情勢は「シリア攻撃」に急展開して います。米英仏は、何ひとつ証拠をあげることもなく「アサド政権が化学兵器を使用した」と「断定し結論づけ」、その口実で、安保理の討議 や国連視察団の調査結果を待つことなく「有志連合」によるシリア攻撃を準備しています。
アサド政権に対する「化学兵器使 用」の難癖は、すで に昨年7月のハマ、ホムスでの使用、今年3,4月に再度数回、その都度アサド側が使ったと報道されながら、反乱軍(反政府軍)が使用した ことが証明されて きました。5月には国連視察団のポンテ女史が、明確に「反政府軍が使用した」と認めています。
今回、われわれに示されているの は、先週21日に、反乱軍(反政府軍)によって全世界に配信された被害者の映像です。ここに紹介するのは、8月24日、Washington’s Blog、およびGlobal Researchに投 稿されたこのビデオ映像についての分析記事です。
文中にも指摘されているように、こ の「シリアの化学兵器物語り」は米国が20年来執拗に追及してきたイスラエルのための中東(=イスラム世界)攪乱戦略の一環です。米英仏イスラエルの植民地主義帝国 同盟が、その野蛮な正体を現したとみるべきでしょう。(イスラエル=アメリカの)戦 争犯罪が裁かれないことをいいことに、帝国は繰り返し武力解決の道を走ります。21世紀の課題は、国家の戦争犯罪、巨大企業犯罪を裁 くことのようです。
【紹介者注意書き】
先週24日に、インティファーダ・ パレスタインに投稿された「速報:独占映像について―アル・ジャジーラ、ロイターは虐殺の 起きた1日前にシリアの 大虐殺ニュースを公表」の拙訳を配信しました。
表題のように、「1日前」を強調する疑惑の指摘でした。しかし記事の投稿直後から、 欧米でも「時差を勘案していない」との指摘が相 次ぎました。
YouTubeのアップの時刻は米国西海岸時間 に転換されるため、西海岸時間はシリア現地時間とは 10時間の時間差がある、というのが正解のようです。
つまり、攻撃が起こったとされる現 地時間21日午前2時~3時は、米国西海岸時間では20日午後4時~5時です。全ての作業を7~8時間以内で行えば、「20日」の日付に なることは不可能ではないことになります。
しかし、攻撃があった後、ガスが 去って死体を布でくるんで整理し(私自身はこうした作業自体に不気味な作為を感 じますが)、撮影者が無防備のままで、159本(Infowars誌の コメントによる)のビデオが撮影され、それをすべてYouTubeにアップするとい うことが、「思いもよらぬ攻撃」の中で出来たのかどうか分かりませんが、不可能と断定することはできません。
いずれにしても、「20日」と 「21日」の日付だけでは、「決定的な証拠」ではないことになります。しかしながら、「証拠」は「日付」だけの問題ではないということ が、今回の紹介記事でもお分かりだと思います。(注意書き終わり)(2013年8月29日記)
Evidence Indicates that Syrian Government Did Not Launch a Chemical Weapon Attack Against Its People
http://beforeitsnews.com/r2/?url=http://www.washingtonsblog.com/
Global Research, August 24, 2013
Url of this article:
http://www.globalresearch.ca/evidence-indicates-that-syrian-government-did-not-launch-a-chemical-weapon-attack-against-its-people/5346804
証拠は明らかだ:シリア政府は自国民に対して化学兵器攻撃 をしていなかった
2013年8月24日
Washington’s BlogおよびGlobal Researchより
松元保昭訳(原文では、投稿者名が表 示されていません)
※なお、本文と引 用文の字体を変えています。
CBSニュー スは、シリア政府が自国民に対して化学兵器を使用したという主張に基づいて対シリア戦争の計画を仕上げる段階の米国が、シリア政府に対し て巡航ミサイル発射のために艦艇の位置を定めている、と報道している。
米国が化学兵器攻撃をシリア政府の責 任にした前回、その主張は暴露されていた。
しかし今回、シリア政府が自国民に対 して化学兵器を使ったという主張は、本当なのか?
シリアの親密な同盟国ロシアが疑念を 表明していることは、驚くことではない。AFPは指摘している:
反乱軍によって化学兵器が使われたこ とは証明済みであると以前にも語っていたロシアは、反体制派の主張にかんして深い疑念を表明した。
ロシア外務省は、国連の視察団が任務 をし始めたこの主張のタイミングは、「意図的な挑発にもう一度対処するのかと思わされている」と、語った。
しかし疑っているのは、ひとりロシア だけではない。
AFPの 報道によれば:
「そのとき、彼らを救助している人々 が何の防護服もなく、何の防毒マスクもないので、私はまったく確信をもてなかった。」と、化学兵器禁止条約(CWC)にかんする査察のためのフィンランド研究所の査察責任者の ポーラ・ヴァンニネンは語った。
「実際のケースでは、彼らもまた汚染 されるだろうし、またその徴候を示すだろう。」
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の生物化学防護プロジェクトの首席研究員ジョン・ハートは、 化学兵器使用の証拠にさせられている犠牲者の目には、動かぬ証拠など見出せなかった、と語った。
「私が数時間前に見たビデオのうち で、これは有機リン酸系の神経剤に曝露された徴候を持つと言える(ような)…目立った子どもは一人もいない…」と彼は語った。
化学兵器問題を専門に研究しているCBRNe ワールド・マガジンの編集委員グウィン・ウィンフィールドは、 その証拠は、使われた化学的なものがシリア軍が備蓄し保有している兵器クラスのものであったとは示唆していなかったと、語った。
「その毒性が軍用サリンと考えられる ものではないと示唆しているように、医師や看護士たちが…致死性の事故に遭っている報告を、われわれは聞いていない。それは、もっと低い クラスのものであるということでしょう。」と、ウィンフィールドはAFPに語った。
ハ・アレツの報道では:
その場面の少なくとも一部分は、調査 した化学戦争にかんする西側の専門家たちが、たとえ彼らみんなが徹底的に現場を調べることなしにきびしい結論に達することは出来ないと強 調したにせよ、兵器クラスの化学物質が使われたとは疑わしいものである。
米 軍の化学部隊の元将校で先進的な民間コンサルタントでもあるダン・カスズィータは、今のところその場面には多くの情報が欠けていると指摘 した:「被害者を 手当するあるいは撮影する誰ひとり、化学戦の防護装備のどんなものも身に着けていません。」と彼は語り、「にもかかわらず、誰も危害をう けていないようで す。」これは、これらの物質がすぐに気化しない以上、非常に多くの神経ガスを含め軍用化学兵器の大部分のタイプではありえないと思われ る。とりわけ、それ らが何百という人々を殺害するに十分な量で使用されていたというのに、むしろ、攻撃後の時間にそれらに無防備で接触している誰一人危害を 受けないで体や衣 服の汚染の程度をそのままに残している。彼は付け加えて、「犠牲者の(汚染の)媒介レベルとして、嘔吐や排泄コントロールを失うといった いくつかの目に見 える問題、化学攻撃の結果に見られる他の徴候は何ひとつとしてないのです。」と語っている。
化 学戦争問題について英国国防省に勤めていたイギリスのクランフィールド大学の危険物質の被曝影響にかんする指導的研究者、スティーヴ・ ジョンソンは、「今 のところそれらの情報からは、広域におよぶ多数の犠牲者が相当広がっている分布を意味します。化学物質のレベルにかんしては、巻き込まれ た犠牲者に大量の 汚染が見られるだろうし、まったく防護せずに処置する人々に影響を及ぼすだろうと、人は思うでしょう。われわれは、それをここでは見てい ません。」
と りわけ、化学兵器を使用したという早い段階の主張を調査するためダマスカスに来ていた国連視察団のチームがぴったり同じ日に現れた攻撃の タイミングにかん する、更なる問題にも未回答のままだ。首都の中心地域に進攻していた反乱軍を後退させるために対処した数週間にわたるシリア軍が達成しよ うとしていた戦術 目標もまた曖昧である。だがこれが化学兵器攻撃でないのであれば、外傷のどんな外的な徴候もなくこれほど多くの人々の死を招いた原因は何 であったのか?
***
た とえ原因がそうであったとしても、とくに国連視察団が国内にいるとき、現在までバッシャール・アサド大統領に忠実な軍による大規模な化学 攻撃としてこれを 発表していることには、シリア反乱軍(および多分その地域の他のテロリスト活動家たち)が明らかに関与している。バラク・オバマ米国大統 領が反乱軍への (直接の=なぜなら間接には「資金および武器援助」を一貫してやってきた のだから=訳注。)軍事支援に関わることをしぶっているあいだ、唯一 「レッドライン(一線)」を越えることがオバマの政策転換をさせうるようなとき、そうすることがまた彼ら(反乱軍)の関心事でもある。
彼 らがこうした攻撃を恐れている以上、現場で反乱軍や医師たちは本当に化学兵器が使われたと考えたのであろう。しかし彼らは、こうした診断 をするに必要な手 段や知識を持っていないかもしれない。ヨーロッパ連合は、国連視察団が化学攻撃と言われている新しい現場へアクセスできるよう水曜日に要 求したが、これは チームの権限内のことではないし、シリア政府がそうする見込みはなさそうだ。(訳注:その後シリア政府はただちに許可を与え、国連視察団 は5日後の26日 月曜日に現場へ向かったが「反乱軍テロリストの攻撃で」引き返した。)
クランフィールド犯罪研究所の兵器お よび化学物質の専門家、ステファン・ジョンソンは、ビデオ場面は疑わしく見えたと次のように語った:
例 えばすこし超現実に見えるこれらのビデオの幾つかものは、ほとんどあたかも彼らが準備したかのようです。それらが捏造だということではな いが、それはいく つかの不安材料を引き出しています。泡を吹いている人の何人かは、その泡が白すぎて汚れておらず、血の混じった黄色がかったものであろう と見られるはずの 内部組織の損傷の性質と一致しないようです。
化学生物兵器の研究者、ジーン・パス カル・ザンダースは、マスタードガスあるいは神経剤 VXあるいはサリンの使用と一致せず、窒息死状態の犠牲者を示しているようだ、と次のように語った:
「ここで私は、意識的に化学兵器の用 語を使っていません。」付け加えて「工業用毒物」の使用がもっとふさわしい解釈でした、と語った。
ミカエル・リベロは問うている:
1、国連化学兵器視察団をシリアに招 請しているシリアのアサドが、さらに、彼が滞在しているところから数マイルで彼らが着いたちょうどその日に、女性や子どもたちに対して化 学兵器攻撃を、なぜ開始するだろうか?
2、 もしアサドが化学兵器を使いたかったら、彼を追い出そうとしている雇われ傭兵軍に対 して使わなかったろうか?女性や子どもた ちを攻撃して彼は 何を得るだろうか?何にもありません!ふたたび戦争計画(アジェンダ)を進めたい絶望的な米国政府の側に、得るもののすべてがあります。
私 がこれらの言葉を入力しているとき、米国の訓練され装備された軍隊は、すでに国境を越えてシリア国内にいます。また米国海軍は、シリア内 部に向けて、化学 攻撃で死んだと主張された以上のさらに多くのシリア人を間違いなく殺害するであろう大規模な巡航ミサイル攻撃を開始するため位置を定めて 展開しています。
シリアで化学兵器攻撃があったという 前回に、ブッシュ政権の高官カーネル・ローレンス・ウィルカーソンが、イスラエルはその政府を陥れるためにシリア反乱軍に化学 兵器を与えていたかもしれないと考えていたと、語った。
英国のジョージ・ギャロウェイ議員 は、新たな化学兵器攻撃に関して、同様の理論を広め た。
当然のことながら、誰が攻撃を実行し たか、どんな兵器が使われたか、われわれは知らない。
しかし、米国が20年間一直線にシリアにおける体制転換を計画 していたという文書で十分立証された事実が与えられているのだから―50年ものあいだ愚かな策略を弄してきた―証拠 のすべてが出揃うまで疑う価値がある。
実際、これは2002年のイラク戦争 の事態ではないかと多くの人々が問題にしている。たとえば、インデペンデントは記事にしている:
ダマスカス東部、反乱軍が維持してい る東ゴウタに対してシリア軍が化学兵器を使用したという映像が示していることは、2003年に米国と英国がイラクに侵略する前にサダム・ フセインが保有しているといって大量破壊兵器(WMDs)にかんしてあの時したこととその主張があまりに似ているの で、…まるで疑わしいものを見せられているようだ。
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大量破壊兵器(WMDs)の大部分の証拠を提供したサダムに対してイラク反体制派がし たように、シリアの反体制派は、外国の軍事介入を誘い込むために、化学兵器を配備するシリア政府を招きこむあらゆる動機をもっている。
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シ リア政府にとって化学兵器を使用することはあまりに自らの利害に反するということは明白な事実だが、それは証明されてはいない。政府と軍 隊は馬鹿げたこと をするものだが、東ゴウタで人々を殺害するには、彼らがいつも使っている重火器や小火器のような十分な他の手段を持っている以上、彼らが そうすべきやむに やまれぬどんな理由も想像することがむずかしいことだ。
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いまのところ、シリア軍が化学兵器を 使用したという証拠は、偏った情報源に由来するもので古い話の蒸し返しにすぎない。
(以上、翻訳終り)
Copyright © 2013 Global Research
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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