韓国通信NO736
ウクライナとロシアの戦争が止まない。2022年2月24日のロシアによる軍事侵攻から間もなく2年になる。
私はそれまでウクライナについてあまり知らない、というより関心がなかった。
ウクライナを支援するアメリカとNATO諸国と日本。対するロシアとベラルーシ、北朝鮮という構図。わが国の世論は反プーチンで足並みを揃えた観がある。
昨年10月にはハマスの攻撃に端を発したパレスチナとイスラエルの戦争が始まった。イスラエルの常軌を逸した無差別攻撃に世界中から即時停戦を求める声が高まる一方だ。国連は停戦を決議したがイスラエルの攻撃は激しさを増すばかり。アジアに目を転ずると韓半島も一触即発の状態にある。世界的規模の戦争に発展する可能性もある。
戦争に勝者も敗者もない。映像を見るだけで何もできない私は無力感に陥るばかりだ。戦争は勝敗が決すれば終わるはずだが、その兆しも見えない。
強者のロシアとイスラエルが敗けるのは考え難い。家庭内の喧嘩なら親の一喝で力の強い子が悪い子にさせられて終わるものだが、戦争はそうはいかない。交渉による停戦が不可能なら、弱者であるウクライナとパレスチナが負けるしかない。正義弱者を応援する人たちからブーイングが飛んできそうだが、これ以上の被害を回避するためにはゼレンスキー大統領とハマスが敗北を決断する他ない。
「負けるが勝ち」と言うではないか。
武力に頼らず、あらためて当事者が冷静に議論を尽くすことを望む。今後の安全保障、損害賠償を含めて話し合って欲しい。国際世論は勇気ある敗北宣言を評価し、公正に敗者を後押しするに違いない。理性の前に力は跪き正義は勝つ。
<勝利にこだわる愚かさ>
敗北を認めなければ、勝つまで戦うことになる。
かつてわが国の戦争指導者が国体の維持にこだわったためにどれほど甚大な犠牲を強いられたか思い出すべきだろう。敗北は早ければ早いほどいい。
世界の恒久平和を謳う憲法を持つわが国は戦争の支援をしてはいけない。憲法の理念に悖るばかりか戦争を長引かせるだけだ。始まったら簡単に終わらないのが戦争である。万が一、わが国が戦争をするなら、早々と負ける覚悟をしたほうがいい。二つの戦争から学ぶことは何よりも戦争を始めないこと。同盟国の存在は極めて危険だ。戦争を始めるのもやめるのも決められないからだ。勝つ戦争はないことを心に銘じたい。
<政治不信の極み>
能登半島地震の復興支援が一向に進まない。行政の不作為~人災が指摘されている。裏金作りで揺れる政権と同じ穴のムジナの石川県知事の資質も疑われる。「やってる」感を演出する首相と知事の防災服が白々しい。
国民より政権維持に執着する岸田首相は今や火だるま状態。無能な議員と高い歳費(給与)。首相をはじめ議員たちには憲法の理念を実現する熱意がまったくと言っていいほど感じられない。政党助成金と企業献金で私腹を肥やす実態が日を追うごとに浮き彫りになっている。手口は極めて悪質。自民党は「やらずボッタクリ」の利権集団に堕ちた。これでは災害救助と復興が後手に回るのは当然だ。わが国の将来が思いやられる。
メディアは妥協せずに大いに頑張って欲しい。曖昧な灰色決着はご免だ。検察が許しても主権者の私たちが許さない。原発、辺野古、貧困、軍拡、改憲、パーティー券。怒る材料があまりにも多すぎて、めまいがする。
<特ダネ>
菅直人元首相を毎月1回の駅前スタンディングに誘った。政界を77才の若さで引退して一体何をしようとするのか。怪訝に思い手紙を書いた。
年金生活者たちが毎月、「原発廃棄」「安保法制反対」「平和」のステッカーを駅前で掲げる活動を紹介して、「一緒にやらないか」と誘った。
吉祥寺から我孫子までは1時間半かければ可能な距離である。楽隠居するつもりなら「喝」を入れるつもりだった。案の定というべきか、来月3日は先約があるので参加できないという返事が来た。自身の引退には一切触れず、引き続き、国会活動を通して「原発ゼロ」「再生可能エネルギー」問題に取り組んでいくと添え書きがあった。
“デート”は不調に終わったが、菅さんとは2019年9月に代々木公園で開かれた反原発集会で立ち話をしたことが今回の手紙のきっかけとなった。動かぬ証拠写真と「通信」からの抜粋を紹介する。
政治家の仕事はボランティア活動の側面がある。彼にかつての市民運動家の自負を期待した。元首相をお客扱いする気はさらさらなく、手紙では、防寒対策と自前のプラカードを準備するよう伝えた。
送られてきた「レポート」には新年の決意が語られていたので少しホッとした。元首相も議員バッジをはずせばただの一市民。菅さんへの呼びかけはそんな思いが込められていた。彼のこれからの活躍に期待したい。
9 月 16 日、代々木公園の「さよなら原発」の会場で元首相の菅直人さんと話をする機会があった。彼はお孫さんを連れての参加だった。
政治家として原発 の危険性を見抜けなかった不明を恥じ、反原発への熱い思いを率直に語ってくれた。(私には)かつての民 主党政権には言いたいことはいっぱいあるが、「事故当時、首相が麻生や安倍でなくてよかった」と感想を述べ、事故当時の状況に話が及んだ。次の世代のために「このままでは死ねない」。共通の思いをしばし語り合った。
初出 :「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
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