枝野経産大臣の福井県知事との会談(説得)に湧き上がる抗議

2012年4月16日 連帯・共同ニュース第245号

■ 政治家の言動を僕らは簡単に信用しない。それは彼らの言動が頻繁に変わるからではない。政治は変動を常とするし、偶然の連鎖の中にあると思われる要素もある。政治が現実の中であるのなら政治家はその動きに対応することを要求される。しかし、政治家はその中で自己の見識や政治的理念、あるいは構想を貫こうとする存在であるべきだし、それと現実との矛盾や葛藤の中で闘うべき存在である。政治家の言動が現実の前で変節したようにみえようと、この矛盾や葛藤が感得されればその政治家の言動を人々は信頼するだろう。この間、多くの人は枝野経産省大臣の言動に注目してきた。それは、現在の政治家の中で原発問題ではそれなりの見識や構想もあり、現実との矛盾や葛藤を伺わせるように見えるところがあったからだ。このように想像させるところがあったからだ。これは裏切られる期待であるも知れないが人々の彼に向けていた視線だった。だが、大飯原発の再稼働をめぐる閣僚会合での言動は別の地金が露呈したようにも見えた。それは自己の見識や構想を貫く弱さであり彼の政治的資質として前から評されていたことだ。

■ この枝野経産省大臣が閣僚会合での大飯原発の再稼働承認を受けて福井県にきた。福井県や大飯町の首長などを説得するためだ。この間の政府の閣僚会合を重ね大飯原発の再稼働承認の政治的パフォーマンスを演じてきた。「再稼働ありき」のあまりに露骨な政治的所業を隠すために。だが、この稚拙な政治的演出は人々に再稼働反対の声を加速させただけである。大阪・京都・滋賀などの近隣自治体の首長や地域住民の反対の声や動きはこれを示している。枝野は当初は野田内閣の「5月5日までに大飯原発再稼働、原発ゼロの回避」という戦略に幾分か思案しているように見えたせいか、その忠実な推進者なって福井に乗りこんできた割に説得は強いものにはみえなかった。内心は揺れているのか、それとも既に官僚による根回しは終わっているのか。僕らはそれを想像してみても仕方がない。野田内閣の再稼働の動きを阻止する国民の声を結集するだけだ。枝野の福井県知事等との会談に抗議する声は緊急行動であったが300人を超す結集でなされた。福井県庁のある福井城址の正門を占拠した抗議行動に押され別の門から中に入った。会談開始が告げられるや人々は県庁正門に移動し抗議の声を上げた。抗議の声は会談の場まで届いていた。5月5日までの再稼働を阻止し、原発ゼロを実現するまであと一息だ。関西や大飯現地の運動が連帯し、集団ハンストを盛大に実現しよう(大飯町のテント村は別報告)。 (文責 三上治)