金融抑圧の終了する日
「2008年9月のリーマンショック」以降、私が最も悩まされた問題は、「何時、世界の金利が上昇を始めるのか?」ということだった。つまり、「2008年前後のGFC(グローバル金融危機)」で「世界のマネー残高がピークを付けた」という状況でありながら、その後、「お金の値段」を表す「金利」が低下を続けてきたからである。そのために、私自身としては、「デリバティブ(金融派生商品)の大膨張」が、その後の「量的緩和(QE)」に対する資金源であると考えるとともに、「暦の左右対称理論が利用できるのではないか?」とも考えていた。
つまり、今までは、「2001年」に発生した「9・11事件」が、「デリバティブ大膨張の起点」であり、また、「同様の期間を当てはめることにより、金融抑圧の終了時期が読めるのではないか?」とも考えていたのである。しかし、実際には、予想が外れ、想定外の「超低金利状態」が継続したのだが、今回は、この点に関して、新たな「閃き」が得られたようにも感じている。
暦の左右対称理論
具体的には、単純に、「信用崩壊の終了時期」とも言える「LTCMの破綻」が発覚した「1998年9月18日」を起点にして、「2008年9月15日」に発生した「リーマンショック」に対して、「暦の左右対称理論」を応用する方法である。別の言葉では、今まで、「末尾に7の付く年に、金融混乱が発生する」という点にとらわれ過ぎていたようだが、実際には、「末尾に8のつく年」に、「信用収縮」や「マネーの大膨張」が転換点を迎えていたのである。
そのために、今回は、「2018年の9月半ば」が、「金融抑圧の終了する時期ではないか?」とも感じているが、この点については、今後、「円高、株安、そして、国債の買い」という「プログラム売買」に関して、「巻き戻し」が顕著になった時に、私の仮説が正しいか否かが判断できるものと考えている。(2018.4.2)
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日銀の債務超過
「3月23日付けの日経新聞」で「日銀が債務超過に陥る可能性」が議論され始めたが、具体的には、「日本経済研究センター」のレポートで、「2024年から2029年」までの「6年間」に「約20兆円もの損失が発生する状況」が見込まれている。つまり、「日銀の自己資本」が「約8兆円」という状況下で「巨額な損失」が発生し、結果として、「日銀の資産が、負債を下回る状態」が危惧されているのである。
ただし、時期的には、今から「6年後」というように、現時点では、まだ問題が発生しない状況のようにもみえるが、レポートの内容を吟味すると、決して、安穏としていられる状態ではないようにも感じられるのである。具体的には、僅かな「金利上昇」で、「年内にも、日銀の赤字が発生する可能性」が存在するようにも思われるが、この点については、このレポートが指摘するとおりに、「短期借り、長期貸し」という「日銀のバランスシートが危機的な状態」となっている点が指摘できるのである。
つまり、「大量に保有する国債」については、「これから受け取る金利が、おおよそ決定した状況」でありながら、「国債を買い付けるために手当てした当座預金」については、今後、「金利の上昇で、利払いが急増する可能性」が存在するからである。そして、「日銀が債務超過に陥った時に、どのような状況が想定されるのか?」についても、「日本経済研究センター」は、私と同様に、「円安とインフレ」を想定しているようだが、不思議な点は、前述のとおりに、「このレポートでは、今後の数年間、問題が発生しない」と認識していることである。
そのために、私自身としては、今回のレポートで述べられていることが、「ホンネが9割、タテマエが1割」の状況のようにも感じたが、実際には、「債務超過に陥る時期以外は、正確な分析が行われている」とも思われるのである。つまり、何らかの「忖度(そんたく)」が働いたようにも感じたが、「日本の国家財政」や「日銀の資金繰り」については、すでに、予断を許さない状態となっているようにも考えている。
そして、現時点で必要なことは、「正確な情報を国民に知らせることにより、できるだけ多くの人々が、自分の資産を保全する方法」を理解することだと考えている。具体的には、今後、最も注目すべき点として、「日銀の資金繰り」が行き詰まった時に、「円安、株高、そして、金利上昇」という「プログラム売買の巻き戻し」が発生する状況、すなわち、本格的な「インフレ相場」が始まった合図のことである。(2018.4.2)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion7602:180501〕