韓国通信NO660
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問題が山積なら、読みたい本も山積み。行きたいところも、会いたい人もたくさんいるのに身動きがとれない。怒りと焦りで心が悲鳴をあげている割には最近よく眠れる。
今回は肩から力を抜いて、韓国からの「通信」をお届けする。
韓国からの手紙)<その1>
韓国の親友の娘が去年中学校に進学した。韓国のコロナ対策は早い時期からPCR検査の徹底、学校の閉鎖、集会の禁止等かなり厳しい。日本に比べ成果は上がっているようだが厳戒態勢は今も変わらない。送られてきた『韓日逆転』の本に娘のヨンウンちゃんの手書きのカードか添えられていた。
ハラボジ ハルモニ※お元気ですか。ヨンウンです。コロナがとても流行していますがお元気ですか。いただいたプレゼント大切に使っています。ありがとうございました。お礼の手紙が遅れてゴメンナサイ。
裕子ハルモニお元気ですか。私は元気にしています。コロナのせいで学校にはあまり行けないのでピアノを習い、数学の学習塾、家では英語、国語、科学の勉強をしています。
最近BTSが好きになり、歌をたくさん聞いています。SNSで友達と連絡を取り合ったり、ボードに乗って遊んだり、散歩もよくします。早くコロナが無くなり、以前のようになったらいいのにと思っています。ハラボジ、ハルモニ コロナに気を付けて元気にお過ごしください。
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※ ハラボジ ハルモニ はおじいちゃん、おばあちゃんという意味だが、私たち夫婦にとってこのような呼び方は初めてでショックだった。韓国では60歳以上のひとに敬意をこめたこの呼称は常識だ。韓国留学時代にアジョシ(オジサン)と呼ばれてショックを受けた。オジサンは困る。「オッパ(お兄さん)」と呼んで欲しいと頼んだら女子大生に顔を背けられてしまった。
韓国からの手紙<その2>
韓国の写真家鄭周河さんからのメールである。福島の原発事故直後から南相馬を中心にした写真を発表してきた。『奪われた野にも春は来るのか』と題した写真の巡回展は日本全国で反響を呼んだ。毎年来日して福島を取り続けてきたが、コロナのために昨年は来日がかなわなかった。手紙にはその無念さと今後の抱負が綴られている。
当方もコロナで大変苦労しています。私が住んでいる全羅北道の田舎はコロナとは関係がないようなところですが、集会禁止、5人以上の家族でも集まってはいけないことになっています。いやはや、これでは人間が住む世の中ではないみたいです。
そんなわけで、毎日家でゴロゴロして暮らしています。大学※1は依然として休みですが、再開される授業は対面授業ではなく、映像で講義を撮影して学生たちはモニターを見て学ぶ方式です。これも喜劇みたいなもの。すべてがこんな具合でめまいを感じるほどです。
福島に行こうという私の思いは膨らむばかりですが、日本はすべての外国人の出入国を禁止しています。いつ緩和されることやら。白河のアウシュヴィッツ平和博物館で現在行われている展示会※2に行くこともかなわない状態です。
思い出しますね。いつぞや小原さんと白河に写真展の準備のためにご一緒した時のこと。あの時は本当に楽しかった。帰途、館長が差し入れた一升瓶を東北新幹線の中で全部飲んでしまい、盛り上がりすぎて他の客から注意されたこと。今でも楽しい思い出です。
アウシュヴィッツ平和博物館にもう一度行ってみたい。夏が過ぎたころには何とかなるのではないかと思っています。
今は2月、もうすぐ福島原発事故から10年になります。今年中には是非行きたい。最近の作品<パラ-ダイス、Peace-Diese>(浪江近くの希望牧場にいる牛と木を撮影した作品)も小原さんにも見てもらい、話ができたらと思っています。
ご夫人にもよろしくお伝えください
ともに杯をあげた思い出を新たにしつつ…。<写真上/鄭周河氏2018>
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※ 1 鄭さんは百済芸術大学教授
※ 2 アウシュヴィッツ平和博物館(白河市)では3月1日~20日まで企画展 ふたたび開く鄭周河写真展-「奪われた野にも春は来るか」を開催する
最後は私が卒業した高校の同窓生で俳優、作家の中村敦夫と音楽家の坂本龍一の話。
福島原発10年を前にして語った彼らの思いが大きな励ましになった。
中村敦夫は一人芝居『線量計が鳴る』への思い、坂本龍一は南米先住民に伝わる「はちどりのひとしずく」を紹介して、無駄なことと諦めない小さな努力、希望を持ち続けることの大切さを語った(朝日新聞「私は忘れない」シリーズ)。
13日夜の地震。千葉も揺れに揺れた。10年前を思い出した友人も多い。
初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
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