ほんとならば、昨日1月15日には、「歌会始」が開かれていたはずだったが、1月8日に、宮内庁から延期の発表があった。12月の中旬には、感染対策をして開催するつもりだった。会場の中央で読師と呼ばれる数人が短歌を独特の声調で読み上げる「披講」をフェースシールドとアクリル板で感染を防止し、参加者はマスク直用着用で実施するような発表だったが、今回は、「講書始」と一緒に、参加者の移動にかかる感染リスクを理由に延期に踏み切った。まさに不要不急のイベントで、当然といえば当然であった。
なぜ中止しないのか、不思議なのは、今年の夏に迫った東京オリンピックである。組織委員会にも、政府にも、東京都にも、マス・メデイアにも、政党にも、中止や延期の発言や論調が見えない。誰も言い出さないのだ。
一方、メディアは、世論調査を実施しては、国民の声を伝えるが、オリンピック関連記事を開催前提で明るく報じるが記事が頻出するのが現状といえる。
ちなみに、最近の「世論調査」の結果を見てみると、以下の通りである。
新年に入り、新型コロナウイルス感染が日に日に拡大し、医療体制の崩壊が現実のものとなっているさなか、菅総総理の発言は、もはや破綻しているとしか思えない状況である。この十日ほどの発言内容は以下の通りだが、東京オリンピックをいったいどうやって決着をつけるつもりなのだろうか。内閣支持率がどん底となってから、その回復のために、突如の「延期」でも目論んでいるのだろうか。海外のメディアからはすでに開催を危ぶむ報道が届いているというのに。
菅総理の発言の推移
1月4日 年頭会見:夏の東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として、また、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたい。感染対策を万全なものとし、世界中に希望と勇気をお届けするこの大会を実現するとの決意の下、準備を進めていく。
1月8日 緊急事態宣言発令時の会見:感染対策を万全にして1都3県と県安全安心な大会を実現したい。ワクチン接種が始まれば国民の雰囲気も変わるのではないか。
1月12日ビル・ゲイツとの電話会談:ゲイツの東京オリンピック・パラリンピック並びに東京栄養サミットへの期待に応えて「大変重要な問題なので、必ずやりきる」
1月13日の非常事態宣言7府県追加時の会見:まず東京オリンピック、パラリンピックを意識して判断が遅れたということはない。実はこれまでも水際からの感染拡大防止に、政府としては万全を講じてきた。
来年度予算、オリンピック予算と新型ウイルス対策予算についても調べてみたい。
初出:「内野光子のブログ」2021.1.16より許可を得て転載
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2021/01/post-5a9cc3.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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