異論なマルクス 第三形態生成への数学的接近(1)

第二形態~拡大された価値形態から第三形態~一般的価値形態の生成に関して、論点を整理する目的で以下数学的に考察を進める。
1.拡大された価値形態の逆転による説き方
1)それぞれの拡大された価値形態の逆転がほかの逆転動向に関係なく独立して生
起する場合

つまり、ある商品の拡大された価値形態が逆転しても、そのことによってほか
の拡大された価値形態の逆転の生起の有無に影響が及ばないースで、これが最も一般的な考察対象となろう。

この場合、ゼロも含んで複数の拡大された価値形態が逆転する事象も生じるので、そのうちただ一つの商品にだけ、ただしどれとは特定はしないで、逆転する確率を求めてみよう。先に結論を示せば複数の逆転が生じると、一般的価値形態とはならないから、この場合が生じる分だけ一般的価値形態成立の確率は下がる、つまり1以下であり、一般的価値形態成立の必然性は説けない。

(考察)

商品の種類がn=2,3、・・・(1の場合は無意味なので除外)あるとすると、拡大された価値形態はそれぞれの商品について生じるから、n種類あることになる。そのうちm個の商品について逆転が生じるとする。(0≦m≦n)m=0場合は一つも逆転しないケース、m=nは全部が逆転してしまう場合であり、m=1の確率を求めることになる。

事象全体の数Cは

逆転ゼロの事象数  1

逆転1の事象数   n

逆転mの事象数   nCm=n!/m!(n-m)!

逆転nの事象数   1

をすべて縦に加えた総数でC=1+n+…+nCm+…+1

であり、このうち逆転がある一つの商品だけ生じる事象数は上記よりn。

よってその生起確率P(1)=n/Cで上記より明らかにC>nであるからP(1)<1。つまり一つだけ逆転する確率は1より小であり、一般的価値形態の必然性は説けない。なおn→∞の収束性はこれまた上記から明らかにP(1)→0、すなわち限りなく確率はゼロに近づく。

以下

1.2)必ず確率1になるケース

2.複数の拡大された価値形態の交点から説く方法

について(2)として考察を継続させる。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/

〔study679:20151207〕