中野@貴州です。お久しぶりです。
この貴州の片田舎に一冊の本が送られてきました。立命館の松尾匡さんの『この経済政策が民主主義を救う』(大月書店 2016年)です。
一読して「これは理論的に面白く実践的にためになる本だ」と感じました。そこで皆さんに是非ご紹介したいと思います。
この本の内容を一言で言うと、「蘇ったケインズ政策をアベノミクスから奪回せよ」ということになるかと思います。具体的には…。
1、「大きな政府」それ自体は決して悪いものではない。事実、理論上でも(スティグリッツやクルーグマンの主張)、実践上でも(西欧左派の反緊縮財政のスローガン)、世界的に「ケインズ復活」の動きが高まっている。
2、ところが、日本の野党陣営の「インフレになるぞ」「財政危機を招くぞ」等のアベノミクス批判は、知らず知らずの間に当面の大敵「新自由主義」のサポーターになってしまっている。
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3、したがって、野党陣営のスローガンは、「アベノミクスを国民のための政策へと換骨奪回し、より徹底的に財政・金融政策を推し進める」というものになるべきだ。
4、もし、野党陣営が政策奪回に失敗しアベノミクスが成功したら、次のような事態になるかもしれない―「アドルフ・ヒトラーは、大規模な公共事業で完全雇用を実現し、支持を盤石にしたのです」(同書本文の最後の234頁)。
ちきゅう座のメンバーの中には、「ケインズ主義は結局、国家独占資本主義のイデオロギーに過ぎない」とか「非効率で無駄の多い官僚政治を復活させるのか」とか「一つの政策で経済が変化するわけはない」とかと思われる方も多いかもしれません。まあ、それはそれとして、一度この本に目を通したらいかがでしょうか。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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