東京都政の争点(2):東京から公共事業や都市計画、建築規制の在り方を変えていきましょう

下記は昨日お送りしたメール「石原・猪瀬のこういう東京都が問題なのです:こんな

ものいらない、利権土建の象徴「新国立競技場」」の続きです。

(1)今の日本には、もう鉄とコンクリートで、数千億円・数兆円の大型開発PJを

やっている余裕などありません。財政面から見ても、既存のインフラをメンテナンス

していくだけでも、四苦八苦の状態が表面化してきています。既存施設のメンテを手

抜きして、新規建設にうつつを抜かしていれば、一昨年の中央自動車道の笹子トンネ

ルの天井崩落事故のようなことがあちこちで起きることになります。しかし、多くの

自治体や公社・公団などは、主として財政難や人手不足を理由に、既存の施設の手抜

き管理を続けています。ゆゆしき状態です。

また、どこもかしこも、人間味のない鉄とコンクリートでできたハコモノが乱立し

ており、現状においてさえうんざりです。大型開発PJは、ただひたすら大手ゼネコ

ンのためのもの(及びキックバックをもらっている政治家などの利権グループ)でし

かありません。その典型事例が、築地市場移転、八ッ場ダム、外環道、下北沢開発な

どです。

(2)今、政策当局が最も熱心に取り組まなければならないのは、都民の使用頻度が

高く、これからもそうである施設が老朽化していることに対する対策です。危険な施

設の補修・修繕については上記のとおりですが、その他に申し上げたいこととして、

私は、既存施設について、ただ補修・改修をすればいいとは思っておりません。既存

の施設の多くが、貧困、お粗末、危ない、思いやりがない、などの問題を抱えてお

り、基本的に、こういう都民生活や社会活動に不可欠な施設は、利用者の希望を大き

く取り入れて建て替えるべきである、と考えております。(また、ソフト面では、指

定管理者制度や市場化テストなどの見直しも必要ではないかと思っています)

(3)おそらく、金持ちの東京都とはいえ、(1)(2)をしっかりやれば、財源は

足りないくらいだろうと思います。しかし、上記(1)(2)もしっかりとした公共

土建事業ですから、要は、だれのための、なんのための施設であり、事業であるか

が、徹底して問われなければならないのです。「公共土建一般」を否定するものでは

ありません。

(4)建材を鉄とコンクリートから、国産木材へと切り替えていくべきです。少なく

とも内装についてはそうすべきです。その場合、これを妨害し、あるいは困難にさせ

る要因として、第一に、木材の放射能汚染があり、第二に、WTO・FTA・EPA

などの国際市場原理主義による海外産木材の押し売りの問題があります。放射能汚染

は万全の対策をしなければいけませんし、国際市場原理主義については、これをはね

のけなければなりません。

もちろん、既存の土建事業資材業者の妨害もあるでしょうが、これは東京都が当事

者としてしっかりしていればいい話です。

●東京新聞  :  東電、海外に210億円蓄財 公的支援1兆円 裏で税逃れ経済(TOKYO

Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014010190070819.html

(6)みなさまは、数年前におきた姉歯事件(建物の構造計算偽装事件)を覚えてお

られると思いますが、あの事件が、現在の日本や東京の都市計画、建築物、公共土建

事業などで進められている規制緩和や民営化という名の「私物化」がいかなるものを

生みだすのかを象徴的に示しています。そして、あのショッキングな事件でさえも

が、その後の再発防止策もきちんととられることもなく、再び水面下で継続されてい

ること=言い換えれば、個人住宅やマンションはもちろんのこと、各種のビルや公共

の建物を含めて、大きな地震などが来た時に、一気に崩壊してしまう可能性があると

いうこと=建築確認が出鱈目で、地震大国であるにもかかわらず、公共建造物を含む

建物の安全性が確保されていないという、悲しくも恐ろしい事態が今も続いているの

です。老朽化だけが我々のリスクではありません。

これを新都政は真正面から取り上げ、まずは建物の安全確保をきちっとやる・やら

せるところから始めて、公共土建事業の在り方や都市計画の策定プロセスの抜本的見

直し、更には、公共事業や建築規制などにおける市場原理主義アホダラ教の蔓延にス

トップをかけて、新しい公共のあり方を創造する、新しい都市計画の策定を打ち出し

て行く、新しい公共事業のあり方を実践する、そういう[「これからの時代の都政・

まちづくり」を創っていかなければなりません。

自公はもちろんですが、みんな、維新、民主などに今もわんさといる時代遅れで不

勉強極まりない市場原理主義アホダラ教の政治家達を一掃するためにも、東京都政の

方向転換はぜひともなしとげなければならない仕事だと思っています。下記には、都

市計画や建築基準法関連の参考書として、法政大学の五十嵐敬喜先生の著書をご紹介

しておきます、少し前の著作ですが、いずれもすばらしい内容ですのでご一読をお勧

めいたします。

●岩波新書『建築紛争 行政・司法の崩壊現場』

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000031805808&Acti

on_id=121&Sza_id=C0

●岩波新書『「都市再生」を問う 建築無制限時代の到来』

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000031120636&Acti

on_id=121&Sza_id=C0

●岩波新書『公共事業は止まるか』

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000030795122&Acti

on_id=121&Sza_id=F3

●岩波新書『市民版行政改革 日本型システムを変える』

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000030498381&Acti

on_id=121&Sza_id=F3