地に堕ちた財務省
「森友学園問題で、財務省が、公的文書の書き換え、あるいは、改竄(かいざん)を認めた」という前代未聞の事件が発生したが、この点については、「信用創造のメカニズム」と深い関連が存在するようにも感じている。つまり、下記のグラフのとおりに、「信用創造」が行われ、結果として、「マネーの膨張」が発生してきたが、問題は、「1990年のバブル崩壊」以降、「不良債権」が、この逆の順番で移行した点である。
具体的には、最初に、「民間企業」や「個人」に「不良債権」が発生し、さまざまな不祥事が発覚したのだが、その後、「民間銀行」へ不良債権が移動し、「1997年」には、「山一証券」や「北拓銀行」が、「飛ばしの発覚」などにより、倒産の憂き目にあったことも記憶に新しいものと思われる。そして、その後は、「不良債権」が消滅するのではなく、単に、「国家」や「中央銀行」に移動した状況となり、現在では、「財務省」などの「官僚組織」において、多くの不祥事が発生しているようにも感じられるのである。
また、この時に思い出されるのが、「民間企業」においても、以前に、「権力」を持った人に反抗できない状況が発生し、結果として、「問題の先送り」や「不祥事の隠蔽」などが発生した状況である。別の言葉では、「多くのサラリーマンが、自己保身に走った結果として、企業の存続が危うくなった事態」のことだが、現在では、このような状況が、「国家」や「日銀」で発生しているようにも感じられるのである。
その結果として、「国家の体力」が失われ、また、「国民の気力」も失われつつある状態とも言えるようだが、歴史を見ると、このような状況下で発生する現象は、「全ての国民が驚く事件」であり、今回は、やはり、「大インフレ」が想定できるようである。(2018.3.12)
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パンドラの箱
最近、色々な所で「パンドラの箱」が引用されているが、この理由としては、「トランプ大統領の貿易規制」や「世界的な利上げ」などが、今後、大きな「災い」を世界にもたらす状況が危惧されているからのようだ。つまり、「ギリシャ神話」では、「パンドラの箱」が開き、「疫病や悲嘆、あるいは、欠乏や犯罪」など、さまざまな災いが飛び出したために、慌てて箱を閉じてしまい、箱の中には「希望」のみが残ったといわれているのである。
つまり、今後、「パンドラの箱」が開き、「災い」が出る状況が想定されているようだが、私自身としては、「1971年のニクソンショック」の時に「パンドラの箱」が開かれ、「人類の欲望」が全面的に開放されたものと考えている。具体的には、この前後から「マネーの大膨張」が始まったが、基本的に、「マネー」は「信用」を形にしたものである。また、「欲望」が「マネーの膨張」の原動力とも言えるようだが、実際に、その後は、「未曽有の規模で、さまざまな金融商品が増え続けた状況」でもあった。
このように、過去数十年間は、「金融面における戦国時代」とでも呼ぶべき様相を呈したが、実際のところ、世界各国で、数多くの「富豪」が誕生し、また、「お金があれば、人々の心まで買うことができる」とまで、多くの人が信じた状況となったのである。その結果として、「お金のためなら、人の命まで奪う」というような「保険金殺人」が多発し、また、多くの「サラリーマン」は、「給料をもらうために、会社の言いなりにならざるを得ない状況」までもが発生したものと考えられるのである。
つまり、現在は、閉じられた「パンドラの箱」に「希望」だけが残り、世界全体が「闇」の状態となっているようだが、これから想定されることは、「パンドラの箱」が、再び開けられるとともに、「希望」が、世界の人々に「光」を与える可能性である。そして、今後の注目点は、「誰が、パンドラの箱を開けるのか?」だと思われるが、実際には、「個人の良心」のようにも感じている。
具体的には、「このままではいけない」という「想い」が、人々の行動を変化させる可能性のことだが、この観点から言えることは、冒頭の「トランプ大統領の存在」は、単に、人々に「気付き」を与える効果しか無かったものと考えている。別の言葉では、さまざまな「反面教師」が現れることにより、「世界中の人々に、覚醒の機会を与えている可能性」のことだが、かりに、私の推測が正しいとしたら、「世界は、間もなく、最も暗い局面を迎え、その後に、新たな時代が到来する状況」が想定できるようだ。(2018.3.12)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion7552:180411〕