汚染水対策より「五輪招致」を優先させるとは…

著者: 池田龍夫 いけだたつお : 毎日新聞OB
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福島第1原発からの汚染水流出は、すべてが後手後手に回り、深刻さが拡大している。一刻も早い対策を練るため、衆院経済産業委員会では閉会中審査をすることになっていた。ところが8月30日、「9月中旬以降に先送りすることを決めた。経産省は汚染水対策を見極めてから審議日程を決める」と説明しているが、納得できない。

朝日新聞8月31日付朝刊によると、「9月7日の国際オリンピック総会前に、汚染水対策委員会の審議が紛糾すれば、2020年の東京五輪招致に影響しかねない」との懸念が浮上したためという。安倍晋三首相は、アベノミクス効果を引き出すため「東京五輪」をテコにしたいとの思惑が強烈なのだ。

汚染水対策が焦眉の急であるにも拘わらず、安倍政権の無神経な政策は本末転倒。国際的批判が高まっている時だけに、日本の信用はさらに失墜するに違いない。野党も国会審議先延ばしに、最終的に同調したというから呆れる。永田町、霞ヶ関の問題意識の欠如は目にあまる。漂流するに日本政治…五輪招致に却ってマイナスとなるかもしれない。

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