みなさまへ 松元
「平和への結集」をめざす市民の風の太田光征さんの要請文「泊原発の再稼働は認められない」を転送いたします。
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=====以下転載======
《原発審査指針の見直しは完了しておらず、泊原発の再稼働は認められない》
8月 12th, 2011 Posted by MITSU_OHTA @ 19:33:19
北海道知事 高橋はるみ 様
北海道庁・原子力安全対策課 御中
北海道電力社長 佐藤佳孝 様
北海道泊村村長 牧野浩臣 様
北海道共和町町長 山本栄三 様
北海道岩内町町長 上岡雄司 様
北海道神恵内村村長 高橋昌幸 様
内閣総理大臣 菅直人 様
経済産業大臣 海江田万里 様
原発事故担当相 細野豪志 様
原子力安全委員会委員長 班目春樹 様
原子力安全委員会の原子力安全基準・指針専門部会で、第2回安全設計審査指針等検討小委員会が8月3日に開催されました。
2011.08.09 安全設計審査指針等検討小委員会 第2回会合 速記録
http://www.nsc.go.jp/senmon/soki/anzen_sekkei/anzen_sekkei_so02.pdf
同小委では、今回の福島原発事故において、電源関係だけでも、地震の影響が遮断器の故障、ケーブルの損傷、電線の基礎の土砂崩れ、送電線の鉄塔の倒壊に及んだことが認められています。
また「直流電源の設置位置や構成、容量等が事故の進展とどのように関わったのか、現時点では十分必ずしも明らかになっておりません」と認めているように、安全設計審査指針の見直しに必要な事故分析が完了していないことは明らかです。
同小委ではまた、福島原発事故の分析とは別に、外部電源系統の一般的な機能喪失確率評価の結果(2006年)を原子力安全基盤機構の飯島氏が説明しています。しかし、例えば鉄塔については地盤側の損傷を考慮せず、鉄塔の座屈のみを評価対象にしており、不十分なシミュレーションになっています。
同じく原子力安全基盤機構の西尾氏が津波に関する確率的安全評価(PSA)手法(2007年)を説明しているものの、ここでも地震の影響を考慮していません。
この日の同小委では、焦点である安全設計審査指針の27「電源喪失に対する設計上の考慮」で全交流動力電源喪失事故が「短時間」しか考慮されていない点について、これを改めるという合意に至っていません。
福島原発事故の詳細な分析を待たなくとも、指針27の「短時間」は修正されてしかるべきです。
一方、同部会の第2回地震・津波関連指針等検討小委員会も8月3日に開催されています。それによると、主として耐震設計審査指針の見直し検討を進める同小委は「速やかに改定等が必要とされる事項については、その都度、原子力安全基準・指針専門部会に報告する」とあるものの、「平成24年3月を目途に、まずその時点までの論点等を整理し報告する」と、かなりのんびりした見直しスケジュールを組んでいます。
2011.08.05 第2回地震・津波関連指針等検討小委員会 速記録
http://www.nsc.go.jp/senmon/shidai/jishin/jishin2/jishin-si02.htm
以上のように、福島原発事故の教訓を受けて各種指針を見直し、それらに照らして審査を行うべきはずですが、それはとても無理な状況にあります。
加えて、泊原発の場合も大地震に見舞われる可能性が指摘されています。
1993年に北海道南西沖地震が発生しましたが、その震源域の北側に約50キロ」メートルにわたって地震の空白域があることが、産業技術総合研究所の潜水船調査で分かりました。
また、東洋大学の渡辺満久教授らも、泊原発の西約15キロメートルの海底に60~70キロメートルの活断層があることを発見しています。(以上、広瀬隆『原発震災の真実』より)
そもそも、原発の本質は過酷事故だけではなく、通常稼働による低線量内部被ばくを強制する点にあり、その被害は甚大です。原発は過酷事故を起こさなければ認めてよいというものではないのです。
放射性廃棄物を安全に100万年にもわたって管理できる見通しはまったく立ちません。「見通しのない脱原発」などという認識はまったくの的外れです。脱原発は危険を最小化するための唯一の選択肢であり、責任ある立場の人は脱原発を表明しなければなりません。
泊原発の営業運転再開は認めないよう、なさらないよう、お願いいたします。
太田光征
http://otasa.net/
[参考文献]
『死にいたる虚構―国家による低線量放射線の隠蔽―』(ジェイ・M・グールド、ベンジャミン・A・ゴルドマン著、肥田舜太郎、斎藤紀訳、2008年、PKO法『雑則』を広める会)
『低線量内部被曝の脅威―原子炉周辺の健康破壊と疫学的立証の記録』(ジェイ・マーティン・グールド著、肥田舜太郎、齋藤紀、戸田清、竹野内真理訳、2011年、緑風出版)
『人間と環境への低レベル放射能の脅威―福島原発放射能汚染を考えるために』 (ラルフ・グロイブ、アーネスト・スターングラ
ス著、肥田舜太郎、竹野内真理訳、2011年、あけび書房)