連帯・共同ニュース 第129号 2011年7月11日
■ 七月三日、東村平良で「高江・座り込み4周年記念集会」が開催される。参加者は五百人を超え、椅子席250を遙かに超え大盛会であった。会場には島田善治氏、高良勉氏、真喜氏好一氏などの顔も見え、この集会の注目度の高さを感じさせた。前半の出し物(ギニアの太鼓、Coccoの歌、等々)で三時間の予定を遙かに超過して四時間半を数えたが誰も退席しない程の熱気であった。戦々恐々として迎えた翌四日(月)に那覇防衛局は高江に参上せず、拍子抜けに終わるところ、支援者の決起集会で盛り上がった。翌五日も同様であった。空はあくまでも青く晴れ、風はさわやかであった。小生は過ぎし二月と同様の激しい攻防を予定していたが防衛局の肩すかし状態に些かの脱力感を味わったが、この種の報告書には「何も起こらず、日々是平安なり」と綴り続ける方が良いのかも知れない。但し、「当方の態勢の弛緩状態をつき、防衛局いきなり強襲」という文章が後日の報告に出てこない限りはという条件付きである。防衛局の偵察は毎日続いている。六日、七日、八日と平安は続く。日々平安そのものは結構な事であるが、それでは読者が面白くないだろうと思うので、ある人物の冒険譚を引用しよう。
■ 私SはF氏とX氏の調査に同行し、N1裏と呼ばれている基地内の獣道(?)入り口から侵入し、オスプレイ・パッド(ヘリパッドを二つ並べて、後ほどそれを繋げ、オスプレイの水平離発着用として使われる可能性99%)予定地を通り、N1ゲートへの3キロを踏破した。このルートは基地のN1地域を横断する格好になる。F氏とX氏は山道の歩行になれており、年齢も小生よりも若い。全行程を自力で歩き抜けることが出来るかどうか不安ではあったが、持ち前の無謀さで歩き始めた。F氏に「米兵や防衛局職員に遭遇したらまずいことになりませんか」と問う。何しろ今から歩こうとする行程は米軍基地の内部である。「どうって事はありません。この前も訓練中の海兵隊に会いましたので『ハロー』と声をかけましたが、彼らは無言で通り過ぎました。聞くところによると訓練中は民間人と口をきいてはいけないそうです」小生はF氏の話に半信半疑であった。山道は全行程3キロに渡り幅2メートル弱で轍が作った凹凸も激しく、轍には水が溜まっている。場所によっては両側から笹が倒れてきており歩きにくいことこの上なし。先の台風で倒れた木々も行く手を阻む。登り降りもかなり激しい山道で、露出した粘土に足を滑らせ、堆積した腐葉土に足を取られること再三である。これらは3~6月の期間内には工事がされていない事を物語っている。中間地点につく。ヘリパッド建設予定を伺わせる杭が残置されている。再び歩き始める。同行二氏は疲れた様子もなく平均的な速度で歩き続ける。小生些か疲れ気味。しかし、意地でも弱音は吐けない。暫く歩くとやや道が開ける。尚も歩くと2月に土砂を入れて整地(?)したところに到着する。歩足をするとN1ゲートから200メートル前後と判明したが、砂利敷設は極めて薄く、ところどころ赤土(あるいは粘土)露出の場所もあり、極めて杜撰。是ではN1から重機の往復にはたえることができない。何の為の砂利敷設か真意を疑う。強行工事のアリバイ工作の匂いあり(米軍に対する言い訳用)。小生、苦笑い。引用終わり。S様、無断で引用いたしました。御容赦。N1地域の状況や2月の攻防で支援者がほぼ勝利したことが伺えます。(文責 富久亮輔)
■ 僕らの目が大震災や原発震災からの復旧や復興に向けられている間でも日米両政府の合意として普天間基地移設=辺野古新基地建設の画策はなされようとしています。アメリカでは在日米軍の再編成を巡り、現行の政府案に反対しその見直しを求める声が出てきています。これは主として財政問題を理由にしているのですが日米政府の普天間基地移設案見直しの声が強くなっているのも事実です。沖縄の民衆の声を考えれば当然のことですが、日本政府はただこの日米合意案にすがりつくだけの醜態をみせています。そして、アメリカ政府の来秋にはオスプレイ配備という声明にそった基地整備を行うとしています。高江のヘリパッド建設はその一環です。今年のはじめにその策動がなされたことは既に報告済みです。現地の闘いに参加していた9条改憲阻止の会の会員の富久さんは7月の初めから再び現地にはせ参じています。上記の報告は最初のものですが、今後次々と送られてくる予定です。彼は7月の終わりころまで現地に駐在の予定ですが、高江のヘイパット建設阻止の闘いに参加する人は一報ください。彼が現地で導きをしてくれるとのことです。事務所に連絡いただければと思います。彼の報告は随時に「連帯二ユース」に載せる予定です。どんな報告が届くか楽しみです。
■ 今度の大震災に在日米軍は「トモダチ作戦」として支援活動に参加しました。誰であろうと大震災のような災害に対する救援や支援はありがたいものです。その意味ではこの作戦に異議を唱えるつもりはありません。しかし、この作戦が日米同盟の意義を確認させることになったという手前勝手な宣伝に使われるなら「それは違うぜ」と言わなければなりません。日米同盟はアメリカの政治(軍事的)、経済的な衰退(世界への影響力の低下)の中で、アメリカの戦略的地位と力の維持のために日本が積極的に力を発揮するということです。その主体はアメリカの政府や戦略にあって日本の意思も判断もありません。アメリカに追随して行きそれを深めるだけのことです。これは日本の国家意思がアメリカにコントロールされた官僚に、それとスクラムを組む政治《政党》や経済《財界》に支配されているからです。これにはメディアも加わっています。民主党政権が掲げた「日米関係の見直し」という提起がアメリカと日本の旧勢力から猛烈な攻撃をうけ、民主党があっいう間に変質させられたことを想起すれば明瞭です。彼らの目線は沖縄の地域住民ではなくアメリカの意向に向いています。結局のところ国民の意思と力以外に日米同盟は変えられません。沖縄の作家の大城立裕さんは「沖縄の人も強くなりました」と語っていましたが、日本の官僚たちに勝つ道は民衆が強くなるだけです。(文責 三上治)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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