中学に入って、即憧れていたサッカー部に入った。なんとか先輩についていこうと、朝の自主ランニングも欠かさなかったが、一年坊主には放課後の練習がきつすぎた。筋肉が張ってしまって、後ろ向きにしか階段を降りられなかった。そんなことを続けて一年半、二年の夏休み前に肝臓が壊れて退部した。なんの治療をするでもなく食事制限して家でゴロゴロしていた。それ以来運動という運動をしない生活になってしまった。四十歳を過ぎても健康診断のたびに軽度肝機能障害と注意された。
今サッカーが好きなのかと訊かれれば、多分としか言えない。あまりにひどいラフプレーを見るとイヤになる。それでもついYouTubeで見てしまう。この十年かそこらで日本人選手のレベルが上ったのだろう、多くの選手がヨーロッパのプロチームでプレーしている。
たまにYouTubeで見るだけのちょっと見ファンだが、日本選手の活躍をみれば、応援したくなるし、メッシやロナウジーニョのスーパープレーをみれば感動を抑えられない。
気分転換にYouTubeを見ていたら、何これ?誰がアップしたのか?なんでアップしたのか?参ったなーと考え込んでしまうものがでてきた。
ハングルが見えるから、韓国のプロ選手のものなのだろう。
https://www.youtube.com/shorts/q_QziXn5JCc
ぺナルティーエリアの外からだからゴールまで二十メートルほどの短いミドルシュートになる。その距離で確実にクロスバーに当てる技術があれば、フリーキックでゴールを決めて一点あげられる。すごい選手だと誰もが思うだろう。ただその誰もはサッカーに詳しくない人たちの誰もでしかない。ヨーロッパで活躍している日本人選手の何人もがこの程度のことならやってのけるだろう。そしてそのやってのける練習風景をYouTubeにアップする人は、YouTubeを見ている限りでしかないがいない。
ロナウジーニョの練習風景5:38(五分三〇秒)からを見て頂きたい。
Ronaldinho: 14 Ridiculous Tricks That No One Expected
ゴールからの距離はペナルティエリアの外側からだから、韓国の選手とほぼ同じ約二十メートル。違いはロナウジーニョの精度にある。クロスバーに当たったボールがロナウジーニョの元にノーバウンドで戻ってくる。クロスバーに当てるまでの韓国の選手と自分に戻って来る精度には計りがたい違いがある。ロナウジーニョはバーの正面中央で、上下数センチの精度でボールを当てている。この精度で変化球シュートでも打たれたら、止めきれるキーパーはまずいないだろう。
返ってきたボールのトラッピングだけをみてもロナウジーニョの並外れた技術が垣間見れる。
全盛期のロナウジーニョの活躍をまとめたYouTubeはいくらもあるが、下記の2:54(二分五十四秒)からをご覧ください。針の穴を通すかのようなシュートです。
https://www.youtube.com/watch?v=ov4vOY250a4
クロスバーに当てる精度をもった韓国の選手が、クロスバーに当てて遊んでいるかのようなロナウジーニョの動画を見ていないとは思えない。選手自身がYouTubeに投稿したとは思えないが、それにしても動画を投稿した人はロナウジーニョのYouTubeを知らない訳ではないだろう。ロナウジーニョの動画を知っていれば、普通に考えて投稿を躊躇うと思うのだが、何か考えがあってのことなのだろうと考えてしまう。
韓国の選手と比べるなんて恐れ多いこととは思うが、毎週のように愚稿をちきゅう座に投稿している自分と重ねてしまう。あちこち渡り歩きたただの便利屋、何を知っているわけでもない。巷のバカオヤジが身の程もしらずにと嘲笑されているだろう。いい歳をしてそれ以外に生きようのない自分がはずかしい。
名前も存じ上げないが、韓国の選手には何としても頑張ってほしい。
p.s.
<サッカーコートのサイズ>
https://www.jleague.jp/a-to-z/football_pitch/
<ミドルシュート>
ゴールから二〇から三〇メートルの距離から放たれるシュート
<変化球シュート>
https://www.sakaiku.jp/column/technique/2012/002039_2.html
<クロスバーの寸法>
ゴールポストとクロスバーの厚さは等しくなくてはならず、十二cm以下。色は白色。
2024/10/14 初版
2024/11/19 改版
Private homepage “My commonsense” (http://mycommonsense.ninja-web.net/)にアップした拙稿に加筆、編集