情報は常に不足している。中東・アフリカ・中南米に関する情報は特に不足している。日本語への翻訳が少ないことも大いに関係しているので,日本語の情報は有り難い。しかし英米が垂れ流す情報に基づいて書かれている文章・情報が多すぎるのが難点である。
例えばイラクのクルド族に関する情報。坂井定雄竜谷大名誉教授は「イラクの(バルザニ派の)クルド人自治政府の独立に支援」を呼びかける記事を書いた。対して小生は「イラク・クルド人はイラク憲法下で生きるのが,現状では最善」という意味のコメントを投稿した。
小生が根拠とした情報は,例えばブログ『桜井ジャ-ナル』である。バルザニ大統領傘下のクルド政府はイスラエルに支援されてきた傀儡であるから,もしイラク北部にクルド傀儡政権ができたら,イスラエル軍や米軍の基地ができ,固定化されてこの地域がさらに「不安定化」することを恐れたからである。
坂井文章が発表されて2,3日もしないうちに,バルザニ大統領は辞任を発表してイラク・クルド人はイラク政府との連邦制を望んだ。つまり93%の支持の独立賛成投票はその意義を失った。坂井教授は,イラクには反バルザニ派のクルド人もいることを無視している。
シリアにもアサド政府支持のクルド人も親英米のクルド人もいる。後者は英米トルコ及びサウジやカタ-ルに支援されてきた。またシリア北東部には,シリア政府の許可なく建設された(国際法違反の)13の米軍基地がある。したがってISが一掃されたとしても,火種はたくさん残っているといわざるを得ない。
『桜井ジャ-ナル』を読んでいれば,以上のことは理解できる。しかるにこのブログ記事が信用できるかという疑問が湧くだろう。比較するためにはもう一つの例が必要だろう。以下はブログ『マスコミに載らない海外記事』で紹介されたBBC(英国)放送局の記事である:”Raqqa’s dirty secret”(13 Nov., 2017)
The BBC has uncovered details of a secret deal that let hundreds of IS fighters and their families escape from Raqqa, under the gaze of the US and British-led coalition and Kurdish led forces who control the city.・・・という部分から,IS武装勢力が英米・クルド支援勢力猊下のもとラッカから逃げているということが分かる。すなわち,ISに代表される「イスラム国」には英米の支援がある。英米同盟軍が支援するISやクルドがあることを指摘しない情報は,信用に値しない。