下記のように、自主避難を余儀なくされた方々が切実に訴えております。
脱原発など未来に向けた前向きの取り組みも大切ですが、火急の課題は被害者の救済と補償(農畜産漁業者をはじめ未来の被害者たりうる子どもたちも含めて)、政府・東電などに最後まで責任をとらせることだと思います。
◆「自主」避難者への賠償について、を下記に貼り付けました。認識を共有し要望を共にしたいと思います。
====以下転送====
東京の杉原浩司(福島原発事故緊急会議/みどりの未来)です。
すごい深夜にすみません。[転送・転載歓迎/重複失礼]
本日8月5日(金)14時~16時30分まで、文部科学省旧文部省庁舎6階
第2講堂にて、第13回 原子力損害賠償紛争審査会が開催されます。
議題の中心は、中間指針(案)についてです。
前回第12回(7/29)では、約30分にわたり自力(自主)避難者への賠償
の問題が議論されました。以下に議論の要旨がまとめられています。
「自主避難に賠償を」もっともっと声が必要です。
(8/2「グリーンピース・ジャパン」ブログ)
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/blog/36198/
8月1日には、子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク、福島老朽
原発を考える会、FoE Japan、グリーンピース・ジャパンが審査会の委員
あてに要請書を提出しました。説得力に満ちており、必読だと思います。
◆「自主」避難者への賠償について 中間指針に盛り込む必要性とその根拠
(下記に掲載)
http://www.foejapan.org/energy/news/pdf/110801.pdf
ちなみに、日弁連は、最低でも「放射線管理区域」を超える地域からの
避難者および今なお暮らす住民に賠償がなされるべきと主張しています。
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2011/110713.html
福島県もまた、自主避難への賠償を要望しています。
http://www.pref.fukushima.jp/j/youbou230514.pdf
本日の審査会でどのような議論がなされ、中間指針の内容がどうなるのか、
注目と監視が必要です。
【参考】
「自主避難は賠償対象か」(TBSの動画ニュース、8/4)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4793101.html
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◆「自主」避難者への賠償について 中間指針に盛り込む必要性とその根拠
http://www.foejapan.org/energy/news/pdf/110801.pdf
2011 年 8 月 1 日
原子力損害賠償紛争審査会
委員各位
「自主」避難者への賠償について
中間指針に盛り込む必要性とその根拠
先日は、避難区域外からのいわゆる「自主」避難者が、避難せざるをえなかった状況、補償が不透明で仮払い金や義援金も受けられない中で困難に陥っている実状、また避難せざるをえない状況にありながら、補償が不透明な中で避難できずに苦しんでいる実状について、住民の声として寄せていただいたものを送付させていただきました。また、自主避難者への賠償を求める要請書およびアンケートを送付させていただきました。
水素爆発の恐怖から…、高線量が続く中で…、子どもたちだけでも避難を実行したが、二重生活でかさむ生活費、交通費…。区域外避難者・「自主」避難者が、決して自分勝手に避難したわけではないこと、また補償が必要な実状について、ご理解いただけたものと思います。
第12回の審査会において、この問題を取り上げていただいたことに感謝いたします。委員のみなさまから「ものには出荷制限、ひとには避難指示、ものついては風評被害も賠償の対象、ひとについては、広げていない。回避行動が合理的であれば(「自主」避難は)予防原則でいう懸命なる回避」「避難区域のすぐそばの方お子さんとかいれば気持ちわかる」といった発言がありました。
ここに改めて、避難区域外避難者・「自主」避難者に対する補償の原則を、中間指針に明記していただくよう要請します。以下に理由をあげさせていただきます。ご検討のほどよろしくお願いいたします。
1.行政の対応が遅れる中、避難を余儀なくされるケースがある
(1)線量が高いのに行政が対応しない
福島市は、6月17日と20日の2日間で、市内1045箇所の空間線量を測定しました。その結果、伊達市で特定避難勧奨地点の目安とされた 3.2マイクロシーベル
ト/時を超える線量が10 箇所以上で観測されました。福島市渡利平ヶ森地区では、3.2~3.8マイクロシーベルトの線量が4箇所で観測され、高い線量が面的に広がっていることが明らかになりました。住民らは、避難をせずに住み続けた場合、積算線量が20ミリシーベルトに達する恐れがあります。
その後、渡利地区において、同様に線量が高い福島市大波、小倉寺などとともに、特定避難勧奨地点についての説明会が開かれるとの報道がありました。しかし説明会はいつまで経っても開催されず、住民らは高い線量の中で放置された状態にあります。こうした住民が避難を考えた場合、補償を受けるのは当然のことと考えます。
(2)避難先の整備が遅れている
福島市は7月16日に、福島市西部地域に公営住宅を建設し、線量が高い福島市東2部地域から移転させる計画を公表しました。これは、福島市が、福島市東部地域が移転が必要なほど線量が高い状態にあることを一定認めた措置だと思われます。しかし、西部地域での公営住宅建設の目処は全く立っておらず、いつ移住できるのかわからない状況にあります。こうした住民が、公営住宅建設を待たずに避難を考えた場合、補償を受けるのは当然のことと考えます。
(3)水素爆発直後の避難の判断の合理性
福島第一原発で水素爆発が発生した後、3月15日から福島市や郡山市など、中通り地域の線量は急上昇し、福島市では20マイクロシーベルト/時を観測しています。この数値は、年20ミリシーベルトに達する目安である3.8マイクロシーベルト/時(屋外8時間、屋内16時間)を大きく上回ります。その後線量は下がっていきましたが、20マイクロシーベルト/時の時点で積算線量を算出すると、年100ミリシーベルトを大きく上回ります。いつ次の爆発が起きてもおかしくなかったこの時点で、その後の線量の推移を正確に推測することは不可能です。政府は3月12日に決めた避難区域を変更しませんでした。この時期に、自主的に避難を決断し、実行した住民が多くいますが、この判断の合理性を疑う余地は全くありません。
2.避難の基準とされている20ミリシーベルトは高すぎる
(1)国際的な避難基準
フランスの原子力安全委員会(IRSN)は、日本政府に対し、避難基準として、10ミリシーベルトを採用し、7万人余りの追加の避難を行うよう勧告しています。チェルノブイリ原発の周辺国は、チェルノブイリ原発事故による避難基準について、年5ミリシーベルト(セシウムによる土壌汚染 555
キロベクレル/平方メートル)以上を移住の義務ゾーン、年1~5ミリシーベルト(セシウムによる土壌汚染185~555キロベクレル/平方メートル)を移住の権利ゾーンに定めています。文部科学省及び米国DOEによる航空機モニタリングによると、伊達市や福島市の一部で移住の義務ゾーン、福島市から郡山市に続く中通り地域で移住の権利ゾーンに相当する土壌汚染となっています。
(2)放射線管理区域は年5.2ミリシーベルト
法令により、3ヶ月1.3ミリシーベルトを越える区域は、放射線管理区域に相当します。放射性管理区域では、労働法規により、18才未満の労働は禁じられています。放射能マークを掲示し、子どもを含む一般人の立ち入りは禁じられ、厳格な放射線管理が行われ、事前に訓練を受けた者だけが立ち入ることのできる区域です。3ヶ月1.3ミリシーベルトは年5.2ミリシーベルト、空間線量は 0.6マイクロシーベル
ト/時にあたります。学校や通学路、公園、場合によっては家の中でも放射性管理区域のレベルを超える場合がありますが、母親が、もう逃げ場はない、とても子どもを育てる環境ではないと判断し、避難を実行したような場合に、補償を受けるのは当然のことと考えます。
日本弁護士連合会は、7月13日に出した会長声明で、「損害賠償の範囲を検討するに当たっては、予防原則に照らし、放射線の影響を危惧しこれを回避することが社会通念上相当と考えられる場合、最低でも、福島第一原子力発電所事故発生直後に相当量の放射線を被ばくした住民、更に」放射線管理区域とされる線量「を超える放射線が検出された地域から避難した住民及び現にこのような地域に居住又は避難している住民に対しては、合理的な範囲内として、避難費用・精神的損害について、賠償がなされなければならない」としています。
(3)白血病の労災認定基準は年5ミリシーベルト
原子力発電所等の労働者がガンや白血病で亡くなった場合の労災認定基準は、年5ミリシーベルトからと定められています。過去35年で10人が累積被ばく線量などに基づき労災が認定されており、累積被ばく線量5.2ミリシーベルトで認定された事例もあります。
(4)公衆の被ばく限度は1ミリシーベルト
法令による公衆の年間の線量限度は1ミリシーベルトです。福島県民にも、他の県民と同様に、余分な被ばくを避ける権利があるはずです。その意味では、年1ミリシーベルトを超える被ばくを避けるために住民がとる措置に対し、補償を受けるのは当然のことではないでしょうか。
(5)すでに「緊急時被ばくの参考レベル」ではない
20ミリシーベルトの基準は、ICRPによる緊急時被ばくの参考レベルである20~100ミリシーベルトの下限値をとったものです。しかし緊急時の参考レベルは、「被ばく低減に係る対策が崩壊している状況に適用」(ICRP 2007年、Pub.103)とされており、事故後、せい
ぜい数週間を想定したものと考えられます。「緊急時被ばくの結果生じる長期にわたる汚染の管理は、現存被ばくとして扱う」(ICRP 2007 年、Pub.103)こと
とされており、事故終息時の現存時被ばくの参考レベル1~20ミリシーベルトが用いられます。ICRPは、福島事故に際して発した声明において、1~20ミリシーベルトの現存時被ばくの参考レベルの適用について、「当局があらゆる必要な防護策を行う」ことを前提に、「長期目標として参考レベルを年間1mSvとすることを引き続き勧告する」としています。
3.避難区域外・「自主」避難者への賠償を中間指針に明記してください
低線量被ばくが健康に影響をもたらすことについては、それを明確に否定することもできませんし、立証することは困難です。日本の現行法令は、低線量であっても、線量が増えればそれに比例してリスクが増すとの ICRP が採用する考え方を採用していま
す。また、前述のように、「自主」避難が、政府の対応の不備や避難基準の設定に問題があることから生じている側面があります。避難した方々の判断は、多くの場合、自らおよび子どもを含む家族を守るのには、合理的であり、やむをえない判断です。避難をされた方々の中には、経済的に切迫した状況にある方も多々います。また、経済的な理由で避難に踏み切れない方もたくさんいます。
こうした点をご考慮いただき、是非とも原子力損害賠償紛争審査会において、避難区域外・「自主」避難者への賠償を認める原則を中間指針に明記するよう、改めてお願いいたします。また、今後、審査会において避難区域外の賠償について審議されるにあたっては、避難をせざるを得なかった住民等からの聞き取りをしていただけますよう併せてお願いいたします。
なお、ご承知のように、福島県知事は、5月14日に国に対し緊急要望を提出し、「避難等指示区域外の住民が安心を求めて避難することは妊婦や子どもを持つ親はもとより、すべての県民にとってやむにやまれない行動であることから、政府による避難等の指示区域外の住民の自主的な避難経費についても、確実に賠償等の対象とすること」と述べています。福島県知事、市町村長、商工会連合会、JAグループで構成する福島県原子力災害対策協議会も「自主」避難者への補償を求める意見を出しています。また、前述のように、日本弁護士連合会も 7 月 13 日付会長声明で「自主」避難者への補償を求め
ている点を、付記させていただきます。
子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
国際環境 NGO FoE Japan
国際環境 NGO グリーンピース・ジャパン
問い合わせ先:
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)090-8116-7155(阪上)
国際環境 NGO FoE Japan 090-6142-1807(満田)
(以上転送終わり)