「DHCスラップ・反撃訴訟」の一審が大詰めである。
☆次回の法廷は、4月19日(金)午後1時30分~
東京地裁415号法廷。
☆証拠調べの順序
最初に反訴原告本人(澤藤)の尋問
主尋問30分 反対尋問30分。
次に、証人のUさん(DHC総務部長)。
主尋問20分 反対尋問30分。
その次に、反訴被告本人(吉田嘉明)
主尋問30分 反対尋問30分。
但し、吉田嘉明は裁判所から出廷の呼出を受けながら、出たくないと言っている。
裁判所は、審理に必要だからとして出廷を命じているのだ。拒否すべき正当な理由のない限り、出廷して尋問を受けることは吉田嘉明の義務である。そして今、吉田嘉明は出廷しない理由を示し得ていない。吉田嘉明も、代理人弁護士もまったく真摯さに欠ける訴訟追行の態度と指摘せざるを得ない。
ところで、尋問を受ける者は陳述書を提出する慣行が定着している。限りある尋問時間では述べ切れない言い分も言える。反対尋問者に不意打ちをさせないという配慮もある。私も、近々陳述書を提出の予定でドラフトを起案している。提出版としては未確定だが、目次と前書きの部分だけをアップしてお目に掛けておきたい。ぜひ、当日法廷傍聴をお願いする。
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平成29年(ワ)第38149号損害賠償請求反訴事件
反訴原告 澤藤統一郎
反訴被告 吉田嘉明,株式会社ディーエイチシー
2019年4月某日
反 訴 原 告 本 人 陳 述 書
東京地方裁判所民事第1部合議係御中
反訴原告本人 澤 藤 統一郎
目 次
はじめにー本陳述書作成の目的と概要
1 私の経歴
2 ブログ「憲法日記」について
3 「本件各ブログ記事」執筆の動機
4 言論の自由についての私の基本的な理解と本件各ブログ
5 「本件ブログ記事」の内容その1ー政治とカネの関わりの視点
6 「本件ブログ記事」の内容その2ー規制緩和と消費者問題問題の視点
7 「本件ブログ記事」の内容その3ースラップ訴訟批判の視点
8 DHC・吉田嘉明の「前訴提起」の目的とその違法
9 前訴における請求拡張の経緯とその異常
10 DHC・吉田の関連スラップ訴訟10件
11 本件スラップ提訴は「裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く」
12 本件反訴提起の動機と意味
13 損害について
14 反訴被告の応訴姿勢について
おわりにー本件判決が持つであろう意味
はじめにー本陳述書作成の目的と概要
本年4月19日予定の証拠調べ期日における本人尋問に先だって、反訴原告本人としての言い分を本陳述書にまとめて提出いたします。
2014年5月、私は突然に東京地裁から訴状の特別送達を受け、民事訴訟の被告とされたことを知りました。否応なく、応訴を余儀なくされる立場となったのです。
私を訴えた原告は、吉田嘉明と、同人がオーナーとなっている株式会社ディーエイチシー(以下、DHCと言います)の両名です。両名の主張は、「私(澤藤)のインターネット上の3件のブログ記事がDHCと吉田嘉明の名誉を毀損しているので、そのブログ記事の抹消と謝罪文掲載を求める。また、慰謝料2000万円を支払え」というものでした。
なお、この2000万円の賠償請求額は、わずか3か月後の同年8月に請求拡張されて6000万円に増額されています。
当然のことながら、6000万円もの巨額請求民事訴訟の被告とされた私は、心穏やかではいられませんでした。私が被告の立場にあったのは、2014年4月提訴から2016年10月最高裁の上告受理申立不受理決定で請求棄却が確定するまでの約2年半のことです。心穏やかならざる状態はこの間ずっと続きました。DHC・吉田嘉明の提訴を不当なもので請求棄却は確信しつつも、いやむしろ不当な提訴と確信するからこそ、この上なく不愉快で心穏やかでない気持を払拭できなかったのです。毎日、起床から就寝まで、常に自分が6000万円を請求されている被告の身であることを忘れることができない日常生活でした。
どんな提訴に対しても、応訴には時間も労力も費用もかかるものです。不当な提訴が、被告とされる者にいかに大きな有形無形の負担を強いるものであるか、心理的な打撃を与えるものであるかを、身に沁みて実感しました。
民事訴訟の提起が、かくも人を威嚇するに十分な効果をもつものであることを体験的に知りました。訴状はもっともらしく弁護士が訴訟代理人となって作成されます。その訴状が、裁判所から発送されるのです。被告とされた立場で、訴状を受け取る人に、大きな衝撃となることは、考えてれば当然なことです。
また私は弁護士としてこれまで名誉毀損訴訟の被告事件を相当数受任してきた経験がありますから、日本の訴訟実務が、被告の側に違法性阻却のための過重な負担を押しつけるものであると認識しています。被告にされることは、たいへんに面倒なことなのです。
このような不当提訴で、被告とされた私に多大な迷惑を掛けておいて、敗訴が確定した今も、DHCも吉田嘉明も代理人である今村憲弁護士も、私に何の謝罪の表明もありません。
理不尽極まる民事訴訟に2年半も付き合わされた私は、この不条理な事態をもたらした人物たちに寛容な態度で接することは到底できません。半ばは私憤で、そして半ばは公憤として、DHCにも吉田嘉明にも、そして代理人となった弁護士にも、真摯な反省と、同様の非違行為を再発することのないよう防止のための適切な制裁措置が必要だと考えています。この反訴請求事件は、その意味での適切な制裁にほかなりません。
どう考えても、私に違法と判断される行為があったはずはありません。私は、憲法上の基本権として保障されている「言論の自由」を行使したに過ぎないのです。いや、権利を行使したというよりは、むしろ民主主義社会の主権者のひとりとして、社会に有益で有用な言論を発信したのだと確信しています。提訴され被告とされて、有形無形の負担を強いられる筋合いはありません。私の言論ではなく、正当な私の言論を妨害する動機をもってなされたDHC・吉田嘉明の提訴こそが、違法なのです。
DHC・吉田嘉明は、結果的に敗訴したというものではありません。普通の感覚をもって考えれば、けっして勝訴できるはずもない提訴であり、普通の弁護士に相談すれば勝ち目のないことは分かりきった訴訟なのです。それでも、敗訴を覚悟で敢えて提訴したのは、勝訴による権利回復を目的とした訴訟ではなく、高額請求訴訟の提起自体が持つ威嚇力によって、私(澤藤)の言論を封殺することを意図してのこととし考えられません。
その訴訟(DHC・吉田嘉明が私を訴えた訴訟、以下「前訴」といいます)で問題とされた私の言論は、吉田嘉明が政治家に8億円もの裏金を提供したことに関連して、政治とカネにまつわる民主主義政治過程攪乱への批判であり、消費者利益が危うくなっていることに関しての社会への警鐘の言論です。そして、請求拡張の請求原因においては、前訴をスラップ訴訟として訴権の濫用をもってする言論封殺行為への批判でした。「民主主義の政治過程をカネの力で攪乱してはならない」「行政は消費者利益を擁護しなければならない」「表現の自由は最大限の尊重を要する」という自明の大原則に照らして、厳しく批判されるべきは、反訴被告吉田嘉明やその代理人弁護士の不当な行為であって、私の言論はこれに対する適切な批判と警告の言論にほかなりません。
この点についての私の確信の根拠を裁判官の皆さまに、十分にご理解をいただきたく、以下のとおり意見を申し述べます。
なお、もう一点お願いしておきたいことがあります。
DHCと吉田嘉明が名誉毀損となるとした、6000万円の損害賠償の根拠とされた私のブログは5件に及びます。訴訟提起以前のブログが3件、訴訟提起後にこの訴訟を違法なスラップだと論評したものが2件です。
裁判官の皆様には、ご面倒でもこの5件のブログ全体をお読みいただきたいのです。前訴の訴状では、ずたずたに細切れにされたものとなっていますが、くれぐれも、DHC・吉田嘉明が恣にした細切れのバラバラな文章の印象で、前訴提起の違法の有無を判断することのないようにお願いしたいのです。
まずはDHC・吉田嘉明が違法と非難する5本の各ブログの文章全体を、私が書いたとおりの文章としてよくお読みいただくようにお願いいたします。文章全体をお読みいただくことで、常識的な理性と感性からは、各記事が、いずれも非難すべきところのない政治的言論であることをご理解いただけるものと確信しています。(以下略)
(2019年3月28日)
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2019.3.28より許可を得て転載
http://article9.jp/wordpress/?p=12321
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion8522:190329〕