特定秘密保護法は昨年暮、安倍晋三政権の強行可決によって〝戦前回帰の恐れ〟がさらに広がっている。ところが政府は、世論を〝尊重〟するどころか、1月14日「情報保全諮問会議」を立ち上げた。
年内に施行される秘密保護法に基づき、特定秘密の指定・解除、公務員らの適正評価に関する運用基準などを調査・検討する諮問会議で、有識者7人が決まった。17日に初会合を開くというから、その強引さは相変わらずだ。さらに、座長に読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆の渡辺恒雄氏(87)が選出されたことに驚いた。
「主権者は国民。悪法を許すな」…ジャーナリスト結束
逆に14日には、マスコミ9条の会と日本ジャーナリスト会議(JCJ)が日本記者クラブで記者会見。戦前の言論弾圧に抗した、むのたけじ氏(元朝日新聞)は「戦前の日本は絶対君主制だった。(現在の)主権者は国民。安倍首相の言ってることは戦前と同じことで、決して許すわけにはいかない。地道な活動で廃止につなげ、日本を蘇らせよう」と市民の連帯を訴えた。ジャーナリストの原寿雄氏は「靖国神社参拝と秘密保護法の二つをみても安倍首相が国家主義者であることを確認できる。国民運動を発展させるために私もやれることをやりたい」と述べ、作家の澤地久枝さん、落合恵子さんらも決意を述べた。
昨年12月「秘密保護法強行可決は、議会制民主主義を踏みにじる憲政史上初の暴挙」との声明を出した日本ジャーナリストとマスコミ9条の会が中心となって、市民や団体の賛同を得る連帯行動で、「国民共同会議」を目指すという。
東京新聞15日付朝刊は1面2番手5段見出しを掲げて報道。さらに「こちら報道部」(24~25面)で10段見開き紙面を展開「安部政権暴走許さない」と熱っぽく訴えた。他紙にくらべ、強烈な問題意識を示したものと評価したい。文末に、呼びかけ人62人全員を紹介しており、市民運動を志向しているに違いない。すでに全国ネットの一部が取り上げており、4月からの消費税3%アップと絡んで、安倍政権の前途は決して安泰ではない。
前段で取り上げた「情報保全諮問会議」の問題点について、毎日新聞15日付朝刊は「読売新聞は秘密保護法の必要性認める論調を展開。同法に反対してきた日弁連情報問題対策委員長、清水勉氏はメンバー入りしたが、他の委員は政府・与党寄りの構成になったことは否めない」と指摘。朝日新聞同日付朝刊も同様な見解を示し、メンバー選考に疑問を呈した。
諮問会議を〝隠れ蓑〟に
読売新聞はたびたび秘密保護法の必要性を認める論調を展開しており、座長・渡辺主筆に「公正な論議」はとても期待できない。
安倍首相は何か問題のあるテーマ打開のため、審議会や諮問会議を〝隠れ蓑〟にして合法を装う姿勢が見え見えだ。国民は常に首相の言動をウオッチし続けねばならない。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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