言論・表現の自由、報道の自由、政治活動の自由を守れ(1)=忍び寄る「言論統制」の時代、うっとうしい世の中はまっぴらご免だ

みなさまご承知の通り、先般、自民党の政治家で総務大臣をしている高市早苗が、T

Vの「政治的偏向」を理由に電波停止もありうると発言して物議を醸しています。現

職大臣や自民党の政治家たちが、日本国憲法というか、全世界の近代憲法であればど

この国の憲法でも、守られるべき有権者・国民の権利として定められている言論・表

現の自由や報道・放送の自由の何たるかを心得ず、政治権力を使って自分たちの思う

ような言論状況や世論を創り出すために、世の中で展開されている一般の言論・表現

に容喙・干渉したり、妨害・排除したり、圧力をかけてやめさせたりと、前近代的な

権力乱用を繰り返してきたことは事例に事欠きません。しかし、安倍晋三を総理とす

る政権においては、その度合いがあまりにひどすぎ、また、多方面から多くの批判や

非難を浴びても改めようともせず、今回の高市早苗のように「居直り続ける」とい

う、トンデモ暴走型の態度をとり続けているのです。

もしそうであるなら、民主主義や基本的人権を最重視する日本国憲法の主旨に添い、

まず真っ先にマスコミ各社がこのアベ政権の暴挙を徹底的に糾弾・追求するととも

に、それと並行して、大学教授らの有識者がアベ政権の言論・表現・報道・放送の自

由侵害の暴挙に対して「断固としてNO!」との表明を積極的にしていかなくてはい

けないはずです。また、アベ政権や政権党の自民党がそういう態度であればあるほ

ど、彼らが打ち出す政策や理念など、その政治全体に対して従来以上に批判的な観点

を強め、厳重なチェックや監視をし、もしとんでもない欠陥が隠されていたのなら、

それを一刻も早く有権者・国民に還元していく、そんな民主主義としてのフィード

バックの機能を活性化しなくてはいけないでしょう。

しかし、日本の今日の言論状況や社会のありようは、決してそのような健全な民主主

義を体現しているようには思えない、非常に危うくゆがんだ状態に陥っているように

思われます。アジア太平洋戦争敗戦後、過去の過ちを深く反省して日本国憲法体制を

打ち立て、70年にもわたって続けてきたはずの戦後民主主義は、文字通りの「民主主

義」として日本社会に定着しているかと思いきや、実はそうではなかった「実態」

が、今頃になって露呈し始めているように思えます。以下、複数回にわたり「言論・

表現の自由、報道の自由、政治活動の自由を守れ」をテーマに、日本の病める言論社

会の状況と、その問題点をお伝えします。

(1)メディア批評 第100回(抜粋)(神保太郎『世界 2016.4』)

(2)メディア批評 第 99回(抜粋)(神保太郎『世界 2016.3』)

(3)「放送電波停止発言」、総務大臣には、停波命じる資格はない(田島泰彦『週

刊金曜日 2016.3.4』)

(4)高市氏発言「放送を萎縮」、立憲デモクラシーの会が批判(東京 2016.3.3)

(5)私たちは怒っている、高市氏の停波言及(朝日 2016.3.1他)

(6)首相、首相、ここにも安倍首相、もはやグラビア誌?(東京 2016.3.3)

(7)批判報道への圧力強化(東京 2016.2.16 他)

(8)政権「高支持率」にご奉仕するメディア(『選択 2016.3』)

まず、高市発言をめぐり、放送法の「真髄」を適切に解説した番組をご覧ください。

よくできています。

●[ そもそも総研 ] 政治的に偏った放送は政府に処分されても仕方ないの?(2016

年2月25日)

https://www.youtube.com/watch?v=NnjrQks7QQw

こういうのもありました。

●そもそも“言論弾圧”って、いったい いつの時代の話なんですか?/そもそも総

研(2015年7月2日)

http://www.at-douga.com/?p=14138

(最後の部分「言論の自由が危機にあるということであるなら、今こそ国民が立ち上

がってそれを勝ち取るべきである」が最重要だと思います。

1.次に、高市早苗発言について、私が見た最も優れたコメントは、岩波月刊誌『世

界』の今月号(2016年4月号)に掲載された「メディア批評」の神保太郎氏のコメン

トでした。岩波月刊誌『世界』や、それに掲載され続けている神保氏の「メディア批評」については、既にみなさまにお勧めしていますが、ぜひ、今回を契機に定期購読をなさってみてください。また神保太郎氏の「メディア批評」は今月で100回目の掲載を迎えています。これだけの充実した内容の時事評論をこれだけ長期にわたり続けているということに、私は深く敬意を表したいと思います。((1)メディア批評 第100回(抜粋)(神保太郎『世界 2016.4』))

2.また、同じく神保太郎氏の前月号(2016年3月号)掲載「メディア批評」には、

大手マスコミ各社のいわゆる「記者クラブ」での記者会見取材の様子などが伝えられ

ていました。

簡単に言えば、こんな猿芝居に近いような記者会見の戯言を寄せ集めて報じたところで、有権者・国民にはいつまでたっても本当のことや肝心なことは伝わらない・わからないままに置かれてしまう、ということを強く感じさせられました((2)メディア批評 第 99回(抜粋)(神保太郎『世界 2016.3』))

3.「放送電波停止発言」、総務大臣には、停波命じる資格はない(田島泰彦『週刊

金曜日 2016.3.4』)

(ポイントは下記です:田中一郎)

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特に、この点で重要なのは、放送の自由の観点から公平牲を判定し制裁を科すために

は、欧米で一般的にみられるような政府からは独立した、専門的な機関が設置されて

いることが不可欠だということである。

日本の場合、こうした独立的な機関はなく、総務大臣という政府の一行政機関が規制

権限を直接担うことになるので、本来求められるべき公平性を実施、強制するための

組織的、制度的条件を満たしていない。もっとも、政府から独立した規制機関を備え

てきたイギリスやヨーロッパなどでも、一般に公平性などの番組基準にはなお不確定

性が伴うため、違反の判定は容易でなく、また規制機関も安易に制裁を科してこな

かった。

以上のような諸条件が整っていないままに、監督官庁などの公権力が公平性やその違

反を判定し、制裁を科していくことになると、きわめて恣意的、政治的、一方的な判

断の押しつけになる可能性があり、放送内容への露骨な権力的介入と放送の自由の侵

害をもたらす危険がある。日本はまさにそういう現状にある。

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4.高市氏発言「放送を萎縮」、立憲デモクラシーの会が批判(東京 2016.3.3)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016030302000132.ht

ml

5.私たちは怒っている、高市氏の停波言及(朝日 2016.3.1他)

http://www.asahi.com/articles/ASJ2Y5HH6J2YUCVL01Z.html

(関連)高市総務相「電波停止」発言、「息苦しさまん延」「負けられぬ戦い」(東京 2016.3.1 他)

http://blog.livedoor.jp/u_ono_u/archives/53161345.html

http://p.twipple.jp/zPckN

6.首相、首相、ここにも安倍首相、もはやグラビア誌?(東京 2016.3.3)

http://www.asyura2.com/16/senkyo202/msg/330.html

(参考)【ゴリ押し】「女子高生の間で『アベ過ぎる』という言葉が流行している」

http://saigaijyouhou.com/blog-entry-9629.html

7.批判報道への圧力強化(東京 2016.2.16 他)

http://blog.livedoor.jp/votunez/archives/2075717.html

http://matome.naver.jp/odai/2145104184253685201

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10152613685

●放送法遵守を求める視聴者の会

http://housouhou.com/

●同上 新聞広告

http://image.search.yahoo.co.jp/search?rkf=2&ei=UTF-8&p=%E6%94%BE%E9%80%81%E

6%B3%95%E9%81%B5%E5%AE%88%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81%E3%82%8B%E8%A6%96%E8%81

%B4%E8%80%85%E3%81%AE%E4%BC%9A

(関連)日本のテレビ報道めぐり「放送法遵守を求める視聴者の会」が会見で非難と

産経新聞報道 – NAVER まとめ

http://matome.naver.jp/odai/2144853735189165001

(関連)報道圧力団体「視聴者の会」賛同者はやっぱり安倍応援団と日本会議だらけ

だった! 憲法改正のための報道統制が狙い|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発

http://lite-ra.com/2016/02/post-1994.html

(一部抜粋:「メディア批評 第100回(抜粋)(神保太郎『世界 2016.4』)」)

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ところで、昨年11月に読売と産経の二紙、今年二月に読売に1ページ大の意見広告を

出したのは、市民団体「放送法遵守を求める視聴者の会」。作曲家のすぎやまこうい

ち氏や渡部昇一・上智大名誉教授、タレントのケン卜・ギルバー卜氏など同会の呼び

かけ人には安倍政権の政策と重なる主張をする人が目立つ。読売に記載された賛同者

には、勝間和代氏(経済評論家)、溝口敦氏(ジャーナリスト)、岸博幸氏(慶応大

大学院教授)といった名前もあった。同会は、安保法や特定秘密保護法に関し、反対

よりも賛成の意見を取り上げた放送時聞が短いことを問題視しており、高市氏に質問

状を出していた。高市氏は回答を12月4日付で出している。同会にはこの政府統一見

解と同じ内容が先だって示されていたのだ。

安倍政権と、この会が示し合わせたかどうかはわからないが、統一見解は、一つの番

組内での公平性を求める同会の主張に近づいているようにも見える。それは、今回

「一つの番組を見て全体を判断する」と、従来より踏み込んだ表現を使ったことだ。

今後どのような影響があるのか。

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8.政権「高支持率」にご奉仕するメディア(『選択 2016.3』)

http://www.sentaku.co.jp/category/politics/post-4459.php

(一部抜粋)

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折しも、政権批判で安倍官邸の不興を買っていたNHK・テレビ朝日・TBSの

ニュースキャスターやアンカーたちが今春、一斉に降板する。代わってTBSの新

キャスターに就く星浩・朝日新聞社特別編集委員は、前出の時事通信・田崎と共に、

往年の経世会(竹下派)番記者で、今は菅義偉官房長官に最高の賛辞を惜しまない

「取り巻きコンピ」である。

甘利の辞任会見は、涙を浮かべ、時に絶句し、「辞めるのは、政治家としての美学、

生き様、矜持」と飾り言葉をちりばめ、不祥事の引責なのに、苦渋の英雄と錯覚させ

るほどの芝居っ気たっぷりに約一時間行われ、内閣支持率が上がると自民党内から

「最高のパフォーマンス」と絶賛する声も聞かれた。

そんなことになったのは、甘利の演技・弁舌力のためではない。質問した記者は八

人、だけ。多くは元秘書の言動確認と「悪意を持つ人が近づいてきたらどうしたらい

いのか」「どうしてこんなことになってしまったと思うか」など、間抜けな問いを繰

り返して助けたからだ。

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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5970:160317〕