記憶を喪失して 日本はどこへ行くのか

著者: 小原 紘 : 個人新聞「韓国通信」発行人
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韓国通信NO722

 免許証の更新のために認知症の検査を受けた。見せられた絵をどれだけ記憶しているかという簡単なものだったが苦労した。どうでもいいことは忘れもていいが、大切なことは忘れてはならない。くだらない認知症テストから得た教訓である。
 

 
 『われわれは何処から来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』ゴーギャンが絵に込めた言葉を持ち出すまでもない。記憶は「自分は何者か」「何処へ行くのか」を考えるうえで欠かせない。
 
 沖縄を本土の捨て石にした歴史。アメリカが原爆を落した現実(漫画『はだしのゲン』はアメリカと天皇の責任を繰り返し追及する)。朝鮮の植民地化、中国侵略の記憶。アジア侵略の歴史。フクシマの忘却……

 沖縄が再び捨て石に。原爆を投下したアメリカの大統領がぬけぬけと核保有国とともに広島を訪れ核保有の意義を宣言。それをうれしがる日本政府。まさに狂気のふるまい。北朝鮮との一戦を想定するのも、中国を仮想敵にするのも過去の歴史と憲法を忘れた証拠。「汚染水」を「処理水」と偽り、世界の海へ放流して原発新設と再稼働とは痴呆のたわごと。

 本土復帰から51年目の沖縄で「沖縄を 日本を戦場にさせない 平和とくらしを守る県民大会」が開かれた。沖縄の怒りが伝わるコブシと若者たちの姿に感動した。

 

(写真『沖縄タイムス』5/15朝刊)

 
 関東大震災100年となる今年。8月31日から3日間、国会前の集会を始め追悼集会が開かれる。千葉県我孫子で3名の朝鮮人が虐殺されたことを伝えるビラを作成した。記憶への願いを込めて。
 
初出 :「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/

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