本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(202)

著者: 本間宗究(本間裕) ほんまそうきゅう:ほんまゆたか : ポスト資本主研究会会員
タグ: , ,

8000兆円の不良債権

現在では、ようやく、「危機の本質」が見え始めてきたものと感じているが、この点については、詳しい説明が必要であり、実際のところ、私自身が経験した「金融界での42年間」を振り返ると、実に、厄介な展開だったことも理解できるのである。特に、「1971年のニクソンショック」以降の情勢については、「お金」に関して、「質」と「形態」が劇的に変化し、結果として、「コンピューターマネー」という「単なる数字」が、「デリバティブ(金融派生商品)」を大膨張させたことも見て取れるのである。

より具体的に申し上げると、「1980年代の初頭」から「デリバティブ」の残高が急速に増え始め、その結果として、「金利の低下」が、世界的に発生したが、この時の問題は、「2008年前後に、約8京円でデリバティブの残高がピークを付けながら、その後も、依然として、金利の低下が続いた」という展開だった。つまり、「金融のメルトダウン」が進展し、「債券」や「預金」のバブルが発生した状況のことだが、現在でも、この点を理解する人は、ほとんど皆無の状況とも言えるようである。

そのために、今後、注目すべき変化は、「金利の上昇」とともに「デリバティブのバブル崩壊」が世界的に表面化する可能性だが、この時に危惧される事態は、「巨額の不良債権」が世界的に発生する展開だと考えている。具体的には、「日本の土地バブル」の時に、「ピーク時の時価総額に対して、約10%の不良債権が発生した」と言われており、今回、「約8京円」と言われる「ピーク時のデリバティブ総額」に、この比率を当てはめると、今後、「約8000兆円もの不良債権」が世界的に発生する可能性が存在するのである。

別の言葉では、これほどまでに巨額な不良債権が、水面下で存在していたために、今まで、「金融緩和の出口戦略」が先送りされてきたものと考えているが、実際のところ、現在の「金利」や「債券」に関する「さまざまな記事」については、私の予想を裏付けるものとなっているようにも感じている。

そして、今後、世界的な「金利の急騰」、すなわち、「国債価格の暴落」が始まった時に、「私の仮説が正しいか否か?」が検証されるものと考えているが、かりに、「約8000兆円の不良債権」が、私の想定どおりに発生すると、その時には、「世界全体で、より巨額の紙幣を大増刷する必要性」も発生するのである。つまり、世界的な規模で「ハイパーインフレ」が発生する事態のことだが、私自身としては、この時期について、「2018年の9月」から、本格的な動きが始まる可能性を想定している。(2018.8.13)

------------------------------------------

大事件の予兆

「2018年9月」は「歴史的な大転換期」になる可能性が高まってきたようだが、この理由としては、「1998年9月」に発生した「LTCM事件」、そして、「2008年9月」に発生した「リーマンショック」が指摘できるものと考えている。つまり、「過去20年間」について、さまざまな角度から検討を重ねると、「オフバランスにおけるマネーの大膨張」が、大きな役割を果たした可能性があるようにも感じられるのである。

具体的には、以前から指摘してきた「デリバティブ(金融派生商品)」のことだが、実際は、「約9割が、オフバランス(簿外取引)で取引されていた」という状況であり、その結果として、通常の「金融システム」や「金融政策」に対して、大きな「歪み」を発生させた可能性も存在するのである。つまり、先進各国における「歴史的な超低金利状態」や「マイナス金利の出現」については、大量に創られた「デリバティブ」と「コンピューターマネー」でしか説明が付かない状況とも思われるのである。

より詳しく申し上げると、「通常の金融システム」においては、「民間金融機関」と「中央銀行」との間で「資金の調整」が行われ、「金利」が決定されるが、今回は、「両者の協調により大量のデリバティブが創られた結果として、金利を押し下げる効果が存在した状況」とも想定されるのである。つまり、「過去のバブル」とは違い「屋上屋を重ねたようなバブル」となっている可能性のことだが、今後の注目点は、「このバブルが弾けた時に、どのような現象が発生するのか?」ということである。

別の言葉では、現在の「信用本位制」を理解しなければ、「今後の展開」が読みにくい状況となるものと考えているが、この点については、すでに出始めた「兆候」についても、同様の状況となっているようだ。つまり、「米国の貿易戦争」や「中南米のハイパーインフレ」、そして、「トルコの通貨問題」などの全てが、これから発生する「大事件の予兆」であり、今回も、過去の経験則のとおりに、2か月前から起き始めている可能性である。

つまり、「1997年8月に起きた世界的な信用収縮」、そして、「2007年7月から始まった世界的な信用崩壊」の時にも、現在と同様に、約2か月前から、さまざまな兆候が出現したのである。ただし、今回は、「末尾に7の付く年」ではなく、「末尾に8のつく年」という違いが存在するが、基本的に理解すべき点は、「異常な事態は、必ず是正される」という「歴史の真理」であり、実際のところ、過去数十年間は、「人類史上、未曽有の規模で、金融面での異常事態が発生した状況」だったものと考えている。(2018.8.14)

本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion7985:180911〕