翁長沖縄県知事が米国行脚の戦略

沖縄県の翁長雄志知事の米国行脚が始まった。翁長知事は4月以降、安倍晋三政権幹部と相次いで会談して、普天間飛行場の辺野古移設反対を伝えてきたが、第二段階の戦略として、訪米による「自治体外交」に踏み出した。

まずハワイ訪問。29日(日本時間30日)、デービッド・イゲ・ハワイ州知事と会談した。イゲ氏は沖縄に駐留する米海兵隊の一部をハワイに移転する再編計画には理解を示したが、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設問題については「日米両政府の問題」と述べるにとどめた。翁長氏は29日、ワシントンに向かった。

 日米両政府は、沖縄の海兵隊の一部をハワイやグアム、豪州に移転する計画。翁長氏によると、会談で2700人規模とされるハワイへの移転を話題にしたところ、イゲ氏は「話は聞いている。日米両政府が決めたなら、実施に向けて協力したい」と述べ、受け入れに前向きな姿勢を示した。

 一方で、普天間の移設問題については、「国と国の問題で、何かを決めるのであればワシントンで決められる」と語り、賛否を明らかにしなかった。ハワイで起きたオスプレイの事故についても、意見を交わす時間はなかった。

翁長氏が米政府に直談判するのは国防総省の担当者と6月3日ワシントンで会うことになっているが、応対はヤング日本部長とアバクロンビー次官補代行。県側が希望していた次官補級より「格下」による対応になった。

 ハワイのイゲ氏は父母バクロンビーが沖縄県出身の日系3世。今年は沖縄とハワイの姉妹提携30周年にあたり、会談で翁長氏とイゲ氏はそれぞれで予定されている式典に参加する意向も確認している。翁長氏は知事就任後、県の事務所をワシントンに設置して職員2人を派遣。4月には米コンサルタント会社と約2500万円で業務契約した。日本の省庁とも契約実績のある会社を通じて、米国の安全保障政策を把握する狙いだが、その壁は厚いようだ。

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