世界平和七人委がアピール
米国とイスラエルによるイラン攻撃は3週目に入ったが、世界平和アピール七人委員会は3月16日、「米国とイスラエルのイラン攻撃は許容できない-世界的な危機を克服するために-」と題するアピールを発表した。
アピールは、米国とイスラエルによるイラン攻撃は「道理を欠いている」とし、「米国とイスラエルはイラン攻撃の非を認め、直ちに停止するとともに、イスラエルのガザ攻撃の過ちをも認め、イスラエルは占領地から撤退すべきである」と主張している。
次いで、アピールは、両国のイラン攻撃の「世界史的な重大性」について言及し、第二次世界大戦後に国連が発足して以来、国連の仲介の下で、辛うじて共有されてきた「戦争を抑止し暴力が支配しない世界へ向かおうという意思」を両国が踏みにじり,「剥き出しの力に頼る論理」が「あたかも正論であるかのように横行している」と指摘している。
そして、「世界の歴史は一気に2つの世界大戦に先立つ帝国主義の時代に戻ってしまった感がある」「このまま暴力支配に地球が覆われていくなら、植民地主義と世界大戦の時代を超えてようやく確認し合うかに見えた人類的な平和への共同意思が失われてしまう」と危機感を露わにしている。
アピールは、日本政府に対しても「平和主義と人権尊重を掲げる憲法に基づき、力の支配に屈しようとする世界に異議を唱え平和を求める役割を果たすべきである」と求めている。
世界平和アピール七人委は、1955年、世界連盟建設同盟理事長・下中弥三郎、物理学者・湯川秀樹らにより、人道主義と平和主義に立つ不偏不党の知識人の集まりとして結成され、国際間の紛争は武力で解決してはならない、を原則に、日本国憲法擁護、核兵器廃絶、世界平和実現などを目指して内外に向けたアピールを発してきた。今回のアピールは170回目。
現在の委員は大石芳野(写真家)、小沼通二(慶應義塾大学名誉教授)、池内了(宇宙物理学者)、髙村薫(作家)、島薗進(宗教学者、東京大学名誉教授)、酒井啓子(千葉大学教授)の6氏。
アピールの全文は次の通り。
米国とイスラエルのイラン攻撃は許容できない
-世界史的な危機を克服するために-
最高指導者アリ・ハメネイ師の虐殺を含む、2月28日に開始されたイスラエルと米国によるイラン攻撃の拡大が続き、収束のめどがつかない。攻撃の目的も次々に大きく揺らいでいてあいまいであり、道理を欠いている。米国とイスラエルはイラン攻撃の非を認め、直ちに停止するとともに、多数の死傷者をもたらし人道に背くイスラエルのガザ攻撃の過ちをも認め、この地域での対外攻撃をやめ、イスラエルは占領地から撤退すべきである。
第二次世界大戦終了後、早くも1945年10月24日に国際連合が発足して、国際的なすべての対立・紛争は戦争に訴えることなく対話と交渉と協力によって解決することを取り決めた。それと同時に、力によって他国を支配する植民地主義を克服し、自国の運命は自国で決める各国の主権への不干渉や領土保全を尊重する国連憲章の下で世界は動き始めた。以来、国連憲章違反が起これば、さまざまな紆余曲折はあっても、国連の仲介の下で戦争を抑止し暴力が支配しない世界へ向かおうという意思はかろうじて共有されてきた。
しかし、2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナへの一方的侵攻以来、剥き出しの力に頼る論理があたかも正論であるかのように横行するようになってきている。イスラエルのガザ攻撃、米国のベネズエラ攻撃と続き、この度のイラン攻撃である。世界一の軍事力と経済力を背景にした米国がその威を借りるイスラエルとともに、また西半球では単独で、次々と犯す暴挙に対し、ロシアのウクライナ侵略を非難した欧州諸国はそれを強く非難できず、国連を中心とした世界世論は戦火の拡大を抑えることができずにいる。世界の歴史は一気に2つの世界大戦に先立つ帝国主義の時代に戻ってしまった感がある。
このまま暴力支配に地球が覆われていくなら、植民地主義と世界大戦の時代を超えてようやく確認し合うかに見えた人類的な平和への共同意思が失われてしまう。今や、多様性を認め、互いの人権を尊重し合い、平和を尊ぶ文明が破壊され、人類の未来が危うくなる危機的状況である。私たちは、暴力で支配されてしまう地球で人は安らかに生きていくことはできない。国際法を無視して他国に攻撃を仕掛けているロシアやイスラエルや米国に対して、また、武力による他国や他地域への攻撃・支配に反対し、すべての関係国が国際法を遵守して対話と交渉という平和的な手段による解決を図ることを求めたい。
日本政府は、平和主義と人権尊重を掲げる憲法に基づき、力の支配に屈しようとする世界の動向に異議を唱え、平和を求める役割を果たすべきである。現在の日本の政府と与党にはその自覚がほとんど見えず、米国への従属を強める姿勢では、国際的な評価は低下するばかりである。日本が目指すべきは世界史的視野に立った平和のための政治であり、そのことを具体的な行動で示していくべきである。
初出:「リベラル21」2026.03.17より許可を得て転送
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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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