日時:2014年4月26日(土)14:00~17:00
会場:大東文化会館403号室
【会場案内】
大東文化会館
〒175-0083 東京都板橋区徳丸2丁目4番21号 電話:03-5399-7038
案内図:http://www.daito.ac.jp/campuslife/campus/facility/pdf/culturalhall_access.pdf
タイトル:1886年のビアトリス・ポッター(・ウェッブ)の経済学の方法の展開
報告概要:ビアトリス・ポッターは1886年に手書き草稿として書き未刊となった“The History of English Economics”:「イギリス経済学の歴史」において、「交換価値を有していてそれゆえに貨幣のタームで測定しうる人間性の部分についての『研究の装置(organ)』」という「真の経済科学」を提起した。それは、マーシャルの“The Present Position of Economics”:「経済学の現状」を参照した経済理論の新しい試みである。
ビアトリスは、つながる人間関係を社会的本質とし、そのつながる人間関係における欲望と能力が経済的な欲望と能力として現れ、それらのつながりが交換価値関係であり、それらの現象を心理的・物質的・心理的/物質的の三層で把握して表現するのが新たな経済学と考えた。ビアトリスのこうした社会学的経済学は、マーシャルの「経済学の現状」における経済学と社会学の領域区分の前提は同じくし、また、彼の演繹法的オルガノンの方法とを参照したものだが、彼女の対象領域はそれと異なる。マーシャルはコント的な社会の人間的本質の経済活動表現から、経済と外部の関係に留意することで、市場経済と他の活動領域を同一の現象次元でとらえて関係づける
社会科学的見方に移行した。ビアトリスの社会の把握もコントに基づくものであるが、「イギリス経済学の歴史」では、まだ、マーシャルの対象設定に倣ってはいない。また、彼女の推論方法は演繹的ではあっても、オルガノンによる事実の意味付けではなく、人間の本質が個人において社会的現象や経済現象として表現されるものであり、それは社会一般―特殊経済という領域における人間の原理の現象的表現関係であって、近代社会ではそうした経済関係が社会全体を規定するという個人主義的社会学的方法である。
1886年のビアトリスとスペンサーとの間の知られざる「論争」では、ビアトリスはスペンサーからの手紙における「イギリス経済学の歴史」批判に反論して、社会学的経済学から社会科学的政策論と社会進化論へ移行した。それは、社会的本質・原理の経済表現である一般―特殊の関係から、市場と政府の各領域の現象間の政策論的関係、学問的には社会科学の諸領域科学間の関係に移行したことを意味するのである。
ビアトリスの1886年のこうした経済学の方法の変遷は,社会学的な経済の観点から,社会科学的な経済学の方法への移行と見ることができる。これは,本質・原理—現象の原理論から社会科学的な各領域間の現象の関係を論ずる政策論に移行したことでもある。また、この変化は、のちの彼女の社会科学的で進化的な社会経済学にもとづく集合主義的な福祉経済学への出発点なのである。
報告者:佐藤公俊(長岡高専)
会場費:300円
13:00より編集委員会・理事会があります。(参加者は事前に昼食を済ませておいてください。開始時間が変更になりましたので、ご注意ください。)
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