アルルの男・ヒロシです。東電の清水正孝社長が「病気」というこにされて、現場指揮を更迭され、財界のドン、勝俣恒久(かつまたつねひさ)会長が現場指揮に乗り出してきた。
勝俣は2002年に東電の社長に就任。「カミソリ勝俣」とも呼ばれた。その時の産経新聞の記事は次のように紹介している。
(転載開始)
◆「切れ者」「議論好き」
社内外のだれもが「切れ者」と評する次期社長の“本命”だった。南直哉前社長の引責辞任という特殊事情がなくても、「いずれは…」と目されていた。
南氏と同じく、経営戦略を立案する企画部門の出身。各社の思惑が対立する電力自由化では、業界のとりまとめ役として活躍した。「議論好き」「合理主義者」との人物評は、「すぐに議論をふっかける」「冷たい」といった反発と裏表の関係ともいえそうだ。
元新日鉄副社長の長兄、丸紅専務の弟とともに、経済界では「勝俣三兄弟」の一人として知られる。家族は夫人と一男二女。趣味は「四段ぐらい」と自称する囲碁と麻雀、スポーツ観賞で、月刊誌に書評を寄稿する読書家でもある
『産経新聞』2002年11月01日
(転載終わり)
勝俣恒久はその他に「日銀参与」の座にもあり、麻生内閣時代には「安全保障と防衛力に関する懇談会」のメンバーも務めた。電磁自動車充電スタンド普及の「CHAdeMO(チャデモ)協議会」のトップでもある。
勝俣とトヨタ名誉会長の豊田章一郎が、実質的な日本の経団連のトップであろう。御手洗冨士夫(キャノン)とは違って「民族派」であるが、それだけに安全保障問題などにも口をだす危険な存在。そもそも核燃料サイクルとは要は余ったプルトニウムをちょろまかしていざという時には日本が核武装するという話である。
要するに清水正孝社長のもとで院政を敷いていたのが勝俣会長であり、その人物が表に出てきた。近く来日するフランスの原子炉メーカーのアレヴァのローベルジョン会長とやりあうのも勝俣ということになろう。
勝俣の任務は東電の国有化阻止。数日前から下痢を起こしたように暴落している東電株が「財界のドン」の登場で急上昇することはないだろうが、それなりに危機感はあるようだ。電事連の理事は民間電力会社の経営陣で占められていて、他の業界のように経産省の天下りがいないのが特徴と言われる。これは1970年代に繰り広げられた、通産省と東電の勢力構想の名残である。一般大衆からすれば「同じ穴のムジナ」である東電と経産省もコップの中ではまだ張り合っているということか。
まあ、庶民としては東電と経産省のコーポラティズムに反対の声をあげるとともに、東京ガスを応援することくらいしかできない。しかし、この勝俣こそが今の経団連の実質的なトップだろう。米倉弘昌現会長は派閥力学の産物に過ぎない。
いずれにせよ技術者でない勝俣に現在の原発事故は収束できない。会社を守るだけのパフォーマンスに終わるようでは冷酷に市場は売り浴びせるだろう。
http://amesei.exblog.jp/ より転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0399:110331〕