脱原発支持 85%

韓国通信NO568

  韓国の現代経済研究院が実施したエネルギー政策に対する国民の意識調査の結果をハンギョレ新聞が報じた(2018/6/18)。
新政権発足直後に発表された「脱原発・脱石炭エネルギー転換」。昨年10月に引き続き2回目となった調査によると脱原発支持者はさらに6.8%増え、全体で85%にのぼったという。年代別では30代が89.8%と最も高く、40代(89.1%)、20代(87.6%)と続いた。
 福島原発事件の「風化」が懸念されるわが国だが、それにしても85%の数字には驚かされる。調査では脱原発のために約7割の人が月額1万5013ウォン(約1500円)の負担を覚悟していることも明になった。
 福島原発事故を教訓に脱原発に舵を切ったドイツ、スウェーデン、スイス、イタリア、台湾に続いて韓国の脱原発も「不可逆的」となった。
安倍首相の「アンダーコンロール」演説を皮切りに、相次ぐ避難指示の解除、子どもの甲状腺がんの否認、原発の再稼働など、事故は2年後のオリンピックの中に溶解され、忘れ去られようとしている。85%という数字は「ローソクデモ」による「革命的世直し」を抜きにしては考えられない。半年間に1700万人の市民が政治参加を求め立ち上がった驚愕のエネルギーは、その後も大統領選、地方選の圧勝をへて、政治、経済、司法・検察などあらゆる分野の見直しと刷新を求めて止まらない。利益優先から人間優先の社会への転換が政府と市民一体となって取り組まれている熱い社会がある。日本では報じられることが少ないが、後戻りのない民主化から85%は理解が可能となる。

「韓国から学ぶ」というけれど…
「韓国のように!」と集会などでよく聞かれる。しかし呪文のように唱えても何も変わらない。国政を私物化した朴槿恵は国民の指弾をうけて獄中にある。同じ私物化をして醜い姿をさらした安倍首相の再選は有望視される。罪を犯せば大統領でも罰せられる韓国に対して、逮捕を求める声も上がらない「大甘」の日本社会との違い。その違いを生んだ一つとして、歴史の中で鍛え抜かれた韓国人の人権意識、主権意識、記憶力の問題を指摘しておきたい。
「主権は国民にあり、全ての権力は国民から生まれる」という単純明快な韓国憲法第1条は韓国のあらゆる運動のスタートだ。日本では主権在民を憲法から見つけ出すのは難しい。「どこにあったか」と憲法を読み直す人も多いはずだ。「押し付け憲法」などと蔑(さげす)まれてきたせいか、憲法とともに主権・人権意識まで薄くなってはいないか。

「忘れる日本人」と「記憶する韓国人」
単なる記憶力の話ではない。7年前の原発事故を日本では「忘れ」させ、「忘れ」たがる。責任を明らかにさせないために忘れさせる。いやなことは忘れたがる。
韓国人は記憶する。忘れさせようとしても忘れない。辛く悲しい体験を心の奥底に記憶としてとどめる。その体験を共有するコミュニティ社会がある。日韓の民族特有の違いではない。忘れたがる日本人は150年前から生まれた。そこから今でも抜け出せないでいる。

初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
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