玄葉光一郎外相は2月4日夜、2006年に合意した沖縄の普天間飛行場移設を含む在日米軍再編計画につき外務省で記者会見し、手詰まり状態打開の見直し作業に入ったことを明らかにした。6日からワシントンで行われる日米審議官級協議で調整、13日にも正式発表の運びという。
「辺野古移設」がこじれ、普天間飛行場〝固定化〟の心配
海兵隊のグアム移転規模はまだ確定していないが、日米両国が06年に合意した約8000人を縮小、普天間飛行場の辺野古移設が進まなくても約4700人を先行移転させる方向のようだ。残りは豪州などにある米軍基地にローテーションで派遣するという。ただ、辺野古への移設を変更しない方針のため、普天間固定化につながると危惧する声も上がっている。
「アジア太平洋重視」の米軍再編
オバマ大統領は昨年11月に豪州北部のダーウィンへの米海兵隊駐留を表明。次いでパネッタ国防長官が1月26日、2013会計年度(12年10月~13年9月)から5年間の国防予算削減計画を発表した。世界に展開している米軍地上戦力を10万人削減する方針というが、在日・在韓米軍は維持して「アジア太平洋重視」戦略を鮮明に打ち出した。
沖縄の民意は「普天間無条件返還」
琉球新報2月5日付社説は「日米協議入りは膠着状態を動かす一歩となるだろうが、問題はその方向だ。回避すべき最悪の筋書きは①普天間飛行場の固定化②辺野古移設計画の維持③嘉手納より南の土地返還凍結――を含む米軍再編の改悪だ。これは断じて容認できない。米高官に『世界一危険』と言わしめた普天間飛行場の危険性除去を一刻も早く実現する。欠陥機と指摘される垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの沖縄への配備は、危険根絶の観点から拒否する。これが大多数の民意だ。日米が人命と人権を優先し、県民の信頼に支えられて日米関係を正常化したいのであれば、普天間飛行場の県外・国外移転もしくは無条件返還こそが賢明な選択だ」と指摘する。
沖縄タイムス社説も「計画の変更は、沖縄側に重大な影響を与える。にもかかわらず、地元はいつも蚊帳の外。住民とかけ離れたところで見直し協議が進み、そのたびに住民が振り回される。この構図だけは、少しも変わっていない。『2014年』という普天間飛行場の移設期限は撤回され、『できる限り早期に』という表現に変わった。……普天間の固定化は日米の責任放棄であり、あってはならないことだ。『普天間の早期返還』と『辺野古移設の断念』は、負担軽減のための車の両輪である。計画見直しで求められているのは、この二つのパッケージだ」と主張している。
読売新聞も5日付朝刊で「米国防総省は3日『日米両政府は普天間移設の履行に関与を続ける』とする声明を発表し、普天間移設を堅持する方針に変化はないことを強調した。それでも固定化を懸念する声が出るのは、日本政府が沖縄県などを説得し、移設問題を前進させることが前提というのが米側の立場の上、海兵隊の先行移転で普天間移設の『テコ』を失いかねないからだ」と指摘しており、普天間問題打開の道はいぜん険しい。対米外交政策の大転換が望まれる所以であろう。
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