普天間飛行場に新たな問題が浮上、沖縄県民の怒りが高まっている。日米両政府は、米軍・新型輸送機MV22オスプレイ12機を、7月中旬に配備することを決定した。試験飛行や安全点検を実施したうえで、10月に普天間飛行場(宜野湾市)に実戦配備する方針という。
事故続発の〝欠陥機〟
両政府は当初、沖縄の地元感情に配慮し、本州に一時駐機させた後に普天間に配備することで大筋合意。キャンプ富士(静岡県)岩国基地(山口県)などを候補としていたが、地元自治体の反対によって計画を断念、沖縄直接配備に切り替えてしまった。
そもそもオスプレイは開発段階から墜落事故を繰り返し、危険性が指摘されてきた。先月もモロッコで4人が死傷する墜落事故を起こしたばかりで、〝欠陥機〟とすら酷評されている。
沖縄県知事・那覇市長も猛反発
那覇軍港に持ち込まれて組み立て作業するとの決定に、翁長雄志・那覇市長は猛反発。「人口密集地の那覇周辺で試験飛行するとは、もってのほか」と厳しく抗議している。仲井真弘多・沖縄県知事も11日に上京した際、「普天間飛行場は宜野湾市のど真ん中にある。オスプレイは開発期間中にいくつかの死亡事故を起こし、最近も運用トラブルがあった。人の良い沖縄県民でも分かりましたとは言えない」と述べ、さらに「本当に安全な機種なら、日比谷公園か、新宿御苑みたいな所に持って来られるのか。いくら同盟関係にあっても非常に無理がある」と語気鋭く記者団に語っていた。
仲井真知事は9日の記者会見でも、「米軍基地と自衛隊基地の違いを、本土の人は分かっておられない。米軍基地は、基本的に日本の法律を守らなくてもいい。これを県民は40年以上も味わってきた。沖縄が言い過ぎだと思っているなら、この違いを認識してほしい」と訴えていたが、〝沖縄差別〟への強い怒りと受け止めたい。
日米安保体制が揺らぐ恐れ
琉球新報5月13日付社説は、不条理なオスプレイ配備決定に、両首長と同様の問題点を指摘。「オスプレイが安全とする科学的根拠を示さないまま、県民の意向を一切無視して配備を強行しようとする。日米両国が掲げる民主主義や人権尊重が、それこそ聞いてあきれる。このままでは米軍基地の安定的運用が困難となり、日米安全保障体制が大きく揺らぐのは目に見えている。普天間飛行場への配備計画そのものを即刻、撤回すべきである」と主張していた。
平板な取り上げ方しかしていない本土各紙に比べ、米軍基地重圧に悩む沖縄県民の怒りを痛感させられた。それだけに、「オスプレイ問題」の処理を誤れば、一大事になる可能性を孕んでいる。
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