米軍による日本占領が事実上現在も続いているという事実を前提に以下の提案をします。
1 米軍が日本を占領し続ける動機は、本書の主張とは違って、冷戦が終結しても、朝鮮戦争が終わっても無くならない。根本的な動機は日本の核による報復の防止にあり、日本は永久に米軍の監視下に置かれ続ける運命にあるというべきである。アメリカ人の原爆投下に対するキリスト教的原罪意識と報復への恐怖心を日本人は知るべきだろう。対して日本政府は、広島長崎への原爆投下の悲惨な結果が、先進国同士の国家総力戦を無意味かつ不可能にしたという世界史的意義を、日本国憲法第9条第2項こそが象徴していることを世界に明らかにして核兵器禁止条約に調印し、米軍による永久占領を不要ではあるが第二次世界大戦の記憶遺産として歓迎する声明を出すべきである。
2 尖閣・竹島・北方領土は米軍による占領事実から国民の目を逸らすためのカムフラージュである。日本政府は、この領土の主張を撤回し、占領国アメリカに下駄を預けるべきである。アメリカは占領国の責任としてポツダム宣言の規定に基づき「小島」の領土の確定をすべきである。日本政府は、これを出発点として中国や韓国との種々の歴史的和解をすべきである。
3 日本政府は、在沖縄米軍基地を半減させ、その他を本土へ移転させるべきである。移転させる基地の数・規模は限定・縮小し、米軍基地のない道府県を対象に抽選で決めることをアメリカに通告し、併せて日米地位協定における治外法権規定の全廃を要求すべきである。
4 日本政府は、自衛隊を朝鮮戦争終結後、朝鮮国連軍後方指令部(現在横田基地にあり)を引き継ぐ形で国連PKO部隊として存続させるべきである。また、海外派遣は憲法上の制約で不可とするための国際法上・国内法上の法的整備を急ぐべきである。
5 全国会議員は、大日本帝国憲法の廃止宣言を国会決議し、「国体」復活の法的根拠を粉砕すべきである。