

また、このことが、「唯心論」という、今後の「東洋の時代」における中心的な考え方になるものと思われるが、「西洋の時代」の「唯物論的な考え方」に捉われている現代人には、理解が難しい可能性も存在するようである。そして、何らかの「劇的なショック」が起こらない限り、「意識の大転換」が起こらないようにも感じているが、これから想定される「世界的な大インフレ」については、まさに、この点に関する「天の計らい」とも考えられるようである。(2018.2.22)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion7499:180322〕