訳の分からない歳の瀬の選挙には飽き飽き

歳の瀬の選挙は、大方の予想どおりの結果となったところですが、この結果に関わって、様々な感想を抱かれた方々の論議を読み、聊か無常観に襲われたものです。

中でも、史上最低の投票率を槍玉に挙げつつ日本の一般人の政治意識の低さを嘆かれる識者には、それは、逆転しているのではないか、と憤りさえ感じるところです。

低いのは、日本の政党政治であり、分裂と野合を繰り返して、自身の理想なり政策なりをも当選のためには、金繰り捨てる政治家であり、政権につくためには、野合を繰り返す無節操な日本の政党であるからです。

嘗ては、与野党の自社の間で激烈な戦いを繰り広げていたものの、何と、何時の間にか出来てしまった自社が、さきがけとの三者で政権についた茶番劇を見て、亡父と二人で、世も末だね、と顔を見合わせて激昂し、やがて嘆息したことがありますが、私は、それ以来、日本の政党と政治家には何等の期待もしないことにしたのです。

翻って、規模は小さいですが、今回の選挙の前には、地方選挙ではあるものの、それと似たものを見て、苦笑したことがあります。 沖縄県知事の選挙で、「オール沖縄」等と云う訳の分からないスローガンで、元自民党の候補を、「革新派」が支持したことです。

そもそも「オール沖縄」候補であれば、選挙にはならないのではないか、と思われたのですが、これも野合の一種で、自身の陣営に選挙戦で勝利出来得る候補が居ないので、保守の候補を支持しただけでしょう。 保守の候補は候補で、支持してくれて現職に勝てればそれで結構だったのでしょう。 政策等は、後回しで、勝っても紛争の種には困らない筈です。 自党の政策・主張に拘るのであれば、ですが。

新知事は、日米安保の必要性を認めているのです。 そして、沖縄は、米軍の世界戦略では東南アジアに対する前進基地であり、そのために第3海兵遠征軍(3rd Marine Expeditionary Force: 3MEF)と第3海兵師団( 3rd Marine Division)が駐屯し、司令部があるのです。 日米安保を認めるのであれば、選挙戦で選挙民向けに何を訴えたかは別として、沖縄に駐屯する米軍基地、しかも東南アジアを睨んでの立地条件と併せて、その重要性を認めない選択肢は有り得ないでしょう。 従って、安保に反対する政党・政派が何故支持したのか、私には、全く理解出来ません。

今となってはどうでも良いことです。 日本人の大多数が、今の政治状況に絶望し、少なくとも近未来に民主主義が花開く可能性が少ないことを悟ったのであろうと思われますし、そのとおりだと私も思います。 投票場に行くよりも身近に迫った歳の瀬を如何にやり繰りするのか頭を悩ます庶民の暮らしがどのようなものかを知らず、非難する識者は暮らしには困らず、金融資産を潤沢に保有し、或は、多額の収入を得ておられるのでしょうか。

私も含めて、少ない収入で暮らしを支えて来るべき生活困窮を必然的運命と諦めつつ身構えている庶民を見下す前に、この国の政党政治の惨状を問うべきではないのでしょうか。

それが証拠に、いくら消費喚起を繰り返しても、一般消費者は踊ることはありません。 また、ヘリコプターから撒いた札束は、日銀の当座預金で寝ています。