米軍基地の島・沖縄では、オスプレイ(垂直離着陸輸送機)の強行配備や普天間飛行場の移転難航で、県民の日米両政府への不信感が高まっている。そこに〝火に油を注ぐ〟ような事件が発生した。若い米海兵2人が10月16日未明、沖縄本島中部の屋外で、帰宅途中の成人女性を次々に強姦し首にケガを負わせた容疑。沖縄県警に逮捕され、那覇地検に送検された。
「正気の沙汰ではない」と厳重抗議
仲井真弘多沖縄県知事は10月17日急きょ上京、森本敏防衛相やルース駐日米大使に「正気の沙汰ではない。綱紀粛正という生やさしい処置ではなく、もっと厳しい対応を示してほしい」と抗議した。8月18日には米海兵隊員が女性暴行容疑で逮捕され、この時も抗議を受けた米側は再発防止を約束したが、米兵の乱行ぶりは相変わらずだ。
1995年の米海兵隊員3人による少女暴行事件を思い出す。沖縄県民の怒りが爆発、米軍基地縮小や、米兵の取り扱いをめぐって日米間の緊張が高まった。今回の強姦事件は基地外で容疑者を見つけて沖縄県警に逮捕されたが、もし基地内での事件だったら、引き渡しをめぐって揉めるケースになったと思われる。
不平等な「地位協定」を改めよ
仲井真知事は「日米地位協定を改定しない限り、火ダネはなくなるまい」と言っているが、両国政府は改定交渉に本腰を入れるべきだ。この地位協定では、公務中の犯罪に米軍当局が裁判権を優先的に行使できるほか、公務外に基地の外で起こした犯罪についても米側が先に容疑者の身柄を拘束した場合は日本側が起訴するまで身柄を引き渡さなくてもいい規定になっている。その後の運用改善によって多少は良くなっているようだが、依然として米国優位の地位協定であることを、本土の人たちも再認識しなければならない。
沖縄の負担軽減が喫緊の課題
朝日新聞10月18日付社説は、「日米協調は必要だが、今回の事件が火ダネとなって、再び沖縄で反基地の思いが爆発することは十分考えられる。日米両政府は真剣に対策を講じる必要がある。沖縄で米兵による事件が多いのは、国土面積の0・6%にすぎないこの島に、在日米軍基地の面積の約74%が集中している現実が根底にある。沖縄の負担をどう分かつか。沖縄の外に住む1人ひとりが考えなくてはならない」と警告していた。
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