首都圏にある唯一の原子力発電所である日本原子力発電の東海第二原子力発電所(茨城県東海村) が再稼働するかどうかが決まる時期(今年11月) が迫ってきた。このため、再稼働に反対する脱原発団体は危機感を深め、9月1日から連続して反対集会を開く。
東海第二原発は沸騰水型で出力110万キロワット。ここでつくられた電力は東京電力、東北電力を通じて関東、東北に供給されてきた。ところが、2011年3月の東日本大震災で外部電源を喪失し、津波の影響で非常発電機3台のうち1台が停止するなどの被害を受けた。このため、運転を停止し、それが現在も続いている。
日本原電は同原発を再稼働させるため国の原子力規制委員会へ再稼働を申請していたが、規制委は去る7月4日、同社が提出していた安全対策の基本方針が、東日本大震災後の新しい規制基準を満たしていると認めた。
日本の原発は、元々30年運転を前提に設計されたといわれる。が、運転期間についての明確な規定がなく、いわば、制限がなかった。だが、東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発の事故後、原子炉等規制法が改正され、原発の運転期間は40年となった。ただし、安全対策が新しい規制基準をクリアーすれば、20年に限って、運転延長が認められることになった。
東海第二原発の運転開始は1978年11月28日。したがって、今年11月27日で40年を迎えることになる。日本原電はその再稼働を実現するため、運転の延長を規制委に申請しており、これが認められれば、20年間の再稼働が可能になる。
安倍政権は原発の再稼働の推進に躍起で、規制委も同原発の延長運転を認めるのではないか、との危機感が脱原発運動関係者の間に高まっている。
脱原発団体によれば、東海第二原発は稼働40年を目前としたオンボロ老朽炉で、そのうえ東日本大震災で被災した危険な原発だという。だから、安全性に強い不安があるというのだ。
それと、周囲に多数の人々が居住している点も不安材料だという。「東京の端までたった100キロしかなく、しかも周囲に人口が密集している。30キロ圏内に96万人が住んでおり、いったん事故が起きれば大変なことになる。首都壊滅も考えられる。東海第二原発は絶対に再稼働させてはいけない」と、脱原発運動関係者は口をそろえる。
そして、脱原発運動関係者が懸念しているのは、東海第二原発の20年延長運転が認められれば、今後、運転期間40年を過ぎた古い原発が次々と再稼働するのではないかということだ。なぜなら、もし、東海第二原発の年延長運転が認められれば、それは、運転期間40年を過ぎた古い原発では初めてのケースとなるからである。
脱原発団体の今後の取り組みの一部を紹介しよう。
まず、9月1日(土)午後1時30分から、水戸市の駿優教育会館8階音楽ホールで「東海第二原発再稼働STOP!!茨城県大集会」が開かれる。大集会実行委員会の主催。だれでも参加できる。桜井勝延・前南相馬市長、河合弘之弁護士(脱原発全国弁護団)らのあいさつが予定されており、午後3時30分からデモ行進。
9月15日(土)午後2時から、千葉県我孫子市の、けやきプラザ9F(我孫子南近隣センター)ホールで、吉原毅さん(城南信用金庫顧問、原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟会長)の講演会がある。演題は「原発を即時ゼロにすれば日本経済は大発展する」。主催は「さようなら原発」あびこ。協力券500円。
9月17日(月・休日) には、「さようなら原発」一千万署名市民の会が東京・代々木公園で「いのちをつなぎ くらしを守れ フクシマと共に 9・17さようなら原発全国集会」を開く。午後0時30分開会、午後3時10分にデモ行進出発。
そして、10月20日(土)午後6時30分から、とめよう! 東海第二原発首都圏連絡会が東京・神田の日本教育会館3階ホールで「東海第二原発運転延長STOP!《首都圏大集会》」を開く。ルポライター・鎌田慧、吉原毅、前東海村村長・村上達也さんらの講演、夫婦漫才コンビのおしどりマコ・ケンさんの出演が予定されている。参加費は500円。
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