百年安心の年金って、何処の国の年金のこと?

現在(2019/6/11)国会において金融庁の報告書を巡って百年安心の年金が崩壊等と野党が安倍政権を追及しています。

しかし、私には時期遅れの追及のように思えるのです。 現在の年金制度は、既に、改悪されて物価上昇が生起しても「マクロスライド制度」が発動されて物価上昇に応じた年金額が支給されないのです。

公的年金 0.5%実質削減 厚労省 マクロ経済スライドを実施

しんぶん赤旗 2019年1月19日

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-01-19/2019011901_03_1.html

換言すれば、年金支給を重ねる内に、物価上昇に応じない金額になり果てた年金を受け取る訳です。 極限すれば、ハイパーインフレになった第一次大戦後のドイツのようになっても一握りの札束を年金として渡される訳です。

ま~、この国では、第二大戦後に戦時国債の償還等では、同様の事態になった実例があるのですが。

処で、問題の金融庁の報告書ですが、年金の現実と老齢期の生活実態を受けて国民に老齢期の生活費の不足を補うべく早くから貯蓄、投資等に取り組むように促すものであり、非難に値するものとは思えません。

金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書 の公表について(令和元年6月3日

金融庁)

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603.html

即ち、百年安心の年金等と現実を謀り、将来の生活設計を誑かす現政権の下にあって、正直に国民に向き合った行政庁として遇するのが当然と思われるのです。

しかも年金のみでは暮らせないのは、現に今も現実としてある訳です。

総務省統計局が公開している「家計調査 平成30年(2018年)平均速報結果」に依ると、年金だけで暮らす60歳以上の無職世帯は毎月38,670円(高齢単身無職所帯)~41,872円(高齢夫婦無職所帯)の赤字になっています。

同調査報告は、収入内訳から消費支出の内訳まで細目にわたり毎年に調査されています。 毎年次の実態を見れば、年金支給額が生活実態に適合していない現実が分かる筈です。

これに依って、単身と夫婦の両所帯ともに既に収支は均衡せず、不足分は貯蓄等の取り崩しを行っている事情が分かります。

(参照)

家計調査年報(家計収支編)2018年(平成30年) 家計の概要 総務省統計局

https://www.stat.go.jp/data/kakei/2018np/gaikyo/index.html

野党は、気紛れな安倍政権追及をせずに、もっと国民の生活実態を統計で以て把握して合理的な政策を立案するとともに議会では自らの政策に則った政権追及をしなければならないのです。

例えば、米国民主党の一部を見習ったのか、経済学の珍種とも言うべきMMTまで持ち出して天上天下唯我独尊を気取るのは如何なものでしょうか?

消費税の増税に反対するのであれば、同税の不公正・逆進性を追及し、富裕層と大企業への減税分を低所得の一般国民層へ転嫁せんとする策動に抵抗しなければならないのです。

所得別消費税負担率の「逆進性」さらに拡大 400万円未満世帯の負担率は1000万円以上世帯の2.04倍に 日本生活協同組合連合会 2018年03月20日

https://jccu.coop/info/newsrelease/2018/20180320_02.html

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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