無人機の誤爆で、市民の犠牲者が急増

無人機の誤爆によって市民の犠牲者が増え、国際社会の批判が強まってきた。特にパキスタン、アフガニスタン、イエメン3国の被害について、国連人権委員会が依頼した専門家調査団の結果が公表された。3カ国への米英軍の空爆で、2004年以降少なくとも民間人479人が犠牲になったという。

本土から遠隔操作とは…

朝日新聞10月19日付朝刊などが「ほとんどが米本土からの遠隔操作で、テレビゲームのようにモニターを見て攻撃する〝新たな戦争〟への発展が憂慮される。今回の報告書は、国家の安全保障のためなら正当化できるとの考えは容認できない」と厳しく批判しているが、米英両国は警告を真剣に受け止めなければならない。

米英など大国の暴挙だ

高知新聞は20日付社説で取り上げ、「オバマ大統領は、民間人に死傷者が出たことは認めたものの、運用を厳格化したうえで攻撃を継続する考えだ。しかし、これで市民に被害が及ばない保証はない。パキスタンのシャリフ首相は、他国の領土を自由に飛び回る無人機に対し『主権の侵害』と、強く米国を非難した。国のトップとして当たり前な抗議ではないか」と、大国の暴挙を論難した。

先日、パキスタンの少女マララ・ユフザイさんがオバマ大統領と面談、「テロを助長している」と迫ったことが、記憶に新しい。

中国の開発急ピッチ

無人機問題はエスカレートする危険を孕む。中国の無人機が最近、尖閣諸島に飛来していることが確認されている。共同通信の報道によると、「政府は領空侵犯した中国無人機が退去要請などの警告に従わない場合には、有人機と同様に撃墜を含めた強制措置を取る方針を固めた。10月20日の取材によると、安倍晋三首相は11日、小野寺五典防衛相の報告を受けて了承した」という。

一方、防衛省は、平成27年度までの中期防衛計画を見直す際に、米軍最新鋭無人機グローバルホークの導入を明記する方向で調整に入った。尖閣などへの警戒・監視を強化する狙いであることは明らかだ。中国の無人機開発は急ピッチで、ここでも米中対立の構図が不気味である。今のところ、日中のトラブルはないようだが、〝一触即発〟の危険性が心配だ。しかも中国製無人機は米国よりかなり安価で、他国への輸出も企図しているとの情報もあり、「無人機禁止」に各国が合意しないと大変な事態を招きそうだ。不慮の事故があってからでは、間に合わない。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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