2016年1月 辺野古・大浦湾から 国際法市民研究会
2016年1月26日、読谷村臨時議会が開催され、米軍基地の再編交付金によって関連特別事業を進めるための基金設置条例案が可決された。反対したのは無所属の1議員だけ。根拠法(駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法第1条)によると、事業内容は「周辺地域における住民の生活の利便性の向上及び産業の振興並びに当該周辺地域を含む地域の一体的な発展に寄与する」ものとされるが、村当局はまだ検討中。
これは、嘉手納基地以南の統合計画に伴って、キャンプ瑞慶覧からの移設施設と、牧港補給地区(キャンプ・キンザー)からの移設倉庫群をアメリカ陸軍トリイ基地に受入れることに伴う「再編交付金」(初年度約4,200万円)のことである。トリイ基地には、東京オリンピックのメイン・スタジアムになる旧国立競技場2個分の膨大な空地があり、これまで黙認耕作地として利用されてきたが、数ヵ月前から工事が進められている。
村議会は2012年6月、移設方針に反対し「トリイ基地における新たな基地強化に反対し、中止を要求する意見書」と、政府に対する同趣旨の「抗議決議」を満場一致で採択。辺野古新基地建設に反対する読谷村民有志は、いま村長と議長に「公開の説明会」を求めているが、わずか数十分の審議で事実上これを破棄したことに矛盾と不透明を感じるからである。当然のことだが、辺野古・大浦湾埋立による新基地建設に反対し、再編交付金を申請しない名護市長に見習うべきだ―とも主張している。
村長サイドの弁解には矛盾があるが、おおむね次の4点。
(1) 反対しても工事は進行するから貰うべきものは貰う。
(2) 島内の他施設の整理縮小に協力することになる。
(3) トリイ基地周辺3自治会長名で要請書が出ている。
(4) 「トリイ基地における新たな基地強化に反対」は変わらない。
そもそも米軍基地は「経済発展の阻害要因」(翁長知事)、「土地利用および経済活動の大きな制約」(2008∼17年読谷村第4次総合計画基本構想)であり、その整理縮小と県外・国外移転は、村政の基本だったはずだ。だから再編交付金申請はこれまでの読谷村のたたかいに逆行し、「反対は変わらない」というのは詭弁である。また、移設される倉庫と化学物質から派生する問題、とくに有害物質にどう対応するのか明らかにされていないことは、村民の生活に新たな不安を持込んでいる。
石嶺村長が再編交付金の申請方針を公表したのは、定例村議会の昨年12月16日。地元紙に大きく報道され、宜野湾市長選挙の佐喜眞陣営に利用されたともいわれている。(文責:河野道夫、international_law_2013@yahoo.co.jp、080-4343-4335、読谷村)
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