辺野古「県民大行動」2014.09.20決起―現地報告

2014年9月22日 連帯・共同ニュース第333号

■先月3,600名(実際の参加行動者は交通の便や渋滞で那覇市や沖縄市で足止めを食った人を含め5,000名を越えた)が集結した辺野古埋め立て阻止大集会を受けて再び抗議をする日がやってきた。今回は高江からも10人以上の参加が確認されている。初回は2,000名の予定であったので集会場所はシュワブ・メインゲートで行われたが、倍近い人が集結したのでゲート前は人で溢れた。今回は5,000人を目標にしているので集会場所を辺野古浜に移して行われる。

■小生の車(小生が高江に滞在する時に統一連から貸与されるコロナ)には伊佐真次村議の父親である真三郎氏(普段、オジイと呼ばれるのはこの方である。伊佐家は特高に連れ去られたまま家に帰ってこなかった真三郎氏の両親以来三代に亘る生粋の共産党の家系である)83歳が同乗、真次氏が労るように寄り添う。真三郎氏は背筋を伸ばしてもの静かに座っている。日頃は笑顔を絶やさぬ子供好きの好々爺である。

■5,000人を運ぶ車両を収容する場所はないという予測の下に各地では(駐車スペースを節約するために)貸し切りバスが準備された。高江は大宜味村が準備するマイクロバス3台に同乗させてもらうことになった。高江から大宜味村の津波の集合場所へいき、そこからマイクロバスに分乗する。津波は東シナ海に接しており、太平洋側の辺野古まで沖縄本島の細い部分を20分くらい掛け横断する。

■辺野古の浜が近くなった辺野古社交街の近くで大音響の行進曲が聞こえてくる。社交街入り口では関東でもおなじみの日章旗と旭日旗を掲げた中型の街宣車が慎ましげに鎮座している。濃紺の乱闘服を着た数人の隊員がにらみを利かしているのがほほえましい。沖縄では希少種であるからだ。沖縄の基地反対行動にカウンターを打ってくるのはほとんどが手登根グループ(別名、オスプレイ友の会)風のネトウヨである。

■マイクロバスとは言え、国道331号の辺野古バス停から先は道が細くなり、人は車道に溢れているので徒歩となる。マイクロバスを降りて、幟旗を組み立て、浜へ歩く。早くもシャツが汗で変色する。はや浜は人で一杯である。

■沖には色鮮やかな十数艘以上のカヌーが波の上でたゆたっている。台風が近づいているために海面は波が高い。防衛局のボーリング調査は高い波の所為で作業が出来ない。調査作業を阻止する為に毎日繰舟術の訓練と法的根拠があやふやなまま襲ってくる海上保安庁の暴力的な攻撃と闘っているカヌー隊も今日は長閑にパーフォーマンスの予定であるというが波の高さはそれを許すかどうかは疑問である。

■会場の砂浜にはひっきりなしに人波が押し寄せる。次第、次第に人の密度が高くなる。これだけの人の数なのに挨拶をしたり、されたりする回数は減りはしない。視線が不思議と顔見知りの存在をかぎ分けている。

■街宣カーの上が演壇になっていて、司会の県議が登壇する。会場の熱気に影響されたのだろうか、司会者の舌は最初から滑らかで、大きくて高い声がだだっ広い浜に響く。会場全体が熱気に包まれ、辺野古新基地建設阻止の空気が膨れあがる。たまたま横に座っていた伊波氏に声をかけた。「どれぐらい集まりましたかね?」

「7~8千は集まっているね」と伊波氏は言う。小生の感と一致し、思わず満足する。

■辺野古新基地建設阻止を叫ぶ著名士が次々に演壇に立ち、『辺野古の海を埋め立てることを許さない。仲井眞の裏切りは決して許してはならない』と口々に叫ぶ。外から集まって来る人がなおも続き、人と人との隙間を埋めていく。立錐の余地もなくなる。伊波氏がぼそっと呟いた。

「一万はこえたね」

■翁長雄志那覇市長(県知事予定候補)の声がひびいた。

「……辺野古の海の埋め立て許可は絶対に撤回しなければならない……」

会場に地鳴りのようなうなり声と歓声が起き上がる。このところの新聞報道などで翁長雄志那覇市長の発言のなかから“埋め立て承認撤回”の文言が消えていることから来る一抹の不安が払拭された一瞬であった。

■会場の大衆は集会が終わってもなかなか去ろうとしない。動き始めたのは予定時間を一時間以上も過ぎた頃だ。帰路についた人の波はなかなか前へ進まない。やっと331号にでたと思ったら、県道は大型バスがズラリと並んでいて動きはしない。大宜味村のマイクロバスが姿を見せたのは一時間も経った頃であった。

■同乗予定の人から、「いつになったら返られるのだろうか」と喜びとも不満とも聞こえる声がもれた。誰からともなく、「右翼の連中は早く帰れて良いよな……」 失笑が漏れる。

翌日の新聞報道では「参加者は5,500人」とされていたが、この数字は途中経過の数字でしかない。実数は一万人を超えたと思われる。さあ県知事選に突進だ。)(富久亮輔)

「9条改憲阻止の会」はメンバーが脱原発運動、なかんずく経産省前テントに関わっていて、沖縄辺野古の闘いや、集団的自衛権行使容認阻止には動ききれなかった。この点についての反省を踏まえ秋からはもう少しこれらの課題への対応も検討している。9月29日に臨時国会が開かれるが、ここでは多くのグループから集団的自衛権行使の閣議決定の撤回要求の行動が提起される。

僕らは国会周辺での行動を展開する予定だ。9月27日~28日には川内原発再稼動の阻止の闘いが地元鹿児島で開かれる。テントや9条改憲阻止の会からも多くのメンバーが参加する。秋の陣では多くの闘いが交差して、大変ではあるが、僕らは国会周辺での闘いを強める。多くの人の参加を訴えて置きたい。  (三上治)