消費増税を掲げる財務省官僚・与野党に天罰あれ!

澤藤先生が『この参院選を、《年金一揆》に、《税制一揆》に。』(ちきゅう座 2019年 7月 8日)で説いておられる。反対ではないが両一揆を狙った政策を掲げているのが「れいわ新選組」を率いる山本太郎氏の『8つの緊急政策』である。
 金融庁の年金報告書は現行のデフレあるいは緊縮財政が続いたら,という「前提」での報告書に過ぎない。極端な話で恐縮だがトルコのようにインフレ20%になった場合は「2000万円」などという数字は僅かな金であろう。貯められない金額ではない。なぜなら銀行利子率も20%以上25%程度に上がるからである。100万円あれば年に20万円の利子が付く。家族4人なら80万円の利子。10年間で800万円であるからで元金が200万円なら1600万円の利子(単利)である(家庭に800万円の元金があるとすれば)。複利ならば1000万、2000万円の利子を確保できる。目標達成である。したがってまた10年たてば,この年金報告書が役に立たないものになっているだろう。
 話を戻すと,MMTあるいはMM理論は反緊縮財政であり,その財源は新規国債発行と税収入である。後者の改革は澤藤先生が説く通りである。しかし新規国債発行については何も語っていない。要するにリフレまたは主流派経済学に依って立つ提言に過ぎない。
 太郎氏は政治家で経済学者ではない。すなわち経済学がすべてではない。MM理論を利用して政策を実行しようといるに過ぎない。しかしその政策は貧困家庭の増加や20代の貯蓄金が0(零)円である率が全体の60%以上を占めるといった現状に基づいていることである。また例えば奨学金返済に苦しむ学生や若者が555万人いて結婚して家庭を持つことができない。ましてや子どもを産むことはできない。だから少子化が益々進んでしまう。之を止めるには「奨学金徳政令」しかないという政策を打ち立てたのである。
消費税0%,徳政令,最低賃金1500円政府補償などの経済政策は日本の窮状とMM理論の上に成り立っている。第一次産業戸別補償も公務員を増やす政策も同じ。
それに対して,緊縮財政派は財源をどうするのか,新規国債を大量に発行すれば突然の財政破綻(Sudden Death)が起こると言って反対する。反対は結構だがMM理論を知らない。澤藤先生はその点を巧妙に回避して年金一揆と税改革一揆に論点を持ち込もうとされている。しかし新規国債発行を言わない時点で緊縮財政派と見なされるだろう。
 元朝日新聞の山田厚史氏も金子勝慶応大学名誉教授もクル-グマン博士もスティグリッツ教授もMM理論を理解していない。元長野県知事の田中康夫氏も同じ。家庭の借金と政府の借金が同じだと考えている点でMM理論を理解していない。東大の安富歩教授が田中氏と親しい関係にあるらしいが,安富教授は太郎氏の『8つの緊急政策』に賛成して「れいわ」の候補者となっている。しかしどなたも太郎氏の街宣を聞けば,MM理論を理解できるはずである。
しかしもちろんMM理論が万能であるという意味ではない。デフレ20年間が続くのはOECD加盟国の中で日本だけである。これは異常である。この異常を救うのがMM理論であって,インフレ下でMM理論は有効とは限らない。その代わり財政政策が有効となる。トルコのようにインフレ率が20%になる前に例えば5%に達したら財政政策を導入する。つまり消費税を復活させればいいのである。過去2回の消費増税によって景気がかなり冷え込んだ故事に習う。すなわち消費税が5%から8%に上げられたとき,景気は8兆円ほど落ち込んだ。リ-マン衝撃(ショック)の時でさえ6兆円強の落ち込みに過ぎなかったのにも拘らずである。
現在は「デフレ20年間」が進行中である。このデフレが多くの国民を貧困化させたのである。母子家庭の80%は生活が苦しいと言っていることを無視して緊縮財政を続行し,消費増税を掲げる財務省官僚・与野党に天罰あれ!

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/ 
〔opinion8798:190710〕